武田邦彦著「偽善エコロジー」備忘録

武田先生の「偽善エコロジー」の備忘録です。非常におもしろい本でした。世間でエコと思われていることがいかに欺瞞であるか、説得力をもって語られています。
7
長野テル @naganoteru

環境やエコを考えるときには、直接的な原材料だけでなく、加工や運搬に要したエネルギーも考慮に入れなければならない。石油などの化石燃料は、短期間では再生できない有機エネルギー、木や動物などの有機エネルギーは再生可能、鉱物は有限という当たり前のことを前提にすることも大切。

2011-07-29 16:54:57
長野テル @naganoteru

資源やエネルギーの消費を抑えるためには、消費自体を抑えるしかない。一度買った物は大切に使う、ペットボトルを捨てずにほかの用途に転用する、不要な物は買わないなど。リサイクルは実効性がないだけでなく、かえって物の短期的で大量の消費を誘発してしまう。

2011-07-29 17:01:29
長野テル @naganoteru

有機エネルギーについては、光合成や食物連鎖、耕作や飼育によって生産された範囲内で使用するのは合理的。鉱物などの有限な資源は、技術的に可能な範囲でリサイクルをするのが合理的。リサイクルに必要なエネルギーが過剰である場合、有害物質の除去が困難な場合には、リサイクルは不合理。

2011-07-29 17:12:13
長野テル @naganoteru

資源は、原料となる部分が利用され、残余の部分は廃棄される。ビニールやアクリルなどは利用され、エチレンなどはかつて廃棄されていた。レジ袋は残余であるエチレンの有効活用であって、レジ袋を作るために石油を加工しているわけではない。エコバッグやゴミ袋を別に作る方がエネルギーの無駄遣い。

2011-07-29 17:18:34
長野テル @naganoteru

木材についても、建材は角型であるため、半円形の残余部分や枝が残る。割り箸やパルプがその部分を活用して作られている限り、資源は有効活用されていると言える。現状は、国産の残余部分は廃棄され、割り箸やパルプは外国から輸入。結果、日本の森林資源は年間の生育分の5割しか利用されていない。

2011-07-29 17:26:54
長野テル @naganoteru

化石燃料は事実上有限であるものの、物質としては高分子有機物。木材や鶏肉同様、プラスチックも十分な酸素と熱で燃やせば有毒物質は出ないし、木材や鶏肉も酸素が不十分な中で燃やせば有毒な一酸化炭素が出る。現在の焼却炉は高性能なので本来はプラスチックも生ゴミと一緒に燃やすのが合理的。

2011-07-29 17:37:19
長野テル @naganoteru

ゴミの分別にしても、家庭でいくら頑張って分けたところで再利用できる精度で分別することはムリ。結果、再生工場では再度分離を行うことになる。一方で、焼却炉で焼却すれば、水・二酸化炭素、灰、スラグ(土)、メタルの4種類に分類可能。家庭での分別をやめれば分別回収の公的コストは削減可能。

2011-07-29 17:43:42
長野テル @naganoteru

不合理な分別やリサイクルが推進されているのは、そこに利権があるから。分別回収に合理的意味はないのだけれど、分別回収をすれば回収業者の売り上げが増える。テレビのリサイクルは技術的に困難なため実際には中古品として途上国に売っているのに、業者は消費者からリサイクル料を徴収している。

2011-07-29 17:49:55
長野テル @naganoteru

欧米のほとんどの国では、分別はビン・カンとその他の2種。実はこれがもっとも合理的。かつて、大阪市は分別回収をしていなかったのだが、その理由は焼却炉が高性能だからと言われていた。多くの自治体が性能不十分のためプラスチックを燃やせなかった頃のことだが、この言説は実は妥当。

2011-07-29 17:53:09
長野テル @naganoteru

日本では、おいしい水道水を作るためにコストをかけている。一方、飲用に供される水道水はわずか数%。水洗トイレや洗濯水などが大半。ほとんどがトイレや洗濯に使われる水道水に飲めるレベルのおいしい水を使っている現状。ただし、島国で中央部に山脈があるという自然の恵みとしての側面は大きい。

2011-07-29 18:12:10
長野テル @naganoteru

熱量の数値感。石油は、1キロ≒1リットル≒1万キロカロリー≒50円。トマト1キロを育てるには、旬の自然栽培で200キロカロリー=1円、旬のハウス栽培で1200キロ=6円、季節外れのハウス栽培で12000キロ=60円。旬と季節の差=10800キロ≒太陽エネルギーによる補填分。

2011-07-30 00:22:35
長野テル @naganoteru

漁業は、船を運航したり、遠洋漁業の場合は冷凍したりする必要があるため、農業よりもエネルギー消費が大きくなる。1キロ捕るためのサンマ漁のエネルギー消費は2400キロカロリー=12円。ハマチ1キロの養殖で30000キロカロリー=150円。

2011-07-30 00:29:21
長野テル @naganoteru

カーボンニュートラルとされているバイオエタノール。原料のサトウキビを1キロカロリー分栽培するためには石油0.8キロカロリーを消費、トウモロコシに至っては1キロカロリー分の栽培に1キロカロリーの石油を消費。ちなみに、日本では1キロカロリーの米の栽培に5キロカロリーの石油を消費。

2011-07-30 00:35:05
長野テル @naganoteru

つまり、農業生産には生産される熱量と等価ないしは多くの熱量を当時ないといけないわけなので、食糧危機が起きるとエネルギー消費は増大し、エネルギー危機が起きると人力による農耕に回帰することが見込まれると思う。

2011-07-30 00:37:45
長野テル @naganoteru

水に浮いている氷が解けても水面下の体積は変わらない(アルキメデスの原理)ため、北極の氷が解けて海水面が上昇することはない。南極に至っては、温暖化すると南極近辺で水蒸気が多く発生しそれが雪になって南極大陸に積もるため、むしろ海水面は下降する。水面上昇は温度上昇による水の膨張のため。

2011-07-30 00:46:24
長野テル @naganoteru

グリーンランドの氷が解けると海水面が6メートル上昇する。近い将来それが起きるとしたゴア元副大統領の映画「不都合な真実」は、ロンドン高等法院のエクイティーアクションで危険を煽りすぎていることの告知が上映の条件とされた。実際には、6メートルの水面上昇には数千年かかる。

2011-07-30 00:50:51
長野テル @naganoteru

ダイオキシンは、モルモットには強い毒性を示すが、人間の致死毒量はまだわかっていない。というのも、ダイオキシンを原因とした致死例が(少なくとも日本では)ないため。ダイオキシンが焼き鳥でも囲炉裏でも発生することを考えると、人間には無害と考えることが妥当。参考:和田攻東大教授論文

2011-07-30 01:00:42
長野テル @naganoteru

ダイオキシンも悪としておくことで利権が発生する。焼却炉を冷却する過程でダイオキシンを生じる4~500度という温度を通過するため、急速冷却の機械を入れなければならないため。また、野焼きの禁止や通報、苦情は、生活環境維持という住民エゴが農家の伝統に優先した結果。

2011-07-30 01:04:41
長野テル @naganoteru

生ゴミのリサイクルは、家庭からゴミとして出されるときに鉛や水銀などが混じりこむことが不可避であるため、非常に危険。やがて鉛や水銀で汚染された土壌で採れた農作物を食べることにつながる。食品リサイクルの推進者はリサイクル業者。年間5千億の税金が分別回収に投下されている。

2011-07-30 01:12:53
長野テル @naganoteru

農業は自給自足が大原則。なぜなら、土壌から栄養分を得て農作物を栽培するため、農作物の移動は栄養分の移動を意味するから。農作物には窒素が多く含まれるが、日本は食糧の6割を輸入しているため、日本の土壌は現在窒素が過剰な状態。

2011-07-30 01:23:45
長野テル @naganoteru

工業製品のリサイクルも危険。蛍光灯からガラスをリサイクルしようとすると管内に浮遊する水銀の除去が必要だが、完全に取り除くことは困難なため、そのガラスがグラスに再利用された場合、水銀が混入したグラスで飲み物を飲むようなことが起きる。リサイクル率は8%以下にしないと危険。

2011-07-30 01:30:27
長野テル @naganoteru

一般的に言って、ゼロから材料を作るためのエネルギーよりも、完成した製品を純化して材料を得るためのエネルギーの方が大きくなる。人間の体でも、体を維持するための動脈系の血流量を1とすると、浄化系の血流量は3に上る。アルミニウムはリサイクルのエネルギーの方が小さくなる例外的な優れもの。

2011-07-30 01:37:35
長野テル @naganoteru

ゼロベースから構築するよりもリサイクルする方がエネルギーが必要という点では、システム開発にも通じるものがある。すでにあるシステムへの修正は、新規開発より一般的に高コスト。

2011-07-30 01:39:48
長野テル @naganoteru

地球上のあらゆる物質は、毒にもなるし栄養にもなる。過剰な無菌状態は免疫力の低下につながるし、糖分の過剰摂取は病変につながる。問題は程度。有害性の感覚にはバイアスが働く。より危険度が高くても昔から一般的なものにはあまり危険を感じない。火事はあきらかにダイオキシンより危険。

2011-07-30 01:49:02
長野テル @naganoteru

同旨のことをかつて「日本人の清潔が危ない」という本で読んだ。長く人間が生活してきた環境にあるものは基本そのままの水準であれば安全ということ。ダイオキシンは、長い人間生活の中に常にあったもの。一方で、核廃棄物やナノテクノロジーは人間が作り出したもの。後者はまず疑うべきだと思う。

2011-07-30 01:54:17