連載Twitter小説 「キメラ（合成生物）に変身した夫」１

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel サーカス団の元へ向かうと、副団長と団長の言い合う姿。「彼、電話に出なかったのだが…」「ヒーローは敵が多いから、自分の居場所を安易に言わないのだ」「では電話に出た女性は…天涯孤独の筈…」「愛人だ。孤独なヒーローには付きものだ」何やら誤解が酷くなっていた。 #変身夫

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#twnovel 「だが本当に彼を入れるのか？ヒーローを見せ物にしていいのか！」団長に異議を唱える副団長。「当然だ！彼を使えば沢山の客が集まる筈！」な、何だって！ひょっとして騙されたのか！？……しかし、ふと我に返る。私はヒーローじゃない、ただのキメラ。騙してるのは私だ！ #変身夫

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#twnovel 「だが本当に彼を入れるのか？ヒーローを見せ物にしていいのか！」団長に異議を唱える私は副団長。「当然だ！彼を使えば沢山の客が集まる筈！」「結局金目当てか！」「無論！金も無しに震災復興支援は出来ん！」ガタッと物音。振り返るとそこに、涙を流す宇宙ヒーローが。 #変身夫

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#twnovel 震災復興支援チャリティサーカス団に入団を決めたキメラの私。「いいのか？君のギャラは出ないかもしれないが…」「ギョ（構いません！）」帰宅し、妻に報告。「良かったわね。晩ご飯にしましょう」…が。出されたのは乾パン１枚。「ウチも復興支援必要なの、知ってた？」 #変身夫

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#twnovel キメラに変身した私。サーカス団員だけでは食べていけず、アルバイトを始めた。それはデパートのヒーローショー。宇宙ヒーローとして全身タイツの怪人と戦う。大勢で押し寄せる卑怯な怪人。私がそれを炎を吐いて一掃すると、子ども達、「怪人の方が勝っちゃったよママ！」 #変身夫

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#twnovel キメラに変身した私。次のバイトは動物園の清掃係。「熊が逃げたぞ！」と、突然のスタッフの声。慌てて周囲を見回すと、突然辺りが真っ暗に。しまった、熊に覆い被されたか！？息が出来ないっ！――「頭に袋被せて大人しくさせたぞ」「…けど変な熊だな、手に箒持ってる」 #変身夫

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#twnovel キメラに変身した私。次のバイトはホテルのベルボーイ。「君のような体格なら、どんな荷物も運べそうだ」「ワンギョ（任せてください！）」早速初めての客。小さなトランクを預けられるも、何故か全く持ち上がらず――ハッ、そうだ！手がＴレックスであるのを忘れてた！ #変身夫

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#twnovel キメラに変身した私。ベルボーイのバイトを始めるも、手がＴレックスで客の荷物が運べない。「荷台を使いなさい」と、ドアマンの助け船。早速荷物を乗せて貰い、意気揚々とエレベーターに向かい…ガツン！と、突然阻まれる足――ハッ、そうだ！足が象であるのを忘れてた！ #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 様々なバイトを試すも、キメラに変身したことで巧くいかない私。気付ば季節は初冬。寒空の下の私の元に、ふと懐かしい姿。「会社、戻ってくるか？」嘗ての上司。次の瞬間、私は彼の胸元で泣いていた――そのとき上司は思った。コイツ暖けえ、夏場は無理だが冬場は使える。 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel キメラの私が産んだ三つの卵。時々内側からコツコツと叩くような音が聞こえ始めた。男の子か、女の子か…落ちつかない私。「子どもたちの名前考えたの」と、妻が私に見せたのは名前を書いた紙。どうやら彼女は性別以上のことを予想している模様だ。「ポチ、タマ、シロ…」 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel ある日平凡な成人男性から突然キメラに変身し、三つの卵を産んだ私。一度仕事を辞めて家庭の危機にも瀕したが、上司の好意で何とか職場復帰。そんな波乱万丈な私に再び人生の転機。卵が孵化したのだ。産まれたのは何と、人間の赤ん坊！「ガッカリね」なぜか不服そうな妻。 #変身夫

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#twnovel キメラの私が産んだ卵が孵化した。産まれたのは意外なことに、ちゃんとした人間の赤ん坊。可愛い三つ子だ。よしよし、と赤ん坊をあやす妻は楽しげな表情。だが時々陰り、こう呟く。「あなたの産んだ子なのよね。あたし、おっぱいあげれないわ」私は鳴く。「ワンギョウッ」 #変身夫

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#twnovel 息子に子が産まれたとの知らせを聞き、彼の元へ駆けつけた両親。息子の嫁に通されると、そこには可愛い三つ子が。「まぁミヨ子さん、あなたいつの間に三つ子を！？」「可愛い！二人にそっくりだ！」嫁は言えなかった。その子らが、夫が産んだ卵から孵化したということを。 #変身夫

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#twnovel 「子ども産まれたんだって？」職場の同僚。私を馬鹿にしたことをまだ根に持ってはいるが、子どもの話は自慢せずにはいられない。早速三つ子の写真を見せる。「可愛いじゃんか。皆お前に似て…」や、やっぱり、似ている…？「この、Tレックスみたいに小さな手なんか特に」 #変身夫

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#twnovel 「子ども産まれたんだって？」職場の上司。また何か馬鹿にされるのかと警戒し、写真も見せないことにする。「…何だ、不服そうだな。折角出産祝い出してやろうかと思ったのに」…何！？それは話が別。つい手を出す私。「ホレ！たんと食わせろよ！」渡されたのは、猫缶。 #変身夫

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#twnovel キメラである私の卵から産まれた三つ子。お腹が空いたと泣くので私は台所でミルクを用意…と、居間から突然の悲鳴。何事と驚き見に行くと、妻が子ども達にテレビのリモコンを食べさせようとしている！慌てて止めさせる私に、妻、「普通、食べそうでしょ」普通、食べない！ #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 「ねぇ、名前どうするの」と妻。そう言えば、まだ子どもたちの名前を決めていなかった。一番最初に孵化したのは女の子、次が男の子で、三番目は女の子だ。「ワンギョ（サチコとマサルとエミだな）」「わかったわ。ポチとタマとシロね」…なっ…通じてない…だと…！？ #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel ノックの音がした。出てみると、「私、近所で布教活動を行っている者ですが、あなたは神を――うわぁあぁあ！」私の姿を見るなり逃げていく客。「誰だったの？」尋ねる妻に私は答える。「ワンギョ（神は信じるクセに目の前のキメラの存在は信じられない愚かな布教師だ）」 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 突然長男が行方不明になり、家中駆け回る私。「見つけたわ！」妻が何かを捕まえる。それを見て、私はギョッとした。何と三毛猫！ま、まさか長男も変身を…「だぁ」と、突然尻尾を掴んだのは…あれ、長男！？「あら、こっちはただの猫ね。間違えちゃった」か、勘弁して…！ #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel いつもよりカーペット掃除に熱心な妻。「子どもたちがハイハイするから。なるべくゴミを取り除かないと」成る程。じゃあ私は台所に行って…と、振り返った私の背中に突然貼り付く妻のコロコロ。ちょ、ちょっと…？「こっちのカーペットも綺麗にしないと」わざとかよオイ。 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 子どもに絵本を読み聞かせるとき、怖い話は父親が読んであげた方が子どもの脳に良い刺激を与えるとネットで学んだ。早速読んであげることに。「ギョギョエェ（昔々ある山奥に、鬼のような形相の老婆が…）」「「「キャッキャッ♪」」」「…子どもたち、何だか楽しそうね」 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 「飲みに行かねぇか」同僚の誘いを断る私。「ワンギョ（子育てて忙しい）」「そうか…仕方ねぇ」意外にあっさり断れた。翌日、会社で次々妙な声をかけられる。「おっ、いい毛並みだ」「艶やかになったね」そして同僚。「昨夜トリマー行ったんだろ？」物言わず同僚を殴る。 #変身夫

ひらばるまなぶ（平原学）＠もの書き @chocolatesity

#twnovel 「何？プレゼントって」ついニヤけつつ、私は妻に差し出す。「こ、これ…チケット？」「ワンギョ（明日サーカスの初舞台なんだ）」「宝石かと思った」グサリ。「ご、ごめん…でも子どもたちも期待外れみたい」と、チケットをおやつと思い食べていた子どもらに更なる衝撃。 #変身夫