食べると不死身になれる、って伝説がついてるレアなファンタジー生物を探す男の話。4

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江口フクロウ@眠み @knowledge002

「そう…今は気遣ってる余裕はないわね…ネンジャ!…ネンジャ?」 頭の上と隣で交わされる重大な会話も、今はほとんど耳に入っていなかった。 唐突に始まった異変には未だについていけないが、一つだけわかったのは。 幸せな生活が、終わるということだ。

2020-11-18 20:18:08
江口フクロウ@眠み @knowledge002

「おいネンジャ!俺はここで別れる!お前らはまっすぐ外を目指せ!」 「…はっ、はい!い、イルラさんはどうするんですか!?」 「今言っただろジンロウ助けに行くんだよ!あいつを置いていけるか!」 「な、ならわたしも!」 「…っ、足手まといだ!」

2020-11-18 20:20:13
江口フクロウ@眠み @knowledge002

これ以上は無駄な話だと判断したのか、イルラは突然角を曲がって走り去っていった。ついていこうとしたが先んじて髪を引っ張られ、仕方なくまっすぐ走り続ける。 大通りに出た。今の自分の姿は魔法で人間に見えているのだから、人混みに入ればそれだけで少しは安心できる。 はずだったのに。

2020-11-18 20:22:59
江口フクロウ@眠み @knowledge002

「だめ!走りなさい!」 「でもっ、人に当たったら…」 「そんなこと言ってる場合じゃない!敵に魔法使いがいる!」 肩がびくりと震えた。 魔法の力はよく知っている。それが、自分たちを追う誰かにも備わっている?

2020-11-18 20:26:02
江口フクロウ@眠み @knowledge002

「魔法が使えるってことは他の魔法を感じ取れるってこと。常時魔法使いっぱなしのアタシたちはもう見つかってる。できるだけ撹乱はしてるけど、覚悟を決めて。もう、アタシたちは戻れないわ」 「……っ!」 「…いい子ね。ネンジャ、アンタのことは必ずアタシが守る。だから、逃げることだけ考えて」

2020-11-18 20:28:33
江口フクロウ@眠み @knowledge002

滲んだ涙を堪えながら、ネンジャはゆっくり頷いた。

2020-11-18 20:29:10