加藤尚武: 原子炉の安全性の設計構造とリスク・コミュニケーション

演者: 加藤尚武 演題: 「原子炉の安全性の設計構造とリスク・コミュニケーション」 日時: 2011年7月17日(日)17:30-18:30
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ala @w_ala

H. W. ルイスは、現代社会において圧倒的に大きなものとなった科学技術のリスクについて、その評価と管理を問題提起。 H. W. Lewis, Technological Risk, 1990 (Amazon http://j.mp/qGtg6U ) |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:25:50
ala @w_ala

しかしその一方で、タコマ海峡橋の保険金詐欺事件(1940)は、人為的リスクの存在を我々に明らかに。(1940年落成4ヶ月で崩壊、橋の建設費と同額の保険を掛けていたはずが、保険のセールスマンが賭け金を着服していた)  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:26:14
ala @w_ala

:確率論的安全評価: 確率論的安全評価は、発生を予測されている事態の樹形図から、その選択肢の一つひとつの発生率を確率の積で表現する。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:26:40
ala @w_ala

原発事故に関しては、イベント・ツリー・モデルが描かれ、A配管破断、B電源確保、C非常用炉心冷却装置、D放射性物質除去、E原子炉格納容器健全性というような段階ごとに、成功と失敗を枝分かれにしていくが、(続  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:28:02
ala @w_ala

続) 例えば最後の段階で「格納容器破壊」という出来事の発生する確率は、配管破断の確率と電源確保失敗の確率の積で表わされる。 |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:28:30
ala @w_ala

( 確率論的安全評価については、この間、ストレステストの想定で、石橋克彦さんが、田中三彦さん、後藤政志さんと、ちょぴっとお話されていたことをふと。。)

2011-07-18 11:29:07
ala @w_ala

:確率論的安全評価への疑問:  非常に低い確率に関しては、確率の数値の信頼度が成り立たない。 なざなら、「一億年に一度」は、テストができない。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:29:35
ala @w_ala

「複数の独立事象の確率は、それぞれの確率の積で表わされる」は数学的には正しいが、地震・津波に襲われた冷却水第一電源と第二電源は、実際には独立事象ではない。   |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:30:30
ala @w_ala

福島原発については、冷却水の電源を厳重に分離すべきだという警告は出されていたが、「不必要」という回答を東電は出し、報道によれば東大教授某もまた「不必要」と助言した。   |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:31:01
ala @w_ala

:「ルイス+東電」主義: 最悪のケースなどというものはなく、もしそれに近いものがあるというなら、それはあまりにありそうもなくて考えるに値しないようなことについて話をしているのである、ということか。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:32:24
ala @w_ala

:ルイスの設計主義: 「原子炉事故(緊急時でも)の管理で最初の原則は、決してその解決のために最悪の場合を考えないことである。想像可能な最悪の場面についての計画を基礎にしてはならない。(続」H. W. ルイス“科学技術のリスク” 宮永一郎・訳 |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:46:27
ala @w_ala

「続) 最も起こりにくい、最悪の事態に対する計画は、我々を現実に対して何の準備もない状態に放置することになりかなえない」 H. W. ルイス前掲書  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 11:51:06
ala @w_ala

"We shouldn't base all our planning on the worst things we can imagine." ( H. W. Lewis )

2011-07-18 11:54:31
ala @w_ala

:設計主義の誤謬: 「原子力安全に関する本が多数発行されているが、それらはいずれも事故を起こさない設計が達成されていれば事故は起きないとする許可ベースでの安全確保という考え方であって(続」松野元“原子力防災”Amazon http://j.mp/qVGSEo |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:00:58
ala @w_ala

:設計主義の誤謬: 「続) 防災のレベルにまで踏み込んだ住民(国民)保護という考え方に正面から対峙したものではない」 松野元“原子力防災”Amazon http://j.mp/qVGSEo |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:01:55
ala @w_ala

( 現在、Amazonのレビュー1件のみ、“まんがバカ一代”さんのレビュー読んだだけで、ゾクゾクっときた。。ふー )

2011-07-18 12:02:45
ala @w_ala

:期待値同一の原則: 大きな事故でも、その確率が低ければ、小さな事故だけど確率が高い方を重んじるべきなのか、という問題について、まあ、交通事故にあったとき、「1/2の確率で交通事故にあってしまった!」とは思わないでしょ?w  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:04:22
ala @w_ala

:確立は経験の外: 1887年に書いたものだったかな、引用するに、すこし古い文献で恥ずかしいのだが。。Ch. S. パースは「個々の推論は真か偽かのいずれかのはずであり、そこに確率的効果は全くない」と。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:41:12
ala @w_ala

ナホトカ号重油流出事故の折に、ナホトカ号の船長は、予期せぬ事態だから日本の住民に賠償などしないと言ったかどうか。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:41:44
ala @w_ala

そんなことは決して言わないんですね。バルディーズ号の座礁事故(1989)があって以降、このような大きな事故については台風や地震など、予見不可能な抗弁を言い逃れとしないという原則、「無過失責任」が確立された。 |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:43:32
ala @w_ala

これは影響が重篤な危険を伴う事故は、完全な現状回復が不可能で、反復して発生することが、生活環境を不可逆的に劣化させることになるので、反復して発生することを防止するための制度。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 12:46:22
ala @w_ala

日本における原子力損害賠償法成立時(1961)には既に、この原則が取り入れられている。原子力事故の場合、地震・津波など天災による場合であっても、責任を免れることはできないと。それこそ隕石が降ってきたとか、奇想天外なことが起こらない限りにおいては。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 13:44:26
ala @w_ala

原子炉設計は期待値同一・確率論的に設計されているかもしれないが、原賠法上は違う、この不整合が今回の東電福島原発事故におこっているのではないだろうか?  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 17:32:05
ala @w_ala

無過失責任を求められる法理のもとでは、「三陸津波(1896)の二倍程度の災害に対処できる」という安全基準を設定することは、最低限度、必要であったのではないか。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 17:34:17
ala @w_ala

また、今回の東電福島事故以前に、2007年には中越地震がおこり、柏崎刈羽原発内の運転中の全ての原子炉が緊急停止、火災、計器破損などの事故があった。この時、既に「想定外」の事態が幾つか発生しており、そのデータを基にして原発の安全性を徹底的に吟味すべきだった。  |加藤尚武 7/17

2011-07-18 17:36:31