『凝然教学の形成と展開』著者たちの発言と議論

一般財団法人 律宗戒学院 編『唐招提寺第二十八世凝然大徳御忌記念 凝然教学の形成と展開』(法藏館、2021)https://pub.hozokan.co.jp/book/b557297.html の著者たちによるツイートをまとめました。
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師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki

@sachio0325 いやはや、大変おもしろいです。またご教示ください!

2021-03-17 14:16:18

大谷由香先生「凝然の華厳学と律宗」

大谷由香 @yukao1218

律宗戒学院編『唐招提寺第二十八世凝然大徳御忌記念 凝然教学の形成と展開』(法藏館)が発刊されました! 拙稿「凝然の華厳学と律宗」を収録していただきました。 本論文集は、4月9日以降に一般書店販売とのこと。 pic.twitter.com/VnZ5GbjJHV

2021-03-17 12:29:58
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大谷由香 @yukao1218

凝然(1240~1321)は、鎌倉時代に東大寺戒壇院長老・唐招提寺長老を務めた学僧で、生涯に宗旨を問わず多くの著作をなしたことで知られていますが、「華厳宗沙門」と著作に自署し、華厳関係の著作を多く記したこともあって、華厳教学研究の対象とされることが多かった人物です。

2021-03-17 12:36:25
大谷由香 @yukao1218

所属寺院(戒壇院・唐招提寺)をみれば、明らかに「律宗」の人なのに、なぜ凝然は「華厳宗」を自称して、華厳教学の研究をしたんだろう?・・・という、学生時代からずっと温めていた疑問に対する、現時点での私の見解を示しました。

2021-03-17 12:42:54
大谷由香 @yukao1218

戒壇院って、本来人が住んではいけない場所だったんですよね。鎌倉時代に復興されるとき、宋代仏教の生活様式が意識されて、律院化し、人が住めるようになりました。つまり、戒壇院流とでも言うべき、律学や華厳学の法流は、円照や凝然以前には存在し得なかったことがわかります。

2021-03-17 12:47:14
大谷由香 @yukao1218

古来、律宗は東大寺法華堂・中門堂、興福寺東金堂・西金堂の「四堂」の堂衆が担っており、それぞれの堂衆は依学すべき教学が堂によって決まっていたようです。法華堂は尊勝院に付属して華厳学、中門堂は東南院に付属して三論学、東西金堂は一乗院・大乗院にそれぞれ付属して法相学、といった具合に。

2021-03-17 12:52:24
大谷由香 @yukao1218

凝然が戒壇院長老として華厳学にこだわったのは、この法華堂衆による教学実践を意識した結果ではないか、というのが論文の主旨です。彼の華厳学は、それまではなかった「東大寺律宗の華厳学」であって、鎌倉時代に生きた彼が奈良時代仏教を振り返って新しい伝統を作り上げたと評価できると思います。

2021-03-17 13:06:08
大谷由香 @yukao1218

そんなわけで、同じ論文集に掲載されている、野呂さんの論文は興味深いです。凝然は尊勝院の宗性を通じて華厳学に触れました。教学的に尊勝院に付属する法華堂、というものが意識されていたと思います。 twitter.com/snoronoro/stat…

2021-03-17 13:13:33
野呂靖 @snoronoro

私は凝然没後の戒壇院の華厳教学の展開について少し書いた。今回いろいろ調べて面白かったのは、凝然門下の華厳理解の最も重要な枠組みは凝然の教学そのものではなく、「尊称院の華厳」、つまり凝然の師であった(と凝然が語る)宗性の「御義」であったと考えられること。宗性の祖師化がなされていく。

2021-03-16 11:46:49
大谷由香 @yukao1218

凝然が生きた時代は「戒律復興」の時代、と言われるのですが、興福寺においても、東大寺においても、それまで分断されていたとも見える学侶と堂衆が連携して、奈良時代をお手本にして、学・行そろった仏教界を実現させよう!という気概を感じて、とても面白いです!

2021-03-17 13:19:04
野呂靖 @snoronoro

いろいろ議論したいですね!凝然が本当に宗性から習ったかどうか問題がありますが、新たに戒壇院の華厳を主張する時、皆が納得するルーツが必要だったと思います。それが宗性で、ちゃんと尊勝院なんだよと。そして宗性は円照にも影響与えてるよ、円照はその影響で澄観とかめっちゃ重視してたよ」と。 twitter.com/yukao1218/stat…

2021-03-17 13:20:57
大谷由香 @yukao1218

@snoronoro そうなんですよ!「戒壇院の教学」を新しく作らないといけない、となったとき、それは尊勝院系の華厳学を引いたものではなくては、伝統として成立しなくなっちゃうんですよね。だから、凝然はどうしても宗性の華厳学にルーツが求められることを主張したかっただろうと思います。

2021-03-17 13:27:44
大谷由香 @yukao1218

@snoronoro それに、意外と宗性は、そのあたりのことを理解した上で、講義などをして円照を引き入れたりしていたのではないか?とも思います・・・。 宗性、貞慶にめっちゃ憧れてるんですよね。貞慶は堂衆が研究できる戒律道場(常喜院)を興福寺に作ったことが知られています。

2021-03-17 13:29:44
野呂靖 @snoronoro

@yukao1218 そうですよね!なので凝然門下になればなるほど、実は凝然そのものというよりも、宗性の「御草」なんかを持ち出してきて、よりルーツを強固にしてこうとしているということなんだと思います。拙論ではこのあたりを検討しました。ただ凝然そのものについては扱えてないので、大谷論文は必読ですね!

2021-03-17 13:31:21
野呂靖 @snoronoro

@yukao1218 宗性はけっこう情に厚くて、パッションの人ですよね。いろいろな面で笑 十分その可能性はありそうです。

2021-03-17 13:32:27
大谷由香 @yukao1218

@snoronoro 宗性、人間味があって、大好きです♥

2021-03-17 13:38:00
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki

@yukao1218 うひゃー、大谷さんのも必読ですね。唐代〜日本古代の律学研究も、ある面、凝然さんの著作に残る情報を使って復元しないとどうにもならないぐらい、凝然さんは重要な学者なのに、今日その重要性が理解されていないのが本当に問題だと思います。

2021-03-17 13:34:06
大谷由香 @yukao1218

@moroshigeki 凝然さん、あまりに著作が多いから、忌避されてきたような気も・・・(^^;) しかし仰るとおり、本当に偉大な学者で、『八宗綱要』をはじめとして近代仏教学にも多大な影響を与えていますよね。御忌論集の発刊によって、凝然さんに注目が集まることを期待しています!!

2021-03-17 13:42:19

石井公成先生「凝然の聖徳太子信仰と三経義疏研究」

文学通信 @BungakuReport

「聖徳太子の仏教の師たちは三論宗だった」というのは凝然の創作:石井公成「凝然の聖徳太子信仰と三経義疏研究」 - 聖徳太子研究の最前線 blog.goo.ne.jp/kosei-gooblog/…

2021-03-23 09:43:48