アウトソーシングの失敗によるプロジェクト連鎖炎上事例としてのボーイング737MAX

独自研究であることをご了承ください 関連まとめ 737MAXの件: https://togetter.com/li/1353074 続きを読む
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サキノハカ @sakino_haka

話が長くなるんですが、とりあえず、777の開発はまともだった話からにしましょうか。

2020-01-11 20:10:05
サキノハカ @sakino_haka

現時点でボーイング、737MAXも777XもKC-46も同時進行でプロジェクトが燃えてて、特に737MAXの燃えようときたらあのとおり大変なことになっているわけなんですが、もちろん、昔からあの体たらくだったわけではないのはご存知のとおりです。

2020-01-11 20:10:44
サキノハカ @sakino_haka

そりゃ新型機の開発には問題や遅れはつきものですけど、流石にここまであっちもこっちも強火で燃えてるのは初めてかもしれません。 具体的にはボーイング777の開発の進みようまでは、少なくともボーイングはまともでした。

2020-01-11 20:11:47
サキノハカ @sakino_haka

777の開発においては、メーカーと顧客であるエアラインが協調して計画が進められる参加型の開発、「Working Together」であったことがよく知られています。 doi.org/10.2322/jjsass…

2020-01-11 20:18:58
サキノハカ @sakino_haka

そもそも767の派生として開発がスタートした777でしたが(最終的にはあのとおりだいぶ違う大型機になったけど、少なくとも顔はよく似てる)、開発はけっこう円滑に進んだ機種だと思います。開発費も(はっきりとはしないものの)50~40億ドルと言われています。

2020-01-11 20:24:46
サキノハカ @sakino_haka

777は大丈夫だったとして787はどうだったのかというと、覚えてる方も多いかと思いますがもうたいへんでした。 遅延に次ぐ遅延、強度不足の発覚、リベットのサイズ間違いからの全外し組み直し、開発中のエンジンの爆発、配電盤のボヤ、ストライキ等々…

2020-01-11 20:31:42
サキノハカ @sakino_haka

2007年夏にロールアウトした1号機は実際にはまるっきりの外側だけ、ハリボテのドンガラで、そこから2009年の冬に初飛行するまでに2年以上かかっています。何が起きたのでしょう? twitter.com/sakino_haka/st…

2020-01-11 20:36:58
サキノハカ @sakino_haka

「『偽りの』ボーイング787ロールアウト」(2014年9月11日の記事) ボーイングが「ドリームライナー」を専門家やジャーナリストに対してロールアウトしたとき、その表面下ではなにも思い通りではなかった。 twitter.com/sakino_haka/st…

2019-08-24 00:03:31

サキノハカ @sakino_haka

「その周りを歩いて気づいたのは、車輪をよく見上げると、客室を通して日光が差しているのを見ることができるということです」と、現ウォールストリートジャーナル所属のジョン・オストロワー氏は言います(※訳注:記事掲載当時。現在オストロワー氏は航空情報ウェブメディアThe Air Current編集長)。

2019-08-24 00:08:08
サキノハカ @sakino_haka

「後で写真を調べ、ドアが木の合板でできていることに気付きました。飛行機はまだ完成していませんでした。」 当時、オストロワー氏はFlight International Magazineで働いていた若い航空ブロガーでした。 彼は他のメディアと一緒に出席する機会は得られませんでした。

2019-08-24 00:09:08
サキノハカ @sakino_haka

彼は彼のブログが好きなボーイングのエンジニアのゲストとしてそこにいました。 そのため、他の記者は記事をまとめるのに忙しかったのですが、オストロワー氏は飛行機のそばで時間を過ごしていました。

2019-08-24 00:09:51
サキノハカ @sakino_haka

「その時間の間に、私はそれを真に研究する機会がありました。付き人や番人などは誰もいなかったので、それの詳細を研究するだけの機会がありました。そして、それは出来上がっていませんでした」と、オストロワー氏は言います。

2019-08-24 00:10:22
サキノハカ @sakino_haka

労働者にとって、問題は明らかでした。 「飛行機はただの見せかけで、空っぽであることがわかっていました。だから私たちにとっては、まだやっていないこと、準備ができていないものを見せているようなものです」と、ボーイングのメカニックのシャノン・ライカーは言います。

2019-08-24 00:17:43
サキノハカ @sakino_haka

「誰でも、たとえアマチュアでも、歩み入ったなら…、いや、床板さえ張っていなかったので、飛行機の中を歩くこともできなかったでしょうけれど…しかし、誰かがそれを通り抜けることができたなら、システムがなく、空調も配線も油圧も配管もなかったことを見たでしょう。何もありませんでした。」

2019-08-24 00:18:06
サキノハカ @sakino_haka

工場内では、状況を救うための狂騒がありました。 ロールアウトの数時間後、飛行機はバラバラになりました。 「全てのパネルが飛行機から取り外されました。着陸装置を外しました。尾部を外しました。それは猛ダッシュでした。初フライトに向けた猛ダッシュでした」とオストロワー氏は言います。

2019-08-24 00:20:35
サキノハカ @sakino_haka

ボーイングが資金を倹約するために設計された787のビジネスモデルは裏目に出ました。 多くの部品が不完全または不正確のまま何百もの国際サプライヤーから入ってきました。 エバレット工場の労働者は飛行機を適切に組み立てることができませんでした。

2019-08-24 00:21:13
サキノハカ @sakino_haka

「胴体セクションが到着したとき、何もできなかった理由は、サプライヤーが何も入れていなかったからです」と、現在ボーイングのエンジニア組合であるSPEAAの労働代表であるサーシャー氏は述べています。

2019-08-24 00:21:51
サキノハカ @sakino_haka

「クリップもブラケットもワイヤーもコネクタもありませんでした。何もありませんでした。だから、最初の飛行機が組み立てラインの最初の位置で15か月も費やしたのは、誰かがそれらをすべて把握しなければならなかったからです。」

2019-08-24 00:22:17
サキノハカ @sakino_haka

「そのすべてを把握する」には長い時間がかかりました。 2ヶ月で飛ぶという夢は、まさに夢に過ぎなかったのです。

2019-08-24 00:22:28

サキノハカ @sakino_haka

ボーイング社の100周年を記念して制作されたドキュメンタリー「航空宇宙の時代」の787開発のエピソード(theageofaerospace.jp/boeing/watch/e…)と、この記事(nikkei.com/article/DGXZZO… ※英語原題にはトヨタ云々はないので内容だけ読んでほしい)で概要をつかむことができます。

2020-01-11 20:57:09
サキノハカ @sakino_haka

ボーイングは市場の需要に応えて効率的な旅客機を作ろうとし、開発もマーケティングも効率的に進めようとしました。 革新的な飛行機を、世界各地の下請け企業にも連帯責任を持ってもらって製造しようとし、またそれによってパーツ生産を行う国のエアラインからの発注も取り付けようとしました。

2020-01-11 21:05:02
サキノハカ @sakino_haka

事実、このとおり日本からも大量発注をもらい、ANAをローンチカスタマーとして開発が本スタートしたのですが ……結果、プロジェクトが爆発しました。

2020-01-11 21:08:48
サキノハカ @sakino_haka

(間違った)効率化とアウトソーシング、コストカットが主な原因と言えるのかもしれません。 「航空宇宙の時代」動画内でも触れられてるとおり、アウトソーシングして任せたはいいものの、三菱重工ですら最初は満足のいく品質のものを作れませんでした。

2020-01-11 21:11:35

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