特殊設定と後期クイーン的問題

琳 @quantumspin

「現代実在論と後期クイーン的問題」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1667250

琳 @quantumspin

ミステリマガジン誌上の権田萬治さんと笠井潔さんの「大量死論」をめぐる論争についてまとめ togetter.com/li/140014

琳 @quantumspin

最近ではよく笠井さんの大量死論について考えているのですが、世界大戦の大量死と東日本大震災の大量死とは意味あいが違うような気がしています。

琳 @quantumspin

人災と天災との違いというのでしょうか。対戦や洞爺丸の場合、固有名を剥奪する他者がいたわけであって、これに対する抵抗として探偵小説が位置づけられていた。恐らく大量生も同じ構図ですよね。

琳 @quantumspin

ところが東日本大震災の場合、相手は自然な訳であって、他者から自然へ、大量死に抵抗する相手が変わっているわけです。近年の特殊設定ミステリの流行が、この違いに起因するものであれば面白いのではと思いました。

琳 @quantumspin

地震に限らず、温暖化であったりゲリラ豪雨であったり、台風であったり、最近では豪雪もありましたし、自然の暴力的な存在感は年々高まっていますから、ミステリの流行にもそうした影響は影を落とすような気がするんですよね。

琳 @quantumspin

天災にはどこか、従来の自然法則を逸脱しているかのように感じられるところがあるかもしれません。時に天罰といわれたりもするわけです。少なくとも、既存の社会システムにとっては脅威でしかないわけで。

琳 @quantumspin

こうした社会システムを破壊する、コントロール不能な自然災害によって個人の尊厳が脅かされるわけです。これに抵抗し、自然を支配する欲望のようなものが技術を発展させてきたわけです。アレントに言わせればそれこそが「人間の条件」のようなものです。

琳 @quantumspin

特殊設定ミステリには、どこか世界をコントロールする意志のようなものがある気がします。設定や世界観をトリックに奉仕させる意志というのでしょうか。そういう意味では館ものも構図は似ていますが、館はあくまで人工物であって、設計した他者が居るわけです。

琳 @quantumspin

設定や世界観をトリックとして使い倒す欲望は、技術の進歩によって天災を制御する欲望とどこか似ています。「人間は自然な地球で生きるだけでなく人間がつくりだす世界に住むのでないかぎり、完全に人間になることはない」というアレントの考えには、やはり人間の条件をめぐる笠井さんの議論を思い出す

琳 @quantumspin

近年の現代実在論の流行は、天災や環境問題によって自然（モノ）の存在感がかつてなく強まっている事ともむろん関係していると思います。その時に天災を〝擬人化〟するとキャラクターが出てくるし、非日常と捉えると特殊設定が出てくる。人物と捉えるか世界と捉えるかの違いで、起源は同じに見える。

琳 @quantumspin

ところで、特殊設定と後期クイーン的問題とは、個人的にはあまり関係ないような気がしています。特殊設定であっても後期クイーン的問題が生じる場合はあるでしょうし、生じない場合ももちろんあると思います。

琳 @quantumspin

一方で、特殊設定の場合、テクストの記述がフェアかアンフェアかという、読者の問題が出てきますよね。これは後期クイーン的問題とは関係ありませんが、地の文に書かれていない新たな世界の法則の存在を否定できない、という問題が生じる点では、ミステリマニアの悩みのタネになるものかもしれません。

琳 @quantumspin

特殊世界の法則を常識と捉え生活する探偵にとっては悩みでもなんでもない事象が、これを〝特殊〟と読んでしまう読者にとっては、大変な悩みのタネになる場合があるわけです。後期クイーン的問題は生じないけど、作者が証拠を後出ししてくる問題は起きうるわけです。これは端的にアンフェアという事です

琳 @quantumspin

「虚構内存在と後期クイーン的問題」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1670687