ストレイトロード:ルート140(54周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」をベースに、毎日1作ずつ投稿している掌編という名の習作。 今回は2651~2700+おまけ。終盤のリクエスト回数以外の共通テーマは「形容詞」。なお各話の内容につながりはありません。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

連れ去られた藍をやっと発見したが、身動きが取れないという。細い手首を縛る縄がやけに固く、手間取る間に足音が聞こえた。「わたしは大丈夫、先にあれ持ち出して」部屋の隅で藍の荷物が棚に括りつけられていた。彼女に施されたものよりずっと緩い拘束をすぐに解き、取り返した鞄を抱えて身を隠した。

2021-01-28 19:08:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2687。緩い。 選んだ単語の割に緊迫した場面になってしまった。

2021-01-28 19:08:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

船内を探した末、倉庫でコンテナに背中を預けて座る藍を見つけた。中から怪物の弱々しい鳴き声が聞こえる。音だけ認識したなら頑丈な檻にそぐわない小動物を思い浮かべるだろう。「様子が気になって?」「危うく船沈むところだった」思わぬ指摘に息を呑む。「わたしが来たとき、この箱壊そうとしてた」

2021-01-29 19:21:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2688。弱々しい。

2021-01-29 19:21:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

怪物が目撃された小屋は車が通れない山奥にある。地元の少年が案内するとついてきたが、彼が知る道は途中までだった。「ツラい。キツい。もっと楽なコースとかないの」弱音の主は一言発するごとに私達から遠ざかっていく。先頭を行く藍が振り向きもせずに答えた。「道がある時点でマシなコースだから」

2021-01-30 19:59:05
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2689。楽な。

2021-01-30 19:59:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

道路を塞ぐ人だかりの中に若い男がいた。その身に纏う青は空軍の隊服と思いきや数点明らかに異なる箇所がある。恐らく役柄の衣装で、映画の撮影か何かあるのだろう。「回り道まで通れなくなってる」野次馬には彼らの名も作品名も関係ない。中心人物の凛々しい姿を指しては騒ぐ人々に藍は苛立っている。

2021-01-31 18:54:40
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2690。凛々しい。 見とれる人と、最初からスルーする人がいる。

2021-01-31 18:54:40
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

香辛料が材料の大半を占める、ただ辛いだけのように見える料理を、男は黙々と口に運んでいた。「つらくないの?」彼が手を止めたわずかな隙に藍が話しかけた。「何故そう思う」「どんなにおいしくても同じ味だけ食べ続けるのは大変だっていうから」スパイスの強い刺激に対する心配はしていないらしい。

2021-02-01 18:44:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2692。辛い(からい/つらい)。

2021-02-01 18:44:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

@Rista_Bakeya これ正しくは2691ですね。何かおかしいと思ったら。

2021-02-02 18:37:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

綺麗に片付いた客間の隅に丸めた紙が落ちていた。それを広げると、数字の羅列と落書きのような記号が現れた。「誰かの連絡先ね」藍には心当たりがあるらしい。端末に入力すると住人の一人に繋がった。『早く逃げて』親の前では礼儀正しい子供をうまく演じていたが、心は全く違う方に向いていたようだ。

2021-02-02 19:23:41
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2692。礼儀正しい。

2021-02-02 19:23:42
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「何が調査活動だ。ろくでもない男に連れ回されて、魔女なぞ名乗って騒ぎを起こして」手紙には協力すると明記していた大学教授が、いざ対面すると全く違う態度を取った。「少しは自分の将来を心配したまえ」人の将来をどう想像しているのか。言葉として出せない不満の数々が藍の表情を険しくしていく。

2021-02-03 18:54:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2693。ろくでもない。

2021-02-03 18:54:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

山道の途中に車を残して歩くこと数時間、私達を待ち受けていたのは急斜面に造られた長い石段だった。見上げただけでよろけそうになる私の横で軽快な足音が駆け出した。お菓子の力で回復した地元の少年、競争心を刺激された藍が並んで最上段を目指す。若いからの一言では片付かない差が既に開いている。

2021-02-04 18:52:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2694。若い。

2021-02-04 18:52:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「どうしよう、これ」藍は静かに手を放した。水分をたっぷり含んだ紙がテーブルに貼り付いた。「聞き込みをやり直すしかないかと」私は天板の縁を拭いた。この町へ私達を導いた地図は黄色い絵具で塗り潰され、書き込んだ字の大半が滲んで読めない。頑是無い子供の行いと割り切るには損害が大き過ぎる。

2021-02-05 18:57:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2695。頑是無い(がんぜない)。 まだ幼くて善悪などを判断できないこと。

2021-02-05 18:58:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

部屋に入ってきた研究員を見るなり藍は背を向けた。「わたしは言われた通りやっただけ」窓の外はすっかり白い。軍が怪物を押さえ込む作戦に必要な風向きは確保できたが、現場の人々は今頃視界の悪さに苦戦しているだろう。「吹雪くなんて思ってなかった、と?」余計な指摘には沈黙しか返されなかった。

2021-02-06 19:43:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2696。吹雪く。 名詞ではなく動詞の指定。 提供: @raaaaaaaaaaaa14

2021-02-06 19:43:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

怪物が棲む森へ少年が入ったらしいと聞き、村総出の捜索を手伝った。日没を過ぎ住民達を帰らせた直後、問題の人物がふらりと現れた。「どうやって戻ってきたの」「道がないなら作ればいいのさ」光る石を撒いて帰りの目印にしたと少年が胸を張る。すかさず藍が拾った石は蓄光塗料の色に薄く光っていた。

2021-02-07 18:55:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2697。石。 目印をたどってくるのが自分の他にいると思わない、その程度の感覚。 提供: @usaurara

2021-02-07 18:55:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

次の旅先は見知った場所だから大袈裟な装備は要らない。その割に車内の荷物がやたら多いことを不審に思い、急かす藍を宥めながら積み荷を改めた。「こんなの入れた覚えない」口を尖らせた彼女の手には登山の道具。「ママ、今回は山じゃないって言ったよね?」余計な気遣いを改めさせるのは難しそうだ。

2021-02-09 00:14:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2698。改める。 意味が複数あったのでどれも入れてみようとして、悩んでいたらこんな時間! 提供: @yumemiya_kuku

2021-02-09 00:14:21
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