<コメント記録>(主に)過剰診断の定義に関する記録/NATROMのブログ

●(主に)過剰診断の定義に関する記録/NATROMのブログ https://natrom.hatenablog.com/entry/0021/02/08/000000
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名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

別視点からも、2008年時点の韓国で「狭義のスクリーニング効果約30%」が説明しにくいことを論じましょう。2008年時点の韓国の甲状腺癌の罹患率はだいたい10万人年対50人です。AGAPEROSさんのお説だと、5人が有症状発見、15人が「狭義のスクリーニング効果」、30人が過剰診断ですよね。2009年以降に有症状発見されるはずだった15人を前倒しで発見したわけです。すると2009年以降は有症状発見される甲状腺がんは「刈り取られて」減るはずです。どれぐらい減ります?計算してみようと思ったことありますか?

早期発見可能前臨床期約10年とすると、2009年以降は有症状甲状腺がんが年あたり1.5人減ります。5人が有症状発見されるはずのところ1.5人も減ったらさすがに気づかれるでしょう。しかもこれ、検診したのは2008年だけじゃないんです。2009年、2010年、2011年、2012年も検診は続いて、毎年、10万人年対15人の「前倒し発見」が生じているんです(※)。5年間で75人の「前倒し発見」です。2009年~2023年の15年分の有症状発見分を全部「前倒し発見」したと仮定しないと説明不可能ですね。検算していませんので細部は間違っているかもしれませんが、だいたいは合っているはずです。

※罹患率は10万人年対50人から徐々に増加して70人にも達する勢いでしたので「前倒し発見」はもっと多いんですが、オマケしてあげます。

2008年からさかのぼって考えてもいいです。AGAPEROSさんのお説だと1999年や2005年にもけっこうな「狭義のスクリーニング効果」があったわけです。毎年毎年、将来有症状で発見されるはずの甲状腺がんをどんどん刈り取っていくわけですから、どこかの時点で「1〜2cm」「2〜4cmとanspecifyed」が減少しないといけません。実際はわりと景気よく増えています。

以上の説明はAGAPEROSさんにはご理解できないかもしれません。「受診割合が年々増えたのだ」という反論が予想できますが、だったら、毎年の受診割合がどれぐらいだったのか、ざっくりでいいですから推定してみてください。そして、何年先に有症状発見されるはずだった甲状腺がんを検診で発見しているのか、推定してみてください。

以上の様に、②③の論証は毎年同じ人が受診すること(悉皆検査)を前提になされており、結局①のスクリーニング効果を考慮しない論証を維持しております。

検診の受診割合の条件を振った計算は[ https://natrom.hatenablog.com/entry/00150606/p1 ]で、すでにしております。受診割合が増えていった場合についても、反論済みです。『「検診の受診者が年々増加していった」からそうではないのだ、とAGAPEROSさんはおっしゃりたいんでしょう』あたり。

毎年、新しい人が受診しますから、何年先まで刈り取ろうが関係ありません。

たぶん、このあたりが最大の誤解ポイントですね。人口集団は死亡と出生によって緩やかに入れ替わっていますが、受診割合が高いと同じ人が何度も検診を受けることになるんです。受診割合が低いと相当な過剰診断がない限り10倍以上の罹患率にはなりません。

こういう事例を考えると理解が深まります。それまでまったく検診をせずに10万人年対5人の検診をしているところに、ある年に住民の10%が「厳しい基準」で甲状腺がん検診を受けたとしましょう。過剰診断ゼロ。検診で見つかった甲状腺がんはすべて「狭義のスクリーニング効果」。で、この検診を毎年続けます。

(ア)検診を開始した年の罹患率はどうなりますか?
(イ)検診を開始した次の年の罹患率はどうなりますか?
(ウ)検診を開始した次の次の年の罹患率はどうなりますか?
(エ)検診を開始して100年が経ったときの罹患率はどうなりますか?

(ア)に答えようとした時点で、早期発見可能前臨床期が大事なことに気づくはずです。(イ)(ウ)は早期発見可能前臨床期の設定次第ですが、過剰診断ゼロだと(エ)は10万人年対5人になるはずです。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

訂正です。

こういう事例を考えると理解が深まります。それまでまったく検診をせずに10万人年対5人の有症状発症をしているところに、ある年に住民の10%が「厳しい基準」で甲状腺がん検診を受けたとしましょう。過剰診断ゼロ。検診で見つかった甲状腺がんはすべて「狭義のスクリーニング効果」。で、この検診を毎年続けます。

(ア)検診を開始した年の罹患率はどうなりますか?
(イ)検診を開始した次の年の罹患率はどうなりますか?
(ウ)検診を開始した次の次の年の罹患率はどうなりますか?
(エ)検診を開始して100年が経ったときの罹患率はどうなりますか?

(ア)に答えようとした時点で、早期発見可能前臨床期が大事なことに気づくはずです。(イ)(ウ)は早期発見可能前臨床期の設定次第ですが、過剰診断ゼロだと(エ)は10万人年対5人になるはずです。


AGAPEROS

suzanさんへ
『「韓国で見られる甲状腺がんの急増は、小さい腫瘍の検出の増加によるものであり、過剰診断の結果であることが最も考えやすい」と結論づけている。』
と、私の推定は矛盾してはいません。
過剰診断率が約60%で狭義のスクリーニング効果率が約30%ですから、最も考え易い原因は過剰診断です。
如何でしょうか?


AGAPEROS

あめりかなまずさんへ

『どんなに大きかろうと生涯症状を呈さない場合は過剰診断であり、どんなに小さかろうが死ぬまでに症状を呈するのであれば過剰診断ではありません。』
仰る通りですが、私は、1cmを超える甲状腺癌は将来殆どが発症すると考えており、2cmを超える甲状腺癌は殆どが何らかの自覚症状を感じて診療を受けると考えています。
この理由については後ほど名取先生への回答の中で説明します。

『過剰診断かどうかを判断する方法についてはこの記事を読んで理解してください。』
名取先生のブログ「過剰診断」とは何か」の中に次の様な記述がありました。
https://lite.blogos.com/article/108624/?axis=&p=4
『罹患率増加・死亡率低下のパターンを説明しうる別の説明はタイムラグだ。経過の長い癌の場合は、早期発見によって死亡率が低下するとしても、その効果はすぐには見えてこない。放置すれば10年後に死亡するが早期発見・早期治療によって死亡を回避できる癌をバンバン早期発見すれば、罹患率はすぐに上がるが死亡率が下がるのは10年後である。』
正に、韓国での死亡率が上昇せず、罹患率だけが上昇した理由は、甲状腺癌が発症して死亡率を上昇させる期間が15年以上だったからではないかと私は考えますが、如何でしょうか?
「福島・甲状腺がん「多発」? 原発事故との関連は」との記事の中で
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46778?page=6
『つまり、1巡目で行われた20歳以下の集団の検診結果は、検査時から早くても15~17年後に発症するであろう、すべての甲状腺がんを早期発見したと解釈できます。』
との試算も有りました。
福島は年齢層が若いのですが、約17年であれば韓国でも存命中に発症すると考えて良いのではないでしょうか。


AGAPEROS

名取先生へ
私実はNIHやNJEMの論文を無料で読める回数(月2回)を使い果たしておりまして、今月は新しい論文を読めません。その為、韓国に於ける受診者数の書いてある資料を誰かに提示して頂いたにも関わらず、それがどの論文かさえ分からなくなっています。
なので、極端な例で説明します。
1999年の時点での受診者が10万人で、毎年違う人が受診すると仮定します。また、10年先に発症する分まで刈り取るとします。
こうした場合、毎年いくら刈り取っても、次々に新しい人が来るので、11年目もやはり、スクリーニング効果は0にはならないと考えます。
先生はどうして0になるとお考えですか?
先生も多分そこが私の間違えているところだろうと仰ってますが、私には分かりません。
教えて下さい。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

私は、1cmを超える甲状腺癌は将来殆どが発症すると考えており、2cmを超える甲状腺癌は殆どが何らかの自覚症状を感じて診療を受けると考えています。

「1cmを超える甲状腺癌は将来殆どが発症する」という主張は誤りです。根拠の提示をお願いします。剖検が根拠にならないことは昨日ご説明しました。「おそらく剖検結果を反論に使われると思われますが、誤りです」あたり。加えて、AS事例も1cmを超える甲状腺がんの多くが過剰診断である根拠になります。1cm以下がほとんど発症しないことが確からしくなってきていますので、1cm以上でもASできるのではないかと考えられるようになってきました。観察研究データや進行しつつある臨床試験があります。

「2cmを超える甲状腺癌は殆どが何らかの自覚症状を感じて診療を受ける」も誤りです。ご呈示の資料にも径30mm以上のスクリーニング発見がんがけっこうあります。この人たちは2cmを超えても受診するほどの自覚症状を感じず、腫瘍径が3cm以上になるまで放置していたのです。3cm以上となるとさすがに検診を受けなかったらそのうち自覚症状を呈して診断に至った可能性が高いとは思いますが、人は不死ではありませんで一定数は診断される前に死にます。つまり3cm以上の甲状腺がんであっても一定の割合で過剰診断は生じます。

1999年の時点での受診者が10万人で、毎年違う人が受診すると仮定します。また、10年先に発症する分まで刈り取るとします。
こうした場合、毎年いくら刈り取っても、次々に新しい人が来るので、11年目もやはり、スクリーニング効果は0にはならないと考えます。
先生はどうして0になるとお考えですか?

検診を続ける限りはスクリーニング効果は継続して生じます。けしてゼロにはなりません。私が言っているのは「スクリーニング効果はゼロになる」ではなく、「過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけだと罹患率の上昇は一時的なもので、いずれ平衡状態に達する。平衡状態では検診開始前と同じレベルの罹患率になる」です。

平衡状態に達したときでも「次々に新しい人が来る」ので「狭義のスクリーニング効果」はあります。ただ、自覚症状を呈して甲状腺がんと診断される分が減っているので、相殺して罹患率は検診開始前と同じレベルになります。検診割合10%、早期発見可能前臨床期10年、過剰診断ゼロだと、平衡状態では甲状腺がんの約半分が検診で発見されることになります(こまごました条件で数字はぶれます)。検診前の時代の罹患率が10万人年対5人だとすると、平衡状態では有症状で発見される人が約2.5人と、検診で発見される人が約2.5人という感じです。有症状で発見される人が減っているのはそれまでに検診で発見されたからです。

なんというか給料を「前借り」しているようなイメージです。前借りすると一時的に給料が増えた気がしますが、もらう給料の総量は変わりません。「狭義のスクリーニング効果」は定義上、死ぬまでに甲状腺がんと診断されますので、長い目で見ると甲状腺がんと診断される人の数は増えません。

●過剰診断がなく「狭義のスクリーニング効果」だけでは、検診による罹患率上昇は一時的なもので長期的には罹患率は検診前の水準に戻る。

ことには同意できますか?悉皆検査だと罹患率上昇は急激ですぐに平衡に達します。受診割合が低ければ平衡に達するまで時間がかかりますが、その代わり罹患率上昇のピークは低いです。以下の質問に答えようとすると、上記したことがご理解できるかもしれません。

それまでまったく検診をせずに10万人年対5人の有症状発症をしているところに、ある年に住民の10%が「厳しい基準」で甲状腺がん検診を受けたとしましょう。過剰診断ゼロ。検診で見つかった甲状腺がんはすべて「狭義のスクリーニング効果」。で、この検診を毎年続けます。

(ア)検診を開始した年の罹患率はどうなりますか?
(イ)検診を開始した次の年の罹患率はどうなりますか?
(ウ)検診を開始した次の次の年の罹患率はどうなりますか?
(エ)検診を開始して100年が経ったときの罹患率はどうなりますか?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

念の為。

●過剰診断がなく「狭義のスクリーニング効果」だけでは、検診による罹患率上昇は一時的なもので長期的には罹患率は検診前の水準に戻る。

というのは韓国事例を念頭においた、平衡状態にある集団の話です。小児集団は年を取るにしたがって罹患率が上昇しますので、また別の検討が必要です。いずれにせよ、韓国事例を理解せずに小児集団を理解することはできません。


AGAPEROS

名取先生へ

韓国の受診者数と罹患率のグラフをもとに、韓国の受診率を概算してみました。
結果は下記の通りで、2011年でも13%程度となりました。
http://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/Report1_Japanese.pdf
44/117頁の図6 参照下さい。

女性は受信率が25%で120人/10万人
男性は受信率が12.5%で20人/10万人
(25+12.5)÷2≒19%で140人/10万人
ここから逆算すると
1999年の罹患者数は6.38人→
19×6.38÷140≒0.9%
2008年の罹患者数は40.74人→
19×40.74÷140≒5.5%
2011年は1999年の15倍だから95.7人→
19×95.7÷140≒13%

この程度なら、12年間毎年違う人が受診することも可能と考えますが如何でしょうか?
一部同じ人が受診したとしても、甲状腺を全摘した人が再受診するとは考え難いと考えますが如何でしょうか?


AGAPEROS

suzanさんへ

『無視しないで質問に答えてほしいです。』
→名取先生への回答を考えていて、他の方への回答が後回しになってしまいました。申し訳ありません。
少し遡って、答えていなかった質問なりコメントなりに回答させて頂きます。

『それにしても福島県の人口の本当に全員が検診を受けているんでしょうか?会津地方の山の中の人まで?福島県の人たちがそんなにくそどまじめな人ばかりだとは存じ上げませんでしたよ。』
→次のページの検査対象者をご確認下さい。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kojyosen.html#1

『私の文章を読めば(読みにくいでしょうが)「悉皆検査」のことは書いてないことがわかっていただけると思います。』
→この文章ですね?
『たとえばとある地域で全住民にある疾患についての検診を行なった場合…ほぼ全員がこの検診を受けるとします。』
→全員が受診する設定ですね。

『するとものすごくたくさんの病気が見つかっていわゆる罹患率はえらいことになったりしますが、翌年からは一定数の罹患率があったとしても検診開始時ほどではなくなるはずです。』
→同じ住民が翌年も受診する設定ですね。
 そして、次の文章までは、この仮定での結果を書いてますね。

『そしてこの地域に、前の検診のあとで引越ししてきた住民もいるでしょうから「全く同じ集団で同じ検診を繰り返す」ことにはなりませんが、住民の半数以上が入れ替わるような移動は天災で住めない場所ができた、でもない限りあり得ませんので、新住民だからとある疾患の罹患率が特別高いわけではなく、「検診初年度にたくさんの患者が見つかりあとは減少する」ことが継続するはずです。この「最初はいっぱいみつかるけどその後見つかる数が減る」というのが「狭義のスクリーニング効果」によるものです。』
→この地域の一部の住民が転出、転入して新メンバーが加わるという話ですね。殆どは同じメンバーという設定ですね。

『韓国では毎年検診を受ける人間が増える、という話ですが、受信者が毎年前年の半数以上増えている(倍以上になっている)わけでないのであれば、15倍以上の罹患率が10年も続けて観察されるわけがないんです。』
→1993年から2011迄の18年間で15倍(実質1999年から2011年の12年で約15倍)になっているのであって、15倍以上が10年間続いた訳ではありません。
また、受診者が毎年入れ替わって且つ少しづつ増えていれば18年後には罹患率が初年度の15倍になっても不思議はありません。

『この現象は「狭義のスクリーニング効果だけでは説明できない」つまり「多数の過剰診断を含む可能性が非常に高い」を判断されるのではありませんかね。』
→なぜ、「スクリーニング効果だけでは説明できない」ならば「多数の過剰診断を含む可能性が高い」と言えるのでしょうか?
中間の値はなぜ排除できるのでしょうか?
多数のとは90%や95%を指すと考えますが、なぜ、それらの値に限定できるのでしょうか?論理に飛躍があると考えますが、如何でしょうか?

結局、suzanさんの文章では「ほぼ全員が繰り返し受診した場合のことしか書いてないと考えますが、何処が、悉皆検査ではないのですか?

次の投稿に行きます。
『あのう…わたくしの長い文章の最後半の「で、韓国では」以下に悉皆検査でない場合のことが書いてありますが』
→どこが悉皆検査でない場合なのですか?
住民の一部が入れ替わった事ですか?それは、ほぼ悉皆検査であって、悉皆検査ではないとは言えませんよ。

『これはNATROM先生の
>狭義のスクリーニング効果が連続して発生する」のは正しいです。ただ、あまりにも過剰診断が多いので相対的には無視しうる数というだけです。「狭義のスクリーニング効果」が発生する数に上限があるのはおわかりですよね?「狭義のスクリーニング効果が連続して発生」したとしても、連続して罹患率10倍以上の年が続いたりしないんです。
の部分と同じことなんですけど。』
→同じことを述べたのであれば、同じ様にコメントするしかありません。
「連続して罹患率10倍以上の年が続いたりしてませんよ。だから、その仮定で論じられたことは、全く意味がありません。」

『NATROM先生は「狭義のスクリーニング検査 だけ では説明できない」と以前から繰り返し書いていらっしゃる、「すべて過剰診断」とは一度も書いてない。なぜ書いていることを認めないで、書いてないことを書いた書いたと問い詰めるのでしょうね。』
→これは、この質問の後で論証しましたので、今はご理解頂いていると考えます。

『「論文ではスクリーニングの受診率が10%上がると、甲状腺がんの罹患率も10万人当たり約40人増えたとしている。理論的には受診率がさらに上がれば、罹患率も15倍よりもっと増える可能性がある。」
これはあなたさまが引用した文章ですが、どこにも「罹患率の増加はスクリーニング効果によるもの」とは書いていません。
「スクリーニングの受診率が上がると」と書いてあるのは「検診(日本語で検診、英語でスクリーニング)を受診する人間が増えると」という意味です。』
→スクリーニング効果の見積もりはその文章からではなく、下記からです。

『韓国のデータは下記のtable 2をPopupすると出ます。
https://www.bmj.com/content/355/bmj.i5745
過剰診断率約60%、狭義のスクリーニング効果約30%
根拠は単純です。
韓国の2008年の甲状腺癌の大きさ別の発見率の表から
1cm未満が過剰診断
1〜2cmが狭義のスクリーニング効果
2〜4cmとanspecifyedが元々の罹患率
です。』

『「研究グループは「韓国で見られる甲状腺がんの急増は、小さい腫瘍の検出の増加によるものであり、過剰診断の結果であることが最も考えやすい」と結論づけている。
https://biz-journal.jp/2017/07/post_19633_2.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.
という文章が続いていますので、この研究グループは
罹患率の増加、つまり甲状腺がんの急増は(スクリーニング効果ではなく)過剰診断によるものと結論づけている
というのがこの論文の意味なのです。
「検診数が増えると過剰診断が増える」という意味の論文です。
なぜあなたはこれを「スクリーニング効果」とおっしゃるのでしょうか?
「スクリーニング(検診)の結果こうだった」
という文章は
「スクリーニング効果がこうだった」
という意味でないことはこれまでの議論でおわかりですよね?』
→次の様に説明しています。

『倍率は受信率が上がったから増えたのです。
そして、過剰診断率と狭義のスクリーニング効果率の合計はそれにつれて、先生の計算式に従って増えたでしょう。
しかし、その合計の中には過剰診断率が2 狭義のスクリーニング効果率が1 の割合で含まれているのではないでしょうか?
2008年は1999年に対して、罹患率が6倍でしたから、約60%、約30%でしたから、15倍で計算すると、62%、31%となりますが、まあ、誤差範囲でしょう。
如何でしょうか?』

『引用していただいた論文
https://www.bmj.com/content/355/bmj.i5745
を数回読みましたが、どこにも過剰診断60%スクリーニング効果30%とは書いていません。
特に「スクリーニング効果」の言葉はどこにもありません。
なぜこの論文で「過剰診断60%スクリーニング効果30%」と言えるのでしょうか?』
→ 『韓国のデータは下記のtable 2をPopupすると出ます。』その表の癌サイズ別のところで2008年のデータを使用して、割合を計算しました。

『ちなみに論文中には「1センチ未満が過剰診断」とも「1~2センチが狭義のスクリーニング効果」「2から4センチがもともとの罹患率」ともどこにも書いていません。あなたさまがそうお考えになっただけで論文にはそう書いていない、そうは読み取れないです。』
→『>私は、1cmを超える甲状腺癌は将来殆どが発症すると考えており、2cmを超える甲状腺癌は殆どが何らかの自覚症状を感じて診療を受けると考えています。
この理由については後ほど名取先生への回答の中で説明します。』

『これの説明をお願いします。』
→この話を説明すると話が発散すると思い、名取先生には95%、90%の話が終わったら説明するつもりでした。しかし、
既に、名取先生が反論されてますので、一通り説明しますが、議論は、95%、90%の話が終わってからにして頂きたいと思います。
また、文章が長くなりましたので、次の
コメントで説明します。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんのご主張は、「韓国では少なくとも2014年ごろまでは平衡状態に達していなかった」というものだと思われます。それならそうで、

●過剰診断がなく「狭義のスクリーニング効果」だけでは、検診による罹患率上昇は一時的なもので長期的には罹患率は検診前の水準に戻る。

ことには早々に同意していただいてほしかったです。無駄な説明をせずに済んだのに。

AGAPEROSさんのご主張の難点は、

1. 人口全員がまんべんなく検診を受けると仮定している(実際には偏りがあるのでAGAPEROSさんのご主張は成立しない)。
2. 小さい受診割合で高い罹患率を説明しなければならない(実際には説明できないのでAGAPEROSさんのご主張は成立しない)。

です。これがたとえば「40歳の人は甲状腺がんを受けようキャンペーン」とかなら、いちど検診を受けた人はもう二回目は受けません。けれども甲状腺がん検診は、数年に一度、同じ人が何度も受けるんです。韓国の甲状腺がん検診はたぶん、2年に一度です。乳がん検診のついでに受ける人が多いですから。そして受けない人は受けません。日本の乳がん検診受診割合は50%弱ですが、「だったら2回の検診機会でほぼ100%カバーできるね」ってならないでしょ。2年に1回きっちり受ける人もいれば、ほとんど受けない人もいます。というか、受診割合の多くが「2年に1回きっちり受ける人」の寄与によるものじゃないですか。

人だけではなく地域でも偏りがあります。これはきっちりデータでも出ています。

女性は受信率が25%で120人/10万人

AGAPEROSさんの解釈では、受診割合が多い地域では1年間に女性の25%以上、30%近くがが甲状腺がん検診を受診しています。4年で1周しますね。そういう地域ではAGAPEROSさんの計算は成立しますか?

ついでに言いますが[ http://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/Report1_Japanese.pdf ]の図9は「1年間に女性の25%以上が検診を受けている」のではなく、たぶん「過去2年間に女性の25%以上が検診を受けている」です。Ahn et al.(2014)にも似たような図があり、そちらは"In 2010, the Korean Community Health Survey (the government’s annual nationwide health survey) asked adults older than 19 years of age whether they had been screened for thyroid cancer during the previous 2 years."という説明だからです。

1年に25%だろうと2年に25%だろうと、「検診は同じ人が何度も受ける傾向がある」ことを念頭におくと、AGAPEROSさんの解釈には無理が出てきます。オマケしてあげて2年に25%だとするとどうにか説明できるとして、今度は「小さい受診割合で高い罹患率を説明しなければならない」という問題が生じます。

まず「女性は1年間に受診割合が25%で、罹患率120人/10万人年」だとしましょう。30%が「狭義のスクリーニング効果」だとして、その年には36人/10万人年の「狭義のスクリーニング効果」が発生したわけです。何年先の有症状がんを前倒ししたことになりますか?検診なしでの罹患率が5人/10万人年だとして、36÷5=約7年間じゃないですよ。受診割合は25%ですからね。約28年間です。検診を受けた人のうち今後28年間に症状を呈して診断されるはずの甲状腺がんを全部(人口全体からは25%)見つけたと仮定してはじめて、「受診割合が25%で、罹患率120人/10万人年、30%が狭義のスクリーニング効果」が説明できます。

他死因で亡くなれば過剰診断です。「狭義のスクリーニング効果」とされた36人/10万人年の人たちは、検診後約28年間、一人も甲状腺がん以外で死ななかったと仮定しなければなりません。数年ぐらいなら誤差範囲内で済ませられますが10年以上ともなると他病死の影響も検討すべきです。さらに、約28年間のうち、「検診時点では診断されないけど、そのあとに診断できる程度の甲状腺がんが発生して診断に至った」という人も一人もいないと仮定しなければなりません。1年や2年ならともかく、約28年も観察して、そんなことありますかね?

同じことをもう一度別の表現で説明します。「検診を受けた人のうち今後28年間に症状を呈して診断されるはずの甲状腺がんを全部見つける」ということは、50歳で検診を受けて甲状腺がんが見つからなかった人は、78歳になるまで一人も有症状の甲状腺がんを発症しない、ということです。50歳時点ではがんはないか、エコーで見えない小さながんしかなく、60歳ぐらいからエコーで見つかるぐらいになって、70歳に発症するというような人もいるのではないですか。というか、有症状発見されるようながんは、何十年も前からエコーで見えるような大きさでごくごくゆっくり増大しているのではなく、最近急速に増大してきたもののほうが多いのでは。

「女性は2年間に受診割合が25%、つまり1年間に受診割合が12.5%。罹患率120人/10万人年」と仮定したら問題はもっと悪化します。今後56年間に症状を呈して診断されるはずの甲状腺がんを全部見つけたと仮定してはじめて説明可能ですね。韓国の甲状腺がん罹患のボリュームゾーンは50歳代です。みな100歳以上生きるのですか。

この辺りは実はすでに説明済みです。「受診割合が10%でも罹患率10倍を説明可能ですね…ってそんなわけあるかーい!AGAPEROSさんは、いったい、早期発見可能前臨床期を何年と見積もっているんです?」あたり。さらに言うなら、「過剰診断ではなく狭義のスクリーニング効果であるとしても、長い長い早期発見可能前臨床期のがんを診断して何かいいことあるのかよ問題」がまだ残っています。28年後に発症するがんを診断・治療してなんかいいことあるんですか?


AGAPEROS

TAKESANさんへ
最近は名取先生のお話も何を仰りたいのかよく分かりませんので、せめて短いTAKESANさんの言葉くらい理解出来ないかなと考えています。なので、噛み砕いて教えて下さい。

『甲状腺がんが見つかった人は、次の年以降に甲状腺がん検診は受けませんが、甲状腺がんが見つかった人は人口のどのくらいの割合ですか? その数が、《人口に対する検診受診者の割合を同じ人が重ならないように》増やす事に、どれほど寄与するでしょうか。』
→1999年頃は10万人当たり6,7人程度しか増やさないでしょうね。それより、政府の支援の拡大で受診率が上がって、新しい人が受診する様になる方が、圧倒的に多いでしょうね。
で、何が言いたいのですか?
その後の文章も、何となく繰り返し検査を受けることが多いだろうと言いたい様ですが、具体的にどの位ダブっていると、スクリーニング効果がいつから働かなくなるのですか?
発病するまでに17年掛かる癌を全て刈り取ってしまった場合に、10年目にスクリーニング効果が0になるのですか?

https://www.google.co.jp/amp/s/biz-journal.jp/2017/07/post_19633_2.html/amp
『韓国では1999年から、低負担で受けることができる国家的ながん検査プログラムが開始された。すると1993年には10万人当たり4人だった甲状腺がんが、2011年には約60人にまで増えた。
論文ではスクリーニングの受診率が10%上がると、甲状腺がんの罹患率も10万人当たり約40人増えたとしている。』
この記述からは、2011年の受信率は60÷40×10=15%と推定できます。
以前の計算の半分位になりました。
実質的に1999年位から2011迄が直線的に増えた期間なので毎年15/12=1.25%づつ受診率が上昇したと考えられます。
韓国の人口を約4千万人とすると、毎年60万人づつ増えた事になります。
検診を受け始めた人が繰り返し検査を受けたとしても、毎年新しい受診者が60万人づつ増えるのですよ。その60万人にはスクリーニング効果は何年経っても、0にはならないのでは?
どう思いますか?


AGAPEROS

suzanさん 並びに TAKESANさんへ

ご指摘有難うございました。分かりました。それは、私の言い間違いでした。
『検診を続ける限りはスクリーニング効果は継続して生じます。けしてゼロにはなりません。私が言っているのは「スクリーニング効果はゼロになる」ではなく、「過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけだと罹患率の上昇は一時的なもので、いずれ平衡状態に達する。平衡状態では検診開始前と同じレベルの罹患率になる」です。』ですね。
但し、私は過剰診断率60%、スクリーニング効果率30%位ではないかと言ってますので、いずれにせよこの話は、私への反論にはなっていないと思います。
それに、毎年受診者が60万人づつ増える場合も平衡状態に達するのでしょうか?過剰診断もスクリーニング効果も毎年増えるのではないでしょうか?


AGAPEROS

TAKESANさんへ

さらっと流していた訳ではなく、回答に時間がかかってました。済みません。
名取先生は「過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけだと罹患率の上昇は一時的なもので、いずれ平衡状態に達する。平衡状態では検診開始前と同じレベルの罹患率になる」と、仰っていますが、それは基本的に同じ人が繰り返し検診を受ける前提となっています。
1999年から2011年までは概算で毎年1.25%ずつ受診率が増加していることが分かっています。
12!=78 78×1.25=97.5%ですから、
『この程度なら、12年間毎年違う人が受診することも可能と考えますが如何でしょうか?』
と考えましたが、流石に、幼児から老人まで全員が入れ替わり立ち替わり検診を受けることを想定するのは無理があると考え、一度受診すると、甲状腺を手術した人以外はその後毎年受診して、そこに毎年1.25%の人が追加で受診することを考えました。そこで、
『一部同じ人が受診したとしても、甲状腺を全摘した人が再受診するとは考え難いと考えますが如何でしょうか?』
と、書きました。
全会が発見された人は10万人に数人のオーダーですから、受診者の減少は無視していいと考えます。しかし、
1年経てば年齢も1歳上がりますから、罹患率も上昇しますので、去年、検診で癌がなかった人も、新しく見つかるかもしれませんし、
勿論、今年から追加になった人からは、初年度に発見されたと同じ数の過剰診断分とスクリーニング効果分が発見され、臨床では同じく初年度に発見された分の癌が発見されるでしょうと考えました。
総合すると、毎年繰り返し同じ人が検診を受けるのではなく、毎年1.25%づつ受診率が増加する場合は、罹患率が12年に渡って上昇することもありうるのではないかということを言いたかったのです。
尚、死亡率が上昇しなかったのは約17年先に発症する癌を刈り取っていたからと考えます。
以上です。

私が何が分かっていないのか、教えて頂ければ幸いです。


AGAPEROS

TAKESANさんへ
おはようございます。
結果的に、そうなりますね。
但し、二ツ目の仮定は十分あり得るし、それでも罹患率は上昇し続けると考えますが、如何でしょうか。


AGAPEROS

あめりかなまずさんへ
具体的なシミュレーションをして頂き本当に有り難いです。有難うございます。
ただ、名取先生のご説明もそうなんですが、
『過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけだと、罹患率が上昇することは説明出来ない。だから、狭義のスクリーニング効果の影響はあってもとても少ないだろう。つまり、殆どが過剰診断だろう。』
と言う理屈なんですが、実際には、罹患率は12年間受診率とともに上昇しています。
前提の何かが違う訳です。
私は、スクリーニング効果の影響と過剰診断の影響が適当な割合でミックスされるとこうなるのではないかと考えています。
現実にマッチした結果となる様なシミュレーションは出来ないものでしょうか?
因みに、1cm未満の甲状腺微小癌は、成人女性の3.5%に見られるとの情報があります。男女比1:2に鑑みると、男女平均では約2%程度となると考えます。
2%は10万人あたり2000人に相当します。
2008年の1cm未満は約30人でしたから、1.5%に相当します。
1.25%×(2008-1999)=11.25%となって10倍位数字が合いませんが、小さい癌の検出率を10%位と考えると、あり得るかもしれないとも考えます。
この様な条件も考慮して、実際の状況にマッチする過剰診断の割合と狭義のスクリーニング効果の割合を探ると言うことは可能でしょうか?


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

AGAPEROSさんへ。

その後の文章も、何となく繰り返し検査を受けることが多いだろうと言いたい様ですが、具体的にどの位ダブっていると、スクリーニング効果がいつから働かなくなるのですか?

その辺りは、AGAPEROSさんが、ざっくり大雑把でいいですから、ご自分が具体的な数字を挙げて説明すべきなんです。

発病するまでに17年掛かる癌を全て刈り取ってしまった場合に、10年目にスクリーニング効果が0になるのですか?

ゼロにはならないですね。ただ、刈り取られて「狭義のスクリーニング効果」は小さくなり頭打ちになります。これが「平衡状態」。AGAPEROSさんは、「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があると仮定しておられますので、平衡状態では、罹患率は最大で検診前の3倍程度に落ち着くはずです(受診割合にも依存する)。

検診を受け始めた人が繰り返し検査を受けたとしても、毎年新しい受診者が60万人づつ増えるのですよ。その60万人にはスクリーニング効果は何年経っても、0にはならないのでは?

ゼロにはならないですね。ただ、「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があるとしても、「毎年新しい受診者が60万人づつ増える」だけでは、罹患率が15倍とか17倍とかが続くなんてことにはならないんです。逆にお聞きしますが、2011年の受診割合が15%で、その後も受診割合が減らずにずっと受診割合の上昇が堅調だったら、「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があると仮定して、罹患率は何倍ぐらいまで上昇するとAGAPEROSさんはお考えですか?たとえば、ずっと受診割合が高くなって100%に達したとき罹患率は100倍ぐらいになりますか?

私の計算では3倍程度です。5人/10万人年ぐらいの「狭義のスクリーニング効果」のがんが見つかって、その2倍の過剰診断があります(はじめてスクリーニングを受けるという人たちから多くのがんが発見されるであろう)。残りの人たちからは「刈り取られて」いるのでがんは見つかりませんし発症もしない、という感じです。

それに、毎年受診者が60万人づつ増える場合も平衡状態に達するのでしょうか?過剰診断もスクリーニング効果も毎年増えるのではないでしょうか?

増えている間は厳密には平衡状態には達しません。しかし、早期発見可能前臨床期次第ですが、私のシミュレーションでは、毎年受診が増えるという条件下でもわりとすぐに罹患率はピークを過ぎます。有症状発症も減りますし潜在的に甲状腺がんと診断されうる人(disease reservoir)も減るからです。「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があるという仮定でも、ピークの山が少し高くなるだけで変わりません。せいぜい検診前罹患率の3倍程度です。

『過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけだと、罹患率が上昇することは説明出来ない。だから、狭義のスクリーニング効果の影響はあってもとても少ないだろう。つまり、殆どが過剰診断だろう。』
と言う理屈なんですが、実際には、罹患率は12年間受診率とともに上昇しています。
前提の何かが違う訳です。

「過剰診断がなく狭義のスクリーニング効果だけ」という前提が違うのです。『「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があると仮定』しても、瞬間風速的ならともかく数年続いて罹患率が15倍とかにはならないんです。

現実にマッチした結果となる様なシミュレーションは出来ないものでしょうか?

「狭義のスクリーニング効果」の2倍程度の過剰診断があると仮定すれば説明できるのだ、とAGAPEROSさんが主張したいなら、そのシミュレーションをAGAPEROSさん自身がやんなきゃいけないんです。あめりかなまずさんがやったようなシミュレーションをです。

実際の状況にマッチする過剰診断の割合と狭義のスクリーニング効果の割合を探ると言うことは可能でしょうか?

専門家の人たちはそういうことを考慮した上で15倍とか17倍とかいう罹患率の情報は「狭義のスクリーニング効果はあっても誤差範囲内だね」と判断できるんです。もう、見ればわかるレベルなんです。


名取宏(なとろむ) (id:NATROM)

本文にシミュレーションの結果を付け加えました。「2021年2月22日追記。」以降です。


AGAPEROS

名取先生へ
先生の手を煩わせてしまい申し訳ありません。
どうも、よく分からないのですが、毎年1.25%づつ受診者が増加して、スクリーニング効果は0%、全てが過剰診断だと仮定し、前年度に検診を受けて癌を刈り取られた集団から、翌年は癌患者が出ないと仮定すると、罹患率は一定になってしまい、毎年増加しない様に考えます。
2年目に罹患率が1.25×2=2.5倍になるためには、昨年検診を受けた1.25%の人からも1.25%の罹患率が出ないと2倍にならないと考えます。
そうすると、全員が新しく検診を受ける人となってしまいます。
12年間毎年人が入れ替わると12!×1.25=97.5%
となり、韓国の方がほぼ全員受診することとなって、非現実的な設定となってしまいます。
何がいけなかったのでしょうか?
それとも、過剰診断の場合は、スクリーニング効果の年数を50年位に設定して計算すると良いのでしょうか?
でも、そうすると、最初の年にすごく大きなピークが出来て、50年くらいかけて下がってくる様な曲線となってしまう様に考えられます。
それも、何だか変ですね。
理解力がなくて、何が違うのか分かりません。
私が何を間違ってしまったのか、教えて頂けますでしょうか?


AGAPEROS

suzanさんへ

名取先生の計算式はその年の罹患率を計算する式で、韓国の罹患率のグラフは毎年の患者数を積算したグラフなのでは?
だから、毎年1.25%づつ受診者が増加すれば、それに応じて、過剰診断分とスクリーニング効果分が一定数発生して、毎年積算していくから患者数が連続して増えていくのだと考えます。
前年度に受診した人は殆ど発症しないと仮定します。
過剰診断分は毎年いつも罹患者数の約60%程度。
それから、スクリーニング効果は、10年だか17年だか分かりませんが、それ全部でその年の罹患者の約30%程度なのだと考えます。
残り約10%は臨床分です。

以下は、逐次コメントします。
『狭義のスクリーニング効果をゼロにして計算するから変になるんじゃないかなぁ。』
→違うと考えます。この式の問題点は上記の通り罹患率を積算していないことだと考えます。前年以前に癌と診断された人もまだ生きてれば罹患率に反映される筈です。そうでなければ、受診者が一定の割合で増えても、連続して直線的に罹患率は上昇しません。

『だって狭義のスクリーニング効果は数は少ないとしても必ずある(そうでないとそもそも健診する意味がない)んだから。逆に発見される病気がすべて過剰診断とわかっている検診も存在しないと思うけどなぁ。』
→仰る通りだと思います。

『そもそもの議論は「韓国の検診の罹患率が毎年15倍以上の数字を出す、』
→罹患率が15倍になったのであって、毎年15倍以上の数字は出していません。


AGAPEROS

suzanさんへ
これで、三度目ですが、下記は見られましたか?
→スクリーニング効果の見積もりはその文章からではなく、下記からです。

『韓国のデータは下記のtable 2をPopupすると出ます。
https://www.bmj.com/content/355/bmj.i5745
過剰診断率約60%、狭義のスクリーニング効果約30%
根拠は単純です。
韓国の2008年の甲状腺癌の大きさ別の発見率の表から
1cm未満が過剰診断
1〜2cmが狭義のスクリーニング効果
2cm以上とunspecifyedが元々の罹患率
です。』

なぜ、「1cm未満が過剰診断
1〜2cmが狭義のスクリーニング効果
2cm以上とunspecifyedが元々の罹患率」
と考えたかは、後でまとめて説明予定でしたが、簡単に説明します。
それぞれの根拠は省きます。
上記の表の1999年の臨床の罹患率の殆どが2cm以上だから、発症するのは殆ど2cm以上と考えました。
また、剖検で発見される甲状腺乳頭癌が殆ど1cm未満だから、1cm未満の甲状腺乳頭癌を診断することは過剰診断と考えました。残りの1〜2cmは、存命中に発症すると考えて、スクリーニング効果と考えました。
極めて、ざっくりです。当然1cm以下でも未分化癌や悪性リンパ腫などの急速に成長して発症する癌もあるし、1cmを少し越えても、その後、縮小して生涯発症しない癌もありますが、それらはいずれも小さい確率であり、相殺されると考えてます。2cmの前後も同様です。

尚、2〜4cmは誤記でしたので、2cm以上に訂正しました。


AGAPEROS

suzanさんへ
https://twitter.com/agapeeros123/status/1356217998671966208?s=21
この表です。


AGAPEROS

suzanさんへ
皆様へ

2cm以上がなぜ発症して臨床で診察された癌だと考えたのか、説明が間違ってました。
もう一度表を見てみたら、1999なんの臨床の割合が2cm以上だけ多くなかったので、何を勘違いしたのかと、もう一度考え直して、思い出しました。
1999年、2005年、2008年と2cm以上はあまり増加していないからです。
この表の論文に1999年から2008年迄、増加したものの94.4%は2cm未満だったと記載がありました。
増加したのが過剰診断分とスクリーニング効果分ならば残りは、通常の臨床の罹患率だと考えました。
お詫びして訂正致します。


AGAPEROS

suzanさんへ

貴方の下記の発言は、名言ですね。
15倍になったから (14/15)×100≒93.3%が全て過剰診断だったら、韓国の人は、何の為に検診なんかやってるんでしょうね?
ほんと、それが専門家の間では常識だそうですから、専門家って、どう言う思考回路なんでしょうね。
わたしも、何でそれに気付かなかったのか、今となっては恥ずかしいです。
いやあ、返す返すも名言だ。素晴らしい。

『だって狭義のスクリーニング効果は数は少ないとしても必ずある(そうでないとそもそも健診する意味がない)んだから。逆に発見される病気がすべて過剰診断とわかっている検診も存在しないと思うけどなぁ。』