【PCR検査】「陽性カットオフCt値は?」さらには「感染源となり得るCt値は?」といった問いには統一の答えが出せない(2020.10.19作成)

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日付切取線 @krtr_date

✄----------- 10/10(土) -----------✄

2020-10-10 00:00:02
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

全国各所で院内感染、特に医療者の感染が報告されている。 鈴鹿厚生病院ではスタッフの再陽性が明らかになった。 pref.mie.lg.jp/common/content…

2020-10-10 05:26:59
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

福島医大会津医療センターの院内感染。入院患者全員PCRの仕組みが無いのであれば、安直にグリーンゾーンには入れずに、イエローゾーンに留め置くべき。その日数を伸ばすのなら病床数を割く。入院患者全員PCRを実施しているウチでさえ、実質12%をトリアージ待ちのイエローゾーンにしている。 twitter.com/sensibleclinic…

2020-10-10 05:32:54
臨床医JW @sensibleclinic1

「発熱はあったものの肺炎所見が見られなかったため入院時にPCR検査を行わず」 「入院後悪化でPCRを行い陽性」 「同じ病室の患者やスタッフに感染が広がった」 肺炎や重症者以外にPCR不要とすると常にリスクがあり、「発熱だけで検査なんて」という意識は変えるべきです。 minyu-net.com/news/news/FM20…

2020-10-06 22:48:57
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

※長文です ①御質問いただいたついでに、実習以来RNAなんて触っていないという同業者向けに説明。RNAを分解せずに保つためには、細胞内にも分泌物にも、そこいらじゅうに存在するRNAse(RNA分解酵素)を抑える必要がある。RNAlater(硫安)だとかRNAshield(guanidine thiocyanate; GTC)を使用する。

2020-10-10 05:57:58
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

②2000円PCRで使用されるのは前者ではなく後者の成分。前者ではウイルスは不活化されない。GTCはTRIZOLという商品名の”赤いフェノール"として使用経験のある方もおられると思う。RNAを精製するには、フェノクロ→イソプロ沈の要領で、変性した蛋白とゲノムDNAとGTCその他の水溶性成分を除去する。

2020-10-10 05:57:58
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

③RNAをrRT-PCRに使用する際に、GTCを持ち込むとPCRが阻害される。 リアルタイムPCRの系を組む際に使用する、夾雑物の影響をみる商品の販売資料が分かりやすい。GTCで増幅曲線がズレるがその程度はampliconによって異なる。 chem-agilent.com/contents.php?i…

2020-10-10 05:57:58
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

④下のひとつめのリンクは検体採取キットの例。グアニジン塩のために島津の新型コロ検出キットには使えないと書いてある。 seikonet.jp/customer/wp-co… 2000円PCRで採用されたのがZEESAN社の検体採取キット。ふたつめのリンクの3. FastGeneのところに同じ写真。 up.n-genetics.com/categories/pro…

2020-10-10 05:57:59
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑤FastGeneの商品説明を見ると、やはりグアニジン塩のためにPCRに阻害がかかると説明されている。 n-genetics.com/products/searc… この阻害の程度、すなわちリアルタイムPCRにおける増殖曲線の立ち上がりの遅れは、②のリンク先にあるようにampliconによって異なる。

2020-10-10 05:57:59
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑥COVID検査キットの多くはウイルスRNAの2ヶ所を異なる色で見るmultiplexで、いずれかが検出されれば陽性と判定。 タカラのキットは「片方でも出れば陽性なのだから同じ色で見てしまえ」という考え方。2ヶ所のampliconの増幅効率が同じであれば、1コピーのウイルスRNAから出る信号強度が倍になる。

2020-10-10 05:58:00
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑦同色検出により、理論上はCt値が1下がり(1サイクル早く増殖曲線が立ち上がる)、最近では賛否あるが半分のコピー数で陽性と判断できるようになる。これがGTCの影響を相殺した可能性がある・・・というか、開発者はむしろそれを狙って影響の少ないampliconを選んだのではないかと裏読みする。

2020-10-10 05:58:00
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑧さらに、同社の機器がフィルタを標準装備しておらず検出にはオプションを要するにもかかわらず、蛍光色素は標準装備のFAMではなく明るいCy5を敢えて選択している。信号強度を最大限に上げる方針で系の開発を進める背景には、偽陽性が出ないという確信があるのだろう。

2020-10-10 05:58:00
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑨今回の試薬の組み合わせでは、すべてを統合した遅れ幅がCt値にして2程度、すなわち増幅効率100%として元鋳型量4分の1までに収まったのではないかと推察する。3違うと8分の1、ほぼ1オーダー落ちになるので感染研の基準を満たさなくなる可能性がある。

2020-10-10 05:58:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑩いろいろと書いてはみたが、これはブラックボックスの中身を妄想したものである。タカラバイオの開発者が御覧になったら笑われるだろう。 「そんなに複雑には考えてない」、あるいは「そんなに簡単じゃない」、というようにどちらに外れていてもおかしくはない。(了

2020-10-10 05:58:01
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

日本の現状では「PCR検査」にも、各社から出ている試薬や機器があり、まさに玉石混淆の状態である。 反応系に持ち込むサンプル量からして同じではない。2倍違えばCt値は1違う。従って、「陽性カットオフCt値は?」さらには「感染源となり得るCt値は?」といった問いには統一の答えが出せないと思う。

2020-10-10 06:08:53
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

改めて検査方式の整理が必要。理想的には核酸増幅のプロダクトを、高い信頼度を持った方法でバリデーションする仕組みを備えた系以外は排除したい。 国際標準となっている蛍光プローブのリアルタイムPCRは特異度100%を前提に行動できる。事前確率が無意化するのは検査領域では例外中の例外と言える。

2020-10-10 06:23:33
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

メディア露出が多い医師、医師にオピニオンを説く学会の重鎮、こうした先生方で、いまだに「偽陽性が(わずかでも)出る」ことを前提に論を展開しておられる方は、蛍光プローブのリアルタイムPCRに理解が足りないと思う。 前述の玉石混淆を御存知の上なら、検査方式の整理を唱えるのが筋だと考える。

2020-10-10 06:34:27
日付切取線 @krtr_date

✄----------- 10/11(日) -----------✄

2020-10-11 00:00:02
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

Ct値というキャッチーなキーワード。一般受けするよなぁ。 twitter.com/takavet1/statu…

2020-10-11 22:59:11
T. Miyazawa DVM PhD宮沢孝幸🎹 @takavet1

たとえCT40でも42でも、それを基準にする危険性をご存知か?私は怖くてできません。32以下で陽性、32から35はグレーゾーンが妥当では。そして28でも感染後期なら他の人にうつす可能性はディープキスしてもまず無いと思います。

2020-10-09 23:53:15
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

無症状者の遅いCt値をどう見るか。 臨床医としては、ワンポイントデータでは増加局面なのか減少局面なのか区別できない。前者として対処せざるを得ない。 元リアルタイムPCR屋としては、同一検体でもキットや機器によってCtはかなり違ってくるので、方式の統一なくして基準は定められないと考える。

2020-10-11 23:11:29
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

①リアルタイムPCRの基本なので、Ct値の定義にまでは言及しない。 ネット上の議論を見るに、このあたりの話がすっ飛んでしまっているが、【Ct値と検体中の目的核酸配列のコピー数の相関は当該の反応1回の間でしか比較できない】。増幅効率も検量線の傾きも厳密には毎回違う。

2020-10-11 23:23:09
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

②まず、最初の最初の段階で、検体中のコピー数は全国統一になどなるはずがない。 鼻咽頭スワブの場合、得られる擦過液の量に幅がある。粘性によっては絡みついて多めに取れてくるだろう。さらに、保存液の量と組成もまちまちである。検査までの保存時間、凍結融解による核酸の破壊もある。

2020-10-11 23:29:43
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

③ちょっと横道に逸れるが、そもそも大量自動化の流れで、ホロジックのパンサーや東洋紡のジーンキューブなど仕組みとしてリアルタイムでないものが一定のシェアを得つつある。PCRサイクル中に蛍光データを採らないので速い。【Ct値は算出されない。】産物に蛍光プローブを当ててバリデーションする。

2020-10-11 23:40:02
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

④リアルタイムPCRに持ち込むとしても、RNA精製を経て行う2stepなのか、あるいは直接行う1stepなのかによってもCt値は違ってくる。 RNA精製を介する場合は濃く溶出することでPCRの系に持ち込むウイルスRNA量は増える。当然、Ct値に影響する。

2020-10-11 23:44:54
Cheeman M.D.,Ph.D. @kakeashi_ashika

⑤RNA精製をする、しないにかかわらず、検体の粘性が高い場合に、DTT処理をするという手間をかけるかかけないかでも、結果は違ってくる。 無処理で、Ct遅めの緩い傾きの立ち上がりがあった場合に、残検体から処理しなおすとCt値は3-5くらい下がる。

2020-10-11 23:52:42
日付切取線 @krtr_date

✄----------- 10/12(月) -----------✄

2020-10-12 00:00:01
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