キタノ・アンダーグラウンド #5

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ワン・インチのカラテ応酬が開始される!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ブリムストーンはニンジャスレイヤーの連続打撃をガードした。赤黒く燃える拳が叩きつけられるたび、そのガードが弾かれ、徐々に身体が開いていく!「チィ……!」ブリムストーンは装甲車両の際まで追い詰められる! 22

2020-11-09 22:26:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「モドレ!」ブリムストーンが叫ぶと、ピザタキの店内で狼藉していたクローンヤクザが次々に窓から飛び出し、彼に加勢する!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」BOOM!BOOOM!ニンジャスレイヤーを包囲し、カトン・ファイアを浴びせにかかる!アブナイ! 23

2020-11-09 22:28:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ブリムストーンはニンジャスレイヤーに対応を強い、その隙をついて短打を繰り出した。「イヤーッ!」だがその短打は止められた。カトン・ファイアを背中で受けながら、ニンジャスレイヤーはブリムストーンに集中し……その短打を逸らし、逆に、拳を叩きつけていた。「グワーッ!」 24

2020-11-09 22:32:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAASH!ブリムストーンが背中から衝突すると、放射状の衝撃波が突き抜け、黒塗り装甲車両の装甲が吹き飛んだ。「コイツ……何だ?」ブリムストーンは驚愕に目を見開く。カトンを、受けながら!?「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」クローンヤクザはカトン・ファイアの第二波を繰り出した。25

2020-11-09 22:35:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは今度のカトンを耐えなかった。ブリムストーンを装甲車に釘付けにした彼は、その場で瞬時に振り返った。赤黒の鞭めいた炎が彼の腕から飛び出し、カトン・ファイアを撫で斬りにした。ヒュン。ヒュヒュヒュヒュン。彼の手には燃えるヌンチャクが握られている。 26

2020-11-09 22:38:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

飛来したカトン・ファイアを受け止め、吸収したヌンチャクは、その炎をすぐさま黒く染め上げた。ニンジャスレイヤーはブリムストーンを向き直った。そのヌンチャクで、ブリムストーンを打擲した。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」KRAASH!打擲のたび、黒炎が爆ぜる! 27

2020-11-09 22:40:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな!」ブリムストーンはへし折れた己の腕を見つめ、ニンジャスレイヤーを見つめた。「このようなニンジャが……」「イヤーッ!」「グワーッ!」ヌンチャクが顔面を打ち据える!ブリムストーンは迫る死の顎を感じた。そして決死の反撃に出た。ナパーム・カトンだ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」28

2020-11-09 22:43:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーのチョップ突きが一瞬早かった。鈍化する時間感覚の中で、ブリムストーンは燃えるヌンチャクがチョップ突きの腕に再び沈み込み、同化してゆく超自然光景を見ていた。ナパーム・カトン発生を待たず、チョップ突きはブリムストーンの心臓を貫いていた。「……グワーッ!」 29

2020-11-09 22:46:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは貫いた手を引き抜いた。その手には血塗られた羊皮紙が握られている。邪悪なる契約書だ。ブリムストーンは血を吐き、手を伸ばそうとした。そして爆発四散した。「サヨナラ!」内なるカトンが溢れ、背後の黒塗り装甲車両に引火爆発し、火柱となった。30

2020-11-09 22:48:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「……何だ」タキは横向きのぼやけた視界で、滲む火柱を見た。「無事ですか」膝枕の主がタキを見下ろした。コトブキだ。タキはバツが悪くなり、起き上がって、首の痛みに悲鳴をあげた。「アイエエエ!」「大丈夫なんですか?」「いや、ダメだ!それより……」タキは火柱をもう一度見た。 32

2020-11-09 22:53:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

祭りのモニュメントじみてメラメラと燃え上がる鉄屑のそばに、ニンジャスレイヤーが立っている。彼はKATANA治安部隊の者達と向かい合い、睨みつけ……「どういう事……ア?」訝しむタキに、コトブキは「ちょっと静かにしてください。撮影モード起動中なんです」と言った。 33

2020-11-09 22:56:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジゴクめいて険しい表情のニンジャスレイヤーは、失禁するKATANA治安部隊の立ち会いのもと、一枚一枚、手にした契約書を見せては、炎に投げ込んでゆく。「何……」タキは瞬きした。それからキタノスクエアビルを見た。既に消防車両の放水と消火作業は終わったと見え、焦げた鉄骨は骸骨めいている。 34

2020-11-09 22:59:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

既に死傷者は運び出された後だ。生き残った者の中で、軽傷者はその火を取り囲み、ボソボソと会話している。「まったく、焼け死ぬかと思ったが、外は寒いなこりゃ」「ピザ屋が焼けちゃ世話ねえよクソが」「違いねえ」「芋でも焼くか?」「俺、ちょっくら調達してくるわ」「全くクソッタレだよな」 35

2020-11-09 23:04:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オ、オイ、こりゃどういうこった」首を押さえ、タキがニンジャスレイヤーに近づいた。「お前がクソ遅せェから、オレまで駆り出されてよ……襲撃を受けて、そンで記憶が曖昧なんだが……」タキはスシ屋のムラノの記憶を手繰り寄せ、俯いた。「あの爺さん、せっかくスシ握ったのに死んじまったか」 36

2020-11-09 23:09:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まあ、そういう事もあるだろ」焚き火にあたるイシモが言った。「イッちまう前に、スシで皆助けたんだしよ。他にも死んじまった奴らもいるけど……エックシ!」クシャミをして、「それより、大事なのはそれだ、それ!」ニンジャスレイヤーの契約書焼き捨てを指し示す。焼き続ける。一枚。一枚。 37

2020-11-09 23:13:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なあアンタ、これで俺ら、もうジアゲされねンだよな?そういう事だよな」イシモはニンジャスレイヤーに尋ねた。ニンジャスレイヤーは契約書を焼きながら、憮然と頷いた。「そうだ」KATANA治安部隊はますます震え上がった。イシモは引き笑いをして、「焼けちまったけどな!地下はまァ無事か……」 38

2020-11-09 23:15:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「地上部分の焼損はカタナにでも賠償させればいい」ニンジャスレイヤーは言い、タキを見た。「要は、カタナ一社がこの一帯のジアゲを無理矢理進めようとした。他の暗黒メガコーポを無視してな」「エッ?」タキは瞬きし、ニューロンを高速回転させた。強請れる可能性を吟味する。「ま、まあ宿題だな」39

2020-11-09 23:19:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

混沌の都の日々の営みの中、ニンジャ絡みの非道行為がPOPし、そして弾けて消えた。決して小さくない被害ではあるが……チャメシ・インシデントであった。「終わりだ」ニンジャスレイヤーは全ての契約書を焼き捨てた。KATANA治安部隊に顔を近づけ、「貴様らと」コトブキを指差し、「あいつが証人だ」40

2020-11-09 23:23:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ア、アイエエエエ」「わかったか」「ア……アッハイ」「ナメるなよ」ニンジャスレイヤーは治安部隊の頭を掴んで言い放つと、解放した。彼らは回れ右し、転びながら走り去って、反重力バイクで逃げていった。タキはファックサインで見送った。「クソ、ヒデエ目に遭っ……何?」投げ寄越された物。 41

2020-11-09 23:26:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それがジアゲのニンジャの所にあった」ニンジャスレイヤーはハッポースリケンのレプリカを示した。「ア?」「これ……!」コトブキも反応した。「まさかサツガイのニンジャが……」「いや。サツガイの力は感じなかった。だが、サンズ・オブ・ケオスはまだ動いているのかもしれない」 42

2020-11-09 23:30:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンンンン……」タキは考え込んだ。「まあ、ありゃ変なネットワークだったからな……ご利益もあったワケで……でもサツガイはもういなくなって……じゃあ、アレだ、ニンジャパワーを欲しがるカルトになったとか?信奉ッつうか」「調べられるか」「……まあ、いいけどよ」タキはそれをしまった。 43

2020-11-09 23:36:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「とにかくお前、戻ってくるのが遅せェんだよ。問題解決屋」「ニンジャスレイヤーだ」マスラダは言った。「おれは、警告はしたぞ」「とにかく今は、ひとまずお互いを気遣って、散っていった皆さんを悼みましょう」コトブキが言った。片腕が折れていたが、気丈であった。「わたしは治るので平気です」44

2020-11-09 23:41:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダは息を吐き、その場にアグラした。コトブキも隣に座った。「芋を焼くぞ!」戻ってきたキタノスクエアビル居住者を、タキはしかめ面で見た。「芋なんか食ってられッかよ!」「じゃあ、どうすンだよ」「……何だよ、これ!?」オカモチ・モトクロスバイクに乗る少年が破壊の光景に仰天した。45

2020-11-09 23:44:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザック!お前、買い出しの戻りが遅……」タキは反射的に文句を言おうとしたが、破壊されたビルを見て考えを改めた。「まあ結果オーライ。ピザ出せ。焼いて食うぞ」「なんだよォ」オカモチ・カーゴに山と積まれた冷凍ピザ。マスラダはそれに背を向け、他の居住者と共に、芋を火に投げ込んだ。 46

2020-11-09 23:48:08