「令和2年10月6日 知的財産高等裁判所判決」の個人的に大きなポイントだと思ったことまとめ

※いつもの個人的なメモ(2020年10月10日) ※いつもの免責:専門家ではない個人が情報をまとめたものであり、内容の正確性の保証はできない。これらの真偽、詳細、相談などは各自で正式な専門家へ。 ※投稿時点でざっくりまとめたものであり、今後なんか修正することあるかもしれないとかそういうにも注意。やっぱり詳細は専門家へどうぞ。
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Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

序※いつもの免責:専門家ではない個人が情報をまとめたものであり、内容の正確性の保証はできない。これらの真偽、詳細、相談などは各自で正式な専門家へ。 ※投稿時点でざっくりまとめたものであり、今後なんか修正することあるかもしれないとかそういうにも注意。やっぱり詳細は専門家へどうぞ。

2020-10-10 22:34:55
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

同人誌違法アップロードサイト訴訟のまとめ>togetter.com/li/1604975>ここで法律知財関係者のツイートで私が感じた『こうした事例における特に大きな判断と言える部分』があまり言及されていないようなので、私なりにまとめる。一審:courts.go.jp/app/hanrei_jp/… 知財高裁:courts.go.jp/app/hanrei_jp/…

2020-10-10 22:34:56

1."権利行使の可否"

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>この判決においてもっとも重要だと思うのは、知財高裁判決の中の第4-2-(1)-ウ「権利行使の可否」に書かれた「~原著作物に対する著作権侵害が認められない場合はもちろん,認められる場合であっても,一審原告が,オリジナリティがあり,二次的著作権が成立し得る部分に基づき,~」という部分。

2020-10-10 22:34:56
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>この文章の重要な点は【 例え著作権侵害が認められる場合であっても、「オリジナリティがあれば二次的著作権は成立しうる」 】と言ったこと。また「その部分に基づいて、損害賠償請求等を求めることは権利の濫用に当たるということはできないというべき」とした点、これが本当に大きいと思う。

2020-10-10 22:34:57
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>というのも、そもそも訴訟された側やそれに類する連中の主張は【 違法な製作物であるのだから"信義則"に違反する。"信義則"に違反しているのならば法律は救済しないはずだ 】という理屈が背景にある。実際「二次創作は違法なので法律で守られないはずだ」という考え方は理屈として"ありえた"。

2020-10-10 22:34:57
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

"信義則"、信義誠実の原則は民法第1条2項において規定されるもので「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」という広く適応される(細かい法律の穴を埋める) 一般条項である。その信義則の中に"クリーンハンズの原則"という派生原則があり一部として扱われている。

2020-10-10 22:34:57
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>この"クリーンハンズの原則"は「法律を尊重しないなら、法律もその人を救済しない」という旨の考え方であり、そこから「自ら不法に関与した場合、法律はその件での救済をしない」とされている。つまりそこから『違法性のある制作物は著作物として法の保護を受けられない』とも考えられるわけである。

2020-10-10 22:34:58
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>それが「違法な二次創作は著作権法に違反しているのだから著作権で守られることはない(あるいは著作権が無い)」という主張の根拠となっていたわけである。しかし今回知財高裁は「【著作権侵害が認められる場合であっても】異なる著作物として認められるのならば著作権は守られる」と判決を出した。

2020-10-10 22:34:58
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>勿論、著作権による保護はあくまでも「異なる著作物として認められること」が大前提である。この点についても知財高裁判決で詳細に書かれていて、専門家とかはその辺りの方を詳しく言及している。ただこの部分は二次創作が問題無い?とかそういう話ではなく、"異なる著作物である"という確認だろう。

2020-10-10 22:34:58
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>知財高裁がしたのは「その人の著作物として成立するならその権利を保護する/もし"その人の著作物として成立していない場合"は守らない」という部分の確認であり、キャラクターの話は【その人の著作物として成立しないと言える証拠が提出されてないから、その人の著作物だとする】という話に見える。

2020-10-10 22:34:58
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>蛇足1:この判決で"二次創作の違法性、権利侵害が否定された"と解釈をしている人もいるかもだが、裁判所は【原著作物への権利侵害の可能性は認めている】のでその点は誤解かと。「例え権利侵害の可能性があっても、この作品は他の部分で二次的著作権が成立し得るものだ」という話をしている。

2020-10-10 22:34:59

2.二次的な著作権の扱い

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

2."二次的な著作権の扱い"

2020-10-10 22:34:59
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>補1:この辺り一応整理しておくが、まず「著作物をそのまま流用した」だけでは"異なる著作物"として認められることは無いし著作権は生じない。「他の著作物を元にして、創造性を持って異なる作品を作った」なら"異なる著作物"としての著作権が生じる。キャラクターについてはこの点がややこしい。

2020-10-10 22:34:59
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>補2:著作権法上"アイディアは著作物にならない"。著作物となりうるのは"アイディアを表現した作品"の方であって著作権が生じるはのその作品自体である。そして法律上「キャラクターの設定」などもまたアイディアの一種として扱われ、それを利用しても"異なる作品なら異なる著作物"となりうる

2020-10-10 22:35:00
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>補3:いわゆる二次創作等「キャラクターを利用する」という行為は「著作物の流用」ではなく「アイディアの利用」であり、それで【創造性を持って異なる作品を作ったのなら、"異なる著作物"として成立する】と言える。勿論、作品に創造性、オリジナルティが足りないとされると著作物とされないが。

2020-10-10 22:35:00

※追記補足(10/11 14:05)※
ただ"アイディアの利用"のつもりでも、元となる原著作物が明確に分かる場合は『原著作物の権利侵害の可能性がある』。これはアイディアの権利ではなく「元となった著作物の権利」として、「原著作物と同一のような要素があるなら、その部分に原著作物の権利が及びうる可能性がある」ため。

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>補4:なお二次創作など「他の著作物を原作として新しく作られた著作物」は【二次的著作物】という位置づけ。著作物と二次的著作物は"異なる著作物"で、それぞれに著作権が生じる。ちなみに著作権法では二次的著作物の著作者に、原著作物の著作者の権利が侵されないようにする関係の規定がある。

2020-10-10 22:35:00
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>補5:著作権法「11条:二次的著作物に対する著作権法の保護は、原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない」「28条:二次的著作物の原著作物の著作者は、その二次的著作物の利用に関し著作権の権利(著作人格権を除く)を二次著作物の著作者が持つものと同一の種類の権利を専有する」(※一部意訳)

2020-10-10 22:35:00

3.著作権の立場と、判決の意味

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

3."著作権の立場と、判決の意味"

2020-10-10 22:35:01
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

>もう一つ補足しておくと【著作権法における著作物の規定や保護の条件に、法律上の正当性を求める旨は存在しない】。もちろん"信義則"は法律上広く用いられる一般条項ではあるが、しかし著作権法上においては「著作権法に反していても"著作物としての要件を満たしているならば著作物とする"」のだ

2020-10-10 22:35:01