【鹿児島ぐるぐる】福間健二 #k2fact272

福間健二 @acasaazul

過去のたたかいを語る。楽しいのは自分だけかもしれないと気づいて黙ると飛行機の揺れはおさまり、未来のたたかいが瞼のなかに。ピーチかな、オレンジかな。目ざめさせてはいけない幻滅の本心は。どっちでもないことにして空港からのバスでも眠る。朝、早起きしたのだ。（鹿児島ぐるぐる１）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

リスボン、札幌、鹿児島。共通するのは、跳べない子羊でも簡単に行ける天国があること。鹿児島なら天文館の「吉次郎」という店。南国タクシーのビルの二階。やわらかい音色のピアノがあって、吉次郎と茜ちゃんがいる。カウンターに座ったらいまはまず伊佐大泉の水割り。（鹿児島ぐるぐる２）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

この安らぎに。つばさの使命とあきらめを、あまりちゃんとしていない和音の笑顔がシーソーに。お昼は、さば節ダシのカレーうどん。屋久島のさば節。焼いてほぐしてタマネギと合わせたのがぼくの好物。それでダシをとるとは。ぎったん、浮き雲。ばっこん、お帰りなさい。（鹿児島ぐるぐる３）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

悩むふりくらいしかすることないとして。稲妻が遠いままの野原に寝ころがって新型と名のつくものＡからＺまでを批評する。飽きたらどうする。銭湯がすべて温泉の鹿児島に来る。迷っても楽しい三角形をたどり、種子島と屋久島に一泊ずつだ。次はね。次があるならだけど。（鹿児島ぐるぐる４）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

中央公園に自転車で現れる黒づくめの女性のこと。吉次郎と茜ちゃんに聞いても知らないと言われ、深呼吸。東京では滅多にしないこと。知らない人に挨拶する。アーケードでもジャンプする。いづろ通りの天文館側、大きな山形屋があるのに何度も方角がわからなくなる。（鹿児島ぐるぐる５）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

ホテルの窓からの、朝日通り。二〇二〇年の人たち。マスクと省略記号。わかりにくい年齢と目の力。まだ半袖。まだ自転車や背負う袋にまで名前をつけたりして。電停のベンチ。「ベンチ」と大きく書いてある。何のためか。答えが出ないままガーデンズシネマに行く時間だ。（鹿児島ぐるぐる６）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

絶滅危惧種、どれだろう。丸屋呉服店の記憶もそうかもしれないマルヤガーデンズ。屋上のソラニワ。タバコが吸える。トークで話すことを考える。考えに詰まると最近はビリー・ヴォーン楽団の「峠の幌馬車」が鳴る。音楽、つよい。いつか川辺峠から見た夜景を思い出した。（鹿児島ぐるぐる７）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

アクセント、やはりあとに。再会をよろこび、時間を距離におきかえて遠くまで帰る人。南日本新聞の日曜版、ありがとう。かぼちゃ、小アジ、へちま、赤イカ、いもがら。書き切れないけど、おいしくいただいて閉じた目をあけると星空。風の手が揺さぶる謎はひとつだけ。（鹿児島ぐるぐる８）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

桜島に行って戻ってきた午後。下駄んは買って静かな方へ。景色もいいけど、人を思う。絵を描く人。英語を教える人。映画の好きな人。ジャズの好きな人。三味線を作る人。俳人協会と詩人協会両方の会長をしている人。桜島の黒猫をカメラで追う人。卵焼きの上手な人まで。（鹿児島ぐるぐる９）#k2fact272

福間健二 @acasaazul

なみだ橋。ここで家族と別れた人のこと。西南戦争の死者のことも言い、コンクリートの岸のスキマ植物を見る。ぼくは、コロナ禍のいまの、この、先が見えない感じは、前にも通った気がする。それも言って「吉次郎」に戻る。加治木のＦ農場からおいしい肉が届いていた。（鹿児島ぐるぐる10）#k2fact272