ボーイングB787開発の経緯について

@siva_yuri さん解説。ボーイング社の開発史とB787型機のコンセプト
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猫野 和錆 @neko_wasa

@siva_yuri ボーイング787に関して、何かおもしろい話などありますでしょうか?

2011-07-13 14:22:37
芝村裕吏 @siva_yuri

次の話題。 ボーイング787について、ですか。

2011-07-13 14:29:04
芝村裕吏 @siva_yuri

旅客機というものの進歩は、今、輸送コストの低減にかかっています。言い方をかえると、商業航空なんだから商業的なうまみを追求する機種開発を行ってるわけですね。 で。787もその系譜です。 とはいえ787の前に少し時間を遡りましょう。

2011-07-13 14:31:58
芝村裕吏 @siva_yuri

787の前に777が。777の前に767があります。 その前は同クラスとは言いにくい757,747、737があります。 で、767からの一連の流れに的を絞って話をすると、767と言う悲劇の機体がありまして、本来の767である777というものが生まれ、787になります。

2011-07-13 14:38:32
芝村裕吏 @siva_yuri

時に1973年。 先進的な中型旅客機767計画は一度挫折してしまいます。 石油危機、オイルショックです。 より速く、より大量に輸送する中型機のコンセプトは、各国の航空会社の経営危機で棚上げになりました。

2011-07-13 14:40:26
芝村裕吏 @siva_yuri

かわって求められたのは、より燃料を食わない、不景気下で客が少なくても赤字運行にならない。つまりは最初から旅客人員が少ない機体です。 で。(ボディに比しての人員大量輸送機である)ワイドボディ機の計画はまんまとつぶれ、中途半端なセミワイドボディで計画が練り直されます。

2011-07-13 14:43:16
猫野 和錆 @neko_wasa

@siva_yuri なるほどです。巡航速度自体も低く設定されたみたいですね・・・

2011-07-13 14:45:34
芝村裕吏 @siva_yuri

これが767. 767はボーイングの機体の中でも不遇な機体で、主たる理由としてこの設計変更の結果、時間がかかり、最初の納入の1982年ではオイルショックから各社抜け出していて、どうにも魅力的でない機体だったという背景があります。

2011-07-13 14:45:45
芝村裕吏 @siva_yuri

速度も遅めだし、輸送人数も少ないし、それでいて運行人数はあまりかわらず、空港占拠する時間は他機にかわりません。 でもこれは、作る段階でわかってた話で、ボーイングが悪かったと言うよりも、注文側のエアラインが危機的になりすぎてオーダー間違ったのです。

2011-07-13 14:48:26
芝村裕吏 @siva_yuri

で。767の改良版というよりはいよいよ本来の767である777が生まれます。改良番号にならなかったのは、ボディが広くなって飛行免許の種類がかわったことと、767の評判がよくなかったせいです。 こうして出来た777は大成功作であり、同社の立て直しに一役買います。

2011-07-13 14:50:20
猫野 和錆 @neko_wasa

@siva_yuri なんと、同じ旅客機でも免許が違ったりするのですか・・・!バイクの大型免許みたいなものでしょうか

2011-07-13 14:51:27
芝村裕吏 @siva_yuri

@neko_wasa そだね。機体毎で操縦装置がかわると免状もかわるねえ。 737なんか同じ系列なのに2種類あったりな。

2011-07-13 14:54:05
芝村裕吏 @siva_yuri

さて。この777はスマッシュヒットでした。767だけでなく747の代わりにも運行され、基幹航空輸送網を引き受けています。そう遠くない時期に、貨物輸送も777が増えていくでしょう。 貨物機は1世代前の飛行機が主力になるので、まだ777はあまりでまわっていません。

2011-07-13 14:56:41
猫野 和錆 @neko_wasa

@siva_yuri 787がこれからもっと出まわって主流になると、777が輸送にまわってくるのですね

2011-07-13 14:58:48
芝村裕吏 @siva_yuri

さて、787です。787は傑作機のあとを継ぐ難しい立場にいます。20年近くの技術進歩はありますが・・・ 787の売りは航続距離。 これまで777は航続距離の伸びたバージョンと普通のバージョンで2種類のリリースを中心にしていましたが、787は最初から足が長いのが特徴です。

2011-07-13 14:59:53
芝村裕吏 @siva_yuri

航続距離が長いのは集約化もさることながら、中央から地方空港に直接飛ぶというボーイングの航空輸送未来図が背景になっています。 丁度日本の航空事情と同じですね。一度地方にいってさらに小型機に乗り換えてなんてことをせずに、直接飛ぶのです。

2011-07-13 15:02:34
芝村裕吏 @siva_yuri

これは航空路線の過密化で地方ハブ空港間の基幹輸送網が飽和しているためなんですが、これ以上に航空機を売ろうとしたら、(なじみやすい例として)福岡=東京間の輸送だけでなく、東京=熊本、東京=宮崎を開拓しようという考えです。

2011-07-13 15:06:14
芝村裕吏 @siva_yuri

一方で欧州勢はハブ空港からの機体乗り換えを主眼に未来予想図を描いています。 なんで基幹輸送系と小型輸送力機にわけているわけですね。 エアバスはそんな感じで基幹機に巨人を持ち込もうとしています。

2011-07-13 15:09:18
芝村裕吏 @siva_yuri

まあ。欧州エアバスの本命は巨人A380 350はあくまで噛ませ犬という感じですね。 実際、将来輸送網がどうなるかは、まだかわりません。 ただ一つ言えるのは、どこも開発に難航しているという事実です。以上説明終わり。

2011-07-13 15:12:55
猫野 和錆 @neko_wasa

@siva_yuri ありがとうございましたー!とても面白かったです!

2011-07-13 15:15:16