チェルノブイリ救援中部メンバー中熊弘隆さんによる、南相馬放射能測定報告 No.2【完結編】
南相馬市における放射線測定89. 予定されたすべての作業を終了したチェル救と地元スタッフは、鹿島区のボランティアセンターに集合し、お互いの労をねぎらい、各地区の様子を情報交換した。その時拾い読みしただけの極めて大雑把な数値データではあるが、やはり、海岸部の線量は低く出ていた。
2011-07-19 22:29:3090. 活動前日に僕が津波被害が甚大な海岸部を測定したときとほぼ同レベルの数値、0.1μSv/h台が多く出ていた。それは、この地域がほとんど汚染されていないことを物語っている。おそらく、津波が障害物となるものを根こそぎ押し流し、放射能は上空を通り過ぎて行っただけだったのではないか
2011-07-19 22:30:2991. 「津波は多くの犠牲とお引き換えに、この地域を放射能汚染から守った」という表現は、やはり犠牲者の方々への非礼になるのかもしれない。しかし、そう思えるほど低いのだ。ともあれ、この点は今後の復興計画の立案に当たって織り込まれなければならない重要なデータだろう。
2011-07-19 22:30:5592. 今回、3次に渡って実施された測定作業で得られたデータは、8月までに500mメッシュの地図に落とされ、住民の方々に示される。そして秋には第2回目が計画されている。その時には、3月に発注し、ようやくこの8月に届く予定の100台のウクライナ製線量計が使用されるはずだ。
2011-07-19 22:31:5393. 2回目以降は、地元住民の広範な参加が不可欠となるため、チェル救は、今から交流を深める活動を始めている。その後は、更に詳細なマップ作りと、除染作業の支援等が同時並行で進められると思われるが、多くは未定である。住民の参加が、今後どの程度の広がりを持つかで決まる。
2011-07-19 22:32:1794. 23年間チェルノブイリに通い続け、豊富な経験と知識を持つ彼らを、南相馬の人々は大いに活用すべきだと僕は思う。やって来るのは年齢制限をクリアした50,60のおじさんおばさんだが、役には立つ。「頑張ろう」の言葉に命を吹き込む仕事ができると僕は確信している。ここまでひとまず了
2011-07-19 22:33:15消えた線量計の行方① 4月初旬だったと思うが、僕は、「海外から寄せられた多くの線量計が行方不明になっている」と発信したことがある。この件に関して現地で新しい情報を得た。現地活動を続けるNGOの責任者の話によれば、米国とフランスから3月15日前後には合計5万台の線量計が届いていた。
2011-07-20 23:12:33消えた線量計の行方② その後、線量計は行方不明となり、2ヶ月以上たってから、「税関に留め置かれていた」という事実を市民団体が知り、国に事実確認をしたところ、国は一度はその存在を認めた。しかし再び線量計は消えた。関係者にどれだけ問い合わせても「知らない」の一点張り。
2011-07-20 23:12:50消えた線量計の行方③ ところで、今現在、被災地の警察と自衛隊の全ての車両に線量計が配備されているらしい。全国から動員された警察や自衛隊の車両の実数を僕は知らないが、その全車両に線量計を配備する必要があるのだろうか?また、その線量計はどこから調達したのだろう。
2011-07-20 23:13:22消えた線量計の行方④ NGO関係者は、「絶対にあの5万台が使われている。」と、断言する。喉から手が出るほど欲しい線量計だ。恨み骨髄なのだ。本来は、自治体を通じて住民に届けられるべきものなのだ。どうか100台でもいいから僕らに分けて欲しい。僕らは必ずそれを有効に活用できる。
2011-07-20 23:14:03チェル救事務局発 南相馬市の汚染マップ(汚染度による色分け)が7/28に完成します。現地発表会を下記の要項にて開催予定です。8月3日18時~21時 南相馬市労働福祉会館 第二会議室 0244-23-5507 当組織より「汚染マップから見えること」の報告及び 参加者からの質問
2011-07-21 15:16:38屋内測定で分かったこと、考えたこと① いかに屋内の線量が0.2μSv/h台前半に落ち着いている屋内でも、玄関から上がったばかりの「足ふきマット」(正しい名称は知らない)の上だけははっきりと高い線量が出る家庭が少なからずあった。0.3~0.6μSv/h程度は出ることが多かった。
2011-07-21 21:52:38分かったこと、考えたこと② これは、「足ふきマット」が、玄関からの放射能の侵入に対して、バリアとして機能していることを意味していると思う。だから「足ふきマット」はあったほうがよい。但し、頻繁な洗浄が必要なことは言うまでもない。もう一つ気になるのは、窓際のカーテン。
2011-07-21 21:53:04分かったこと、考えたこと③ 極端に高いというわけではないが、特に厚手のカーテンの近くでは数値が上がることがあった。マット同様に、カーテンが窓からの汚染のバリアになっていると思える。広げると面積があるから、カーテンの洗濯は、屋内の線量を下げる効果があるかもしれない。
2011-07-21 21:53:39分かったこと、考えたこと④ 次に窓の開放に関してだが、多くの家が窓を閉め、「節電」ということでクーラーもつけずに、蒸し風呂のようになっていた。これでは放射線にやられる前にまいってしまう。僕らはほとんどの訪問先で窓を開けることを薦めた。勿論、原発からの風向きには注意を払いながら。
2011-07-21 21:54:11分かったこと、考えたこと⑤ 僕は、放射能汚染の被害を被っている地域の住民には、「節電」など拒否する権利があると思っている。しかし、「クーラーは嫌い」という人も多い。自宅に戻ってから、こんなことを思いついた。薄手のカーテンを時々霧吹きなどで湿らせながら使用するといもの。
2011-07-21 21:54:38分かったこと、考えたこと⑥ 通気性を確保しながら、湿らせることでカーテンのフィルター効果を上げ、しかも屋内の気温を下げる効果もあるはず。勿論これは実験で確かめたわけでもなく、僕の思いつきすぎないが、試してみる価値はあるのではないかと思う。次は、掃除の方法である。
2011-07-21 21:55:07分かったこと、考えたこと⑦ 掃除機と空気清浄機を併用するのが一番効果があるのではないかと僕は考えている。土や砂埃と一緒に屋内に持ち込まれる放射性物質は、その土や砂埃の成分に非常に強く吸着しているはず。それを効果的に取り除いてやればいい。だから雑巾がけには疑問符が残る。
2011-07-21 21:55:33分かったこと、考えたこと⑧ フローリングの床であれば、効果を得られるかもしれないが、畳の場合はどうか。上からゴシゴシやることで粒子の細かい埃が隙間から奥へ入り込む可能性があるように思える。特に水拭きでは。むしろ、掃除機で丁寧に吸引した方が確実のように思えるのだがどんなものだろう
2011-07-21 21:56:11分かったこと、考えたこと⑨ 衣類の山に線量計を近づけると、線量が上がるということが度々あった。恐らくあの山の中には、住民が一時避難したときに着用していたものが含まれているのではないか。その後何度も洗濯はしているはず。それでも落ちないほど大量の放射能を住民は浴びたのだろうか。
2011-07-21 21:56:41分かったこと、考えたこと⑩ 次は台所。屋内がほとんど0.2台前半に落ち着いているのに、台所だけ0.3を超える家が何軒もあった。多くの民家の台所には裏庭に通じる戸がある。裏庭は苔が生えていたりして、表よりも線量が高い場合が多く、そこから台所に侵入したものと考えられる。
2011-07-21 21:57:05分かったこと、考えたこと(まとめ) 屋内の線量を低く抑える基本は「こまめな掃除と洗濯」。これを怠ると「放射能の屋内濃縮」が始まってしまう。屋内には「土砂降りの雨」は降らないのだから、汚染地帯に暮らす人々は心しておくべき。暇さえあればせっせと掃除をされることを薦める。了
2011-07-21 21:58:24福島市とその周辺① 南相馬でチェル救のメンバーと別れ、僕は、国道115号ルートで福島市に向かった。このラインは、本来ならドライブコースとしては最高。豊かな森と美しい渓流が続く。伊達市に入り霊山町を通過中、車内の線量計が急激に上がった。1μSv/h前後だったのが2.5を表示した。
2011-07-25 21:07:03福島市とその周辺② 近くに駐車場があったのでそこに車を停めた。「霊山こどもの村ドライブインこだま」とある。車を降りて、すぐ脇の芝生の上に線量計を置いた。ポンコツ君はいきなりギブアップしてしまった。10μSv/h以上が出ていることは間違いないが、正確に計測できない。
2011-07-25 21:07:26福島市とその周辺③ その挙動からして、20μSv/h程度はありそうだが、断定はできない。しかし、線量以上に驚いたのは周囲の光景だった。その日は日曜日だった。僕のすぐ脇にはツーリングを楽しむ若いライダーが伸びをしている。その向こうでは車の中で若い男女が笑いながら会話をしている。
2011-07-25 21:07:57