日本労働研究雑誌 2020年9月号～特集：専門・管理職の女性労働

Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

換言すれば，「家族がいない子ども」を対象とする施策から「家族はいるがそこでケアを受けられない子ども」へと，社会的養護の対象となる子どもが変化してきた

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児童相談所における虐待相談対応件数の推移 pic.twitter.com/NPVlffjAE3

拡大

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広田（1999）などが指摘しているように，近代以降，日本において家族に要求される子育ての水準は一貫して上昇してきている。つまり，親，特に母親は，手持ちの資源をすべて投入して子どもを育てるべきという，「子ども中心主義」〔落合（1989）〕が近代日本において浸透し，

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それは今日にいたるまで家族に課せられる責任を重くし続けきたのである。その背景には，「子どもは大人とは違う存在であり，それゆえ愛情を持って保護すべきである」という子ども観が，近代以降に確立したことが関係していよう〔Ariès（1960=1980）；落合（2004）〕。

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こうして「保護されるべき子ども」という観念が社会に浸透するなかで，「児童の権利に関する条約」（以下，子どもの権利条約）が国連で採択されたことと連動するかのように，1990年代以降，児童相談所における虐待相談対応件数は右肩上がりに上昇し続けている

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(´ω`；) リスクアセスメントの名のもとでの家族への監視の強化である〔上野（2006）；田中（2011）〕。リスクアセスメントとは，「90年代末から開発が進められた...蓋然性という統計学の知のシステムを媒介させた児童虐待の発見方式」を指す〔上野（2006），p.263〕。

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そこでは，「個々の子どもに実際に加えられた有害な行為のみならず，なんらかの仮説にもとづいて児童虐待との関連性を検証されたとされる子どもや養育者や家族に関する広範な諸特徴があげられている」。その結果，母親の年齢が若いことや子どもがアトピーであることなど，

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それまでは虐待と関連づけられていなかったようなことが，「『リスク』という考え方を介して，統計的に検証することで虐待と関係する要因になってきたのである」〔上野（2006），pp.263-264〕。リスクアセスメントの考え方では，「虐待のリスクは個人が回避できるという前提であるから，

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自分の運命を変更できなかった，児童虐待の諸リスクをマネージできない親の心理的・性格的問題ならびに家族的な課題に注目がいってしまう」〔上野（2006），pp.267-268〕4)。すなわち，児童虐待のリスクとされる項目をうまくマネージできているかという点から，

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家族に対して監視が強まるのである。この点については，田中も同様に，「『子どもの生命を守る』という名目の影で，行政主導で日本の家族全体に対する監視・管理の強化が急速に進行している」と指摘をしている〔田中（2011），p.121〕。