茂木健一郎さんの「テレビの未来」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの7月24日の連続ツイート。 アナログ放送が終了し、地デジに移行する「テレビ」のさらに未来を考えて。 視聴率にこだわり、CMを見せるためのコンテンツと化した番組は変わるのだろうか・・・
4
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、本日アナログ放送の終了を迎えるテレビについてです。

2011-07-24 09:07:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(1)本日の正午、アナログ放送が終了し、地上デジタル放送に完全移行する。1953年2月1日、NHKが日本での地上波テレビ放送を開始して以来60年近くを経て、テレビの歴史が大きな転換点を迎えている。そこで、今日は、テレビの未来について、考察してみたい。

2011-07-24 09:10:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(2)テレビの意義を問う人がいるが、どうしても見ておかなければならない映像がある。9・11テロや、東日本大震災など、歴史的事態においては、テレビは社会の共通体験のチャンネルになる。そのような緊急事態においてこそ、テレビはその存在意義の根幹を問われる。

2011-07-24 09:11:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(3)日本のテレビは、内容がより多様になるべきだろう。どのチャンネルをひねっても似たような内容になるのは、視聴率競争の結果というよりは、制作側の都合の側面もある。タレントを使うと、制作管理が楽である。だから、一般の人が参加するような番組が減ることになってしまう。

2011-07-24 09:13:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(4)遅くとも数年以内には、アップルかグーグルあたりが、放送と通信を融合したネットテレビを出してくる。地デジの同時性に加えて、自由に番組を選択できる日が来る。多様性を欠く現在のゴールデンの番組は、人々に選択されない。ネットテレビ時代に備えて、多様な番組が必要。

2011-07-24 09:15:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(5)BBCはiPlayerを国外にも対応させると発表している。従来、地上波放送は「国家」と深く結びついてきたが、ネットテレビ時代には競争が国際的なものになる。今まで国内市場で閉じてきた日本のテレビも、勢い、グローバルな文脈で競争せざるを得なくなる。

2011-07-24 09:16:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(6)瞬間的な視聴率と、コンテンツとして能動的に選択される番組では、人気の出る内容が異なる。現在の日本のテレビは、刹那的なチャンネル専有という文脈に特化した内容。数年後も繰り返し見られる「古典」が育ちにくい。ネットテレビ時代には、古典制作が経済的にもペイする。

2011-07-24 09:19:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(7)グーグルは、多言語への対応を一つの重要課題として取り組んでいる。ネットテレビでは、放送言語と字幕言語の組み合わせが、自由に選択できるようになる。その結果、放送文化は、国際的なるつぼの中で溶け合うことになる。日本のテレビのドメスティックな傾向は弱まる。

2011-07-24 09:23:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(8)送出するチャンネルがネットを含めて多様になっても、番組制作の需要が減るわけではない。新しいメディア環境で、市場原理は、必ず、より大きな市場(国際化)、長期の収益(古典化)を促すようになる。その時、劣化が指摘されてきた日本のテレビの内容も、改善するだろう。

2011-07-24 09:25:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

てみ(9)現在のテレビの「劣化」は、結局、閉じた世界で同じ人たちがぐるぐる回していることに起因している。地デジやネットとの融合が、外の世界の風を吹かせれば、番組内容は必ず変わる。「タレントの内輪話」は、国際的な市場価値はゼロ。テレビは本来もっと良いものだと思う。

2011-07-24 09:27:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、本日の正午をもってアナログ放送が終了し、地上デジタル放送に完全移行する「テレビ」の未来についての、連続ツイートでした。

2011-07-24 09:28:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

高校生クイズは、日本のテレビでは珍しい、ガチンコの「知のバトル」。BBCのUniversity Challenge(http://t.co/uwivZBU )のように、大学対抗のガチンコのクイズがあったら面白い。大学の「ブランド」がはがれて「実力」が出る。

2011-07-24 09:36:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

The God Delusion (http://t.co/zZ7sFi1) は、WRITTEN and presented by Richard Dawkins. このように、ナレーションのコメントを含めて、ある人物が一つの世界観を示す番組が日本でもあってよい。

2011-07-24 09:39:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

あっ、そうですか。それは面白そうですね! @e_liot 大学対抗クイズといえば、一か月くらい前に『最高脳』っていう、理科の実験結果を理系の学生が予測する番組がありましたよね。

2011-07-24 09:40:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

テレビの制作者たちだって、自分たちが心血注いだ番組が、何年も見られるのはウレシイはず。ところが、日本のテレビは、刹那的な視聴率競争の、自転車操業になっている。もっとじっくり、コンテンツを作り上げる体制があってもいいはずである。

2011-07-24 09:42:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

Fawlty Towers( http://t.co/qGqEE5p ) は、BBCで1975年、1979年放送された古典的コメディ。第一シリーズ、第二シリーズそれぞれ6本ずつ。30分×12回のコンテンツを、練り上げて作ればずっと生命を保ち続ける。

2011-07-24 09:46:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

英国の、すぐれたコメディを一年に6回×2、それに「クリスマス・スペシャル」を1回だけ作って終了するという文化は、日本にもあっても良い。日本では「レギュラー」になると、半年で二十本はつくるわけだが、これは多すぎる。放送回数を絞って、内容を磨き上げることで、古典を作る。

2011-07-24 09:49:53