シンタロールのツイノベ

シンタロールによるツイノベをまとめています
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シンタロール @shintarawl

七夕祭りの賑やかな雰囲気は夏の予感がいっぱいで大好きだ。だけど今年はそれどころじゃない。お前がいつも青色の短冊を選ぶことぐらい知ってるし、癖のある不器用な字だってすっかり見慣れてる。あの願い事ってどういう意味だよ。隣で笑うその顔が、今日はマトモに見られない。 #twblnovel

2012-06-23 15:17:21
シンタロール @shintarawl

水が1g蒸発すると、約0.58kcalの熱が奪われる。先生はそう言ってた。でも、流した汗の分だけおれたちは熱くなっていった。気づけば季節は夏だ。この夏が終わらなければいい。おれが青空へ高く打ち上げた白球の行方も、この恋の行方も、今はまだ、眩しくてわからない。 #twblnovel

2012-06-23 15:03:45
シンタロール @shintarawl

明日は国語の小テスト。泊まりにきたお前と遊びで四字熟語の問題を出し合ったあと、灯りを消して寝転ぶと、お前が言った。「じゃ、寝る前にもう一問な。『白河夜船』の意味は?」何だよ、それ?「熟睡してて、その間に何があっても気づかないってコト」おい、眠れなくなんだろ。 #twblnovel

2012-06-23 14:37:52
シンタロール @shintarawl

「ったく、いつから東京は亜熱帯気候になったんだよ」突然の雨空を見上げ、煙草屋の軒下でそっと溜め息をつく。「いいじゃん、ちょっとデカ目の相合傘で雨宿り」ちぇっ、そんな風に笑われるともう、心の中まで水浸しだ。きっと雨はすぐに止んで、水たまりをキラキラ光らせる。 #twblnovel

2012-06-23 14:23:18
シンタロール @shintarawl

「なあ、俺達も『今、相手に言って欲しいこと』を言い合ってみようぜ」悪戯っぽく笑う。今見たばっかの映画に影響されるあたり、本当にガキだな。ま、いいけど。「『オゴるから、ラーメン食いに行こ!』」と、俺。「『俺とつきあってくれ!』」と、お前。んで、うっかり頷く俺。 #twblnovel

2012-06-23 14:07:03
シンタロール @shintarawl

「あー、最後の夏が来ちゃうなあ!」「うん。高校最後の、野球部最後の夏だなあ」夏大抽選会の帰り道、お前の返事が夏雲みたいにぷっかりと青空に浮かんだ。「…できるだけ長く続かせたいな、夏」俺は小さく、だけど力強く頷く。こんなにお前の傍にいられる、最後の夏だもんな。 #twblnovel

2012-06-23 13:53:41
シンタロール @shintarawl

同じクラスなんてマジでラッキー。1/6の確率だ。しかも隣の席とかすげーツイてる。うちのクラスは30人で、窓際や廊下側だと隣の席は1つしかないから…、みたいな計算をしてたら「何してんの?」と訊かれて慌ててノートを隠した。…まあいっか、結構奇跡的ってことは確かだし。 #twnovel

2012-04-25 23:34:16
シンタロール @shintarawl

「ロン!チートイのドラドラ!また俺の和了りだな」「単騎かよ!つかハコッたし!」「お前、金ねーんだろ?これ以上は無理だな」「ハコ下ありで…と言ったら?」「まさか…!体で払うってのか?」「覚悟は、できてるッ…!」オイ、何なんだよオメーらはよ。対面のアイツも同じ反応。 #twnovel

2012-04-25 23:26:05
シンタロール @shintarawl

発光桜の花びらが青白い光彩を放ちながら舞い散ってゆく。「発光素がルシフェラーゼにより酸化して光るんです。蛍と同じように」幻想的な光景に酩酊してしまう。「はあ…、儚いものと儚いものを掛け合わせたんですね」僕が言うと、男は「儚くないものなんてありませんよ」と笑った。 #twnovel

2012-04-25 23:21:58
シンタロール @shintarawl

「四月生まれはトクだよなあ。おれは先月やっと十三になったとこなのに、お前はもう十四かよ」口を尖らせておれを見上げる。「だからお前はおれより背もデカいし、脚も速いんだ。でもなあ、一年後のおれを見てろよ!」…っつーその感じが好き、とか言ったらコイツ、怒んだろうなあ。 #twnovel

2012-04-25 23:18:59
シンタロール @shintarawl

「レトリックの存在こそが、言葉の不完全性を証明するんだ。もし言葉が完全なものなら、レトリックなんて不要だろ?言葉じゃ伝えきれない気持ちって、あるよな」偉そうに言いつつも掌に汗が滲む。「だから、今日はここで一緒に夕陽を見たいと思ったっていうか、その…わかるだろ?」 #twnovel

2012-04-25 23:15:05
シンタロール @shintarawl

春の陽気に誘われたのか、大きなアクビを一つすると「アクビの機構や生物学的な意義って未だに解明されてないんだよね。一体何のためにあるのかなあ」と君は言う。さあ?僕もつられてアクビをする。「でも、猫のアクビって可愛いよね。そういうことかな」何がそういうことなんだか。 #twnovel

2012-04-25 23:12:06
シンタロール @shintarawl

新雪の上をズンズンと歩いて足跡をたっぷりつける。わざと走り回ってみたり、背中からパタッと大の字に倒れ込んでみたり。でっかい白いカンバスに意味のないラクガキをしてるみたいで楽しい。て言ったら「そういう男は処女が好きなんだよな」て腑に落ちない分析をされて、ヘコんだ。 #twnovel

2011-12-21 16:49:15
シンタロール @shintarawl

カーテンを開けると世界は白で埋め尽くされてた。東京西部の電車は雪に弱い、これじゃ定刻通りの登校はまずムリだ。「うひゃー、遅刻確定だな」頭を掻いて苦笑い。「ラッキーじゃん!のんびり行こーよ」ってバカ、お前ん家は学校の隣じゃねーか。家に帰ってねーのがバレちゃうぜー。 #twnovel

2011-12-17 23:58:49
シンタロール @shintarawl

この真冬に失恋するなんてツイてない奴だ。肩を落とすお前に缶コーヒーを投げてやる。「あったかいだろ。すぐに冷えるけど、煙草一本分の時間ぐらいはちゃんとつきあってくれる」お前は、煙と溜め息を同時に吐き出す。「先輩は、僕の愚痴に一晩中つきあってくださいよー」へいへい。 #twnovel

2011-12-17 21:06:08
シンタロール @shintarawl

「先生!」見上げると、デッキブラシを片手に三日月にぶら下がる小さな影。「ねえ、充分キレイに磨けたかな?」ああ、いい月じゃないか。巾着袋を投げてやると、ブラシの柄で器用に受けとる。「わあ、今夜は牛乳の金平糖を撒くの。…ちょっと食べてもいい?」私は目をつぶって笑った。#twnovel

2011-12-17 21:00:14
シンタロール @shintarawl

「はー、来冬阻止団の活動、今年も失敗しちゃいましたねー。団長、僕たちの活動が実を結ぶ日は来るんでしょうか」「…わからん。しかし『やらない善よりやる偽善』と言うしな」「ちょっと違う気がします。あと『やらない善』って何でしょう?」「わからん」「頼りにならねえッ…!」 #twnovel

2011-12-17 08:21:25
シンタロール @shintarawl

どんなに着込んだってやっぱり夜のバイクはマジで寒い。ブラッと星を見に…ってのも躊躇する。でも知ってんだよなあ、この時期の星が本当にキレーだってこと。背中が埋まってりゃ、我慢して走れるかな。腕を回してくれりゃ、違うかな。魔法瓶にココアを詰めながら、携帯を手にとる。 #twnovel

2011-12-16 19:13:22
シンタロール @shintarawl

色のない季節が俄に彩りを見せる十二月の街、赤いダウンをモコモコさせて歩いてると「あのお兄ちゃん、サンタさんみたーい」どっかのチビに指をさされた。「そうね、サンタさんかも」と母親。ケッ、なーに言ってやがる!と鼻で笑いながらも、意味ありげな感じでチビッコにウィンク。 #twnovel

2011-12-16 12:19:23
シンタロール @shintarawl

「まず寒いとこが嫌っすよ。数学の松橋のギャグみたいにサムいとこ!あとは…日が短くてすぐ暗くなるとこ。この俺の心でさえ、冬にはすーぐクラくなります!だからこう、あったかいもんに惹かれがちっすよねー、鍋とか、ラーメンとか、先輩みたいな人とか。…先輩みたいな人とか!」 #twnovel

2011-12-16 09:28:56
シンタロール @shintarawl

チャンピオンUSAはグレーのスウェットフーディー。マフポケットに両手を突っ込んで、冬の匂いにちょっとだけ肩をすぼめる。またそんな薄着でって叱られるかも。そしたら「できるだけ身軽でいたいじゃん」と言おう。で、呆れ顔のお前に「さっさと家で映画でも見ようぜ」と笑う。 #twnovel

2011-12-07 00:14:53
シンタロール @shintarawl

おやすみ。灯りをおとすと、三分程で聞こえてくるいつもの穏やかな寝息。薄い胸をゆっくりと上下させて、もう眠りの中だ。しあわせってのは、すうっと眠れることだよな。何にも脅かされずに、安堵の中で眠れることだよな。その小さな呼吸を子守唄に、僕の瞼もきっとすぐに重くなる。 #twnovel

2011-08-25 00:53:35
シンタロール @shintarawl

蛍光色の甲虫たちが羽根を拡げ、闇夜に光の帯を描く。長時間露光の写真みたいな風景に息を飲んだ。甲虫たちは次第に高く舞い上がってゆく。そして一定の高度を得ると、フワッと青く燃え上がって塵になってしまう。この辺りの人々はその光彩を見て、夏の終わりを知るのだそうだ。 #twnovel

2011-08-22 18:42:42
シンタロール @shintarawl

日に焼けた頬や額を橙色に染め上げて、彼は甘さを残した口許をキュッと引き結ぶ。波に浚われる砂が裸足の足裏をくすぐる。ーーああ、何となく納得してしまった。きっとおれは、この夕焼け以上に説得力のあることばを持ち得ない。明日でおれは十五歳になる。短い夏がもうすぐ終わる。 #twnovel

2011-08-22 15:36:31
シンタロール @shintarawl

8月31日、日も暮れかけ。夏休み最終日だってのに無粋な雨だ。「くそ!今日は花火をやるはずだったのに!」突然お前が灰皿の上で、線香花火に火をつける。慌てて窓を開け放つ。バカ笑いのお前につられて、俺も笑った。んで、火薬と雨の匂いが入り交じって、ちょっとだけ泣けた。 #twnovel

2011-08-22 14:59:49
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