ムギ黒さび病菌冬胞子の発芽と担子胞子形成についての考察と解明 Consideration and Elucidation about Germination of Winter Spore and Formation of Basidiospore of Puccina graminis
- benitengunokai
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昨日から水分を加えていた「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」が動き始めました。 twitter.com/ososugiru/stat…
2021-03-07 11:04:11実は昨年「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」を観察した際、どうやっても冬胞子が発芽しませんでした。そのため発芽には四季の温度変化を経験する必要があるのではないかと推測。メギの葉が出る前に昨年の麦わらを回収しました。発芽するかな? 2021年03月06日 撮影 pic.twitter.com/MzbrZrFdvy
2021-03-06 22:30:14「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」の冬胞子がついに発芽しました。発芽管を伸ばし、担子器を形成しています。昨年梅雨時は何をやっても発芽しなかったのに・・・。 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/MVMR4uM8n6
2021-03-07 11:05:30「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」の発芽です。左に見えるのが発芽管。ツンツン尖っているのが担子器の小柄です。今日中に胞子形成まで行けるかなぁ。 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/q7nWKfhdf0
2021-03-07 11:06:25「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」の発芽管を取り直し。小柄は出来ているけど担子胞子は形成に時間かかりそう。カバーガラスの隙間から水をやり続けるのは限界だな。数日置いて再度観察しよう。 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/NjDhIOD3aM
2021-03-07 12:02:35よっしゃ!んでは焼く年かけた定点観察結果をば。最初に見付けたのはメギ類に感染したPuccinia属菌の病徴。その後本種がムギ黒さび病菌であることを知り、次にムギ類を探しました。 twitter.com/ososugiru/stat…
2021-03-07 22:30:43コムギ黒さび病のさび胞子世代です。ムギ類の病原菌で、中間宿主がメギ類なんですね。こんなん知るか!ムギ探しに行かなきゃダメじゃん! 2019年6月1日 撮影 pic.twitter.com/mKENuseewg
2019-06-01 22:53:48その年は発見に至りませんでしたが、翌年にムギ黒さび病菌の夏胞子世代を無事発見。 twitter.com/ososugiru/stat…
2021-03-07 22:31:34ムギ類の黒さび病菌「Puccinia graminis」の感染状況です。ほとんどの植物体が感染していると言うレベルです。本種のヤバさはいざっとなればメギが無くても世代を繋げることができつ点です。イカれてます。 2020年06月06日 撮影 pic.twitter.com/0g1WclxKU3
2020-06-08 00:36:59その後同じ場所で夏胞子世代から「黒さび」の由来である冬胞子世代への移行を確認。しかしここからが上手く行きませんでした。 twitter.com/ososugiru/stat…
2021-03-07 22:32:26トボシガラの茎をスライスして顕微鏡観察した映像がコチラ。凄くね?ねぇ凄くね?これが「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」の冬胞子堆の断面です!何だこれ!すげ¥えうぇrlkf 2020年06月13日 撮影 pic.twitter.com/tuRuq3aSSA
2020-06-14 21:44:14ムギ黒さび病菌の冬胞子までは観察できましたが、これがどうやっても発芽しないのです。何日水分を与えても全く発芽する様子がありませんでした。 twitter.com/ososugiru/stat…
2021-03-07 22:33:08「Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)」の冬胞子です。これが発芽して担子胞子を形成、メギへ感染してさび胞子世代となります。これで全世代完全制覇!驚くべきは全世代を2ヶ月で済ませたこと。このサイクルの速さも本種の恐ろしさなのでしょう。 2020年06月13日 撮影 pic.twitter.com/DvOBikHaTF
2020-06-14 21:51:11ここでふと考える。メギは落葉低木なので、6月の段階で葉に感染してもさび胞子は形成できません。なので夏と冬を越え、春を待つ必要があります。しかしムギ類は秋には枯れるので、冬胞子の状態で越冬するのだと考察。
2021-03-07 22:34:47と言うことは発芽には恐らく冬の低温を経験させる必要があるのでは、と考えました。低温が発芽スイッチと考え、冷蔵庫や冷凍庫で低温に晒し、その後再度水を与えました。乾燥を経てみたり色々試しましたが、結局発芽する様子がありませんでした。
2021-03-07 22:35:48となるとあと考えられる理由は、温度ではなく「期間」ではないかと。低温に長期間晒されること、そして長期間経過することで分厚い冬胞子先端の厚膜が傷み、発芽しやすい状況になるのではないかと考え、そこから半年以上待ちました。正解だったようです。
2021-03-07 22:37:13これが越冬したムギ黒さび病菌の冬胞子堆です。以前はハッキリ見えていた細胞1つ1つが視認しづらくなっていますが、これは風雨に晒されて先端がボロボロになっているためと思われます。これが発芽に影響してるかも? 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/C9s3ziAALK
2021-03-07 22:38:44まずムギ黒さび病菌の冬胞子堆を水封して観察しました。すると半日ほどで去年の6月には全く発芽しなかった冬胞子から発芽管が伸びました。しかし水中では担子器形成はしないようで、ただ伸びるだけでした。 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/S0MmNbHhd7
2021-03-07 22:39:59そこで湿ったキッチンペーパー上に麦わらを置き、空気中に発芽管が伸びるようにしました。すると見事、ムギ黒さび病菌が担子器と担子胞子を形成してくれました!勝った! 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/22rlUF9XF7
2021-03-07 22:41:06ムギ黒さび病菌の担子器です。論文でしか見たことが無かったので、実際に発芽させることができてメッチャ嬉しかったです。この担子胞子がメギ類に感染して有性世代であるさび胞子を形成します。 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/TUUArzrJK3
2021-03-07 22:42:00これを見るために1年近くを費やしました。これがムギ黒さび病菌の担子胞子です。これで本種の全世代をコンプリートすることができました。「Stem Rust」完全攻略だ!!! 2021年03月07日 撮影 pic.twitter.com/dCtlMzvRJ4
2021-03-07 22:42:54いやー・・・みんながやれアミガサタケだ、やれツバキキンカクチャワンタケだと盛り上がってる中で何やってんでしょうね俺は。
2021-03-07 22:43:25と言うことで「Puccinia graminis」の4種類の胞子コンプリートです。生活環の順番で同倍率で並べてみました。 ①左上:さび胞子 ②右上:夏胞子 ③左下:冬胞子 ④右下:担子胞子 ①→②→③→④→①と巡ります。これら胞子が全て「1種の菌」が形成する胞子なんですよ。凄いと思いません? pic.twitter.com/4he45LB3rj
2021-03-07 23:07:07@E_repens マジすか。個人的にはその細胞そのものが感染に寄与するものと言う印象だったので・・・花粉を種子と捉えてるような感覚ですね。精子滴は余裕で採取できると思うので挑んでみます。
2021-03-07 23:56:53