Voxel-based morphometryは現代の骨相学か?

近年注目を集めるvoxel-based morphometry (VBM)。これに最近「骨相学のようなもの」という批判。その批判が妥当かどうか検証してみた。
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@vikingjpn

話は変わるが、とあるブログでちょっとした問題提起がなされていたことを知った。それは何かと言うと「voxel-based morphometry (VBM)は現代の骨相学か?」というもの。「クリスマスツリー的fMRI」は確かに骨相学的だと思うけど、VBMは迷う。

2011-07-26 18:41:39
@vikingjpn

「VBMは骨相学的か?」という問いに答えるためには、まず「個人差」を神経科学としてどう扱うのかという前提が必要だろう。VBMの機能的知見は個人差からしか導き得ないので、もし「個人差はただのバラつきであり普遍的要素だけが重要」と考えるならVBMはお払い箱になる。

2011-07-26 18:52:56
@vikingjpn

ただし、VBMの機能的知見は「普遍的機能の個人差」によって導かれるため、話がややこしくなっている。即ち「普遍的要素の追究に個人差を利用しているに過ぎない」とする立場だ。恐らくVBMの研究者の多くがそうだと思う。

2011-07-26 18:56:19
@vikingjpn

もっとも、かつての骨相学も「普遍的機能の多寡」を頭蓋骨形状の個人差から導こうとしていた。よって、ロジックの展開という点でかつての骨相学とVBMとの間には本質的な違いはないとも言える。解剖学的特徴に拠る、という点も同じだ。

2011-07-26 18:59:48
@vikingjpn

だが、これまでの議論は全て「個人差を神経科学としてどう扱うか」という最初の問いに対する答え次第で、いくらでも変わってしまうものでしかない。「VBMは現代の骨相学か?」という問いが提起する問題の根は深い。

2011-07-26 19:03:09
@vikingjpn

ちなみに、「個人差に基づく神経科学的知見」はVBM以外でも非常に多い。神経経済学・社会学のfMRI研究で頻出の「課題成績vs.脳賦活強度との個人間相関」なんて最たる例だ。ある意味あれだって立派に骨相学的なんじゃなかろうか。

2011-07-26 19:07:51
@vikingjpn

個人的には、「VBMは骨相学的」という批判を100%回避できる研究方法があるとすれば、それは介入試験+介入前後でのVBM比較というセットだと考えている。要するに神経可塑性を引き起こさせて、これをVBMで検証するというやり方だ。これなら文句なく受け入れられるはず。

2011-07-26 19:25:16
@vikingjpn

結局、「骨相学的」という批判を免れるために必要なものは、correlationではなくcausation(もっと言えばmanipulation)だという、科学方法論として普遍的な解にたどり着くわけだ。これは興味深い。

2011-07-26 19:36:48
@vikingjpn

ただまぁ、VBMと骨相学のロジックが似ているのは事実なので、釈然としない研究者が多いであろうことは想像に難くない。遠からぬうちに誌上論争が勃発するだろう、と予言しておく。

2011-07-26 19:58:53
@vikingjpn

拙ブログ記事を今朝up。『Voxel-based morphometryは「現代の骨相学」なのか? 』 http://bit.ly/nK5Dh8 要するに http://togetter.com/li/166471 を記事にしたものです。笑

2011-07-27 10:07:16