掌小説語り~自作つぃのべる集~61

自作ついのべるのまとめです。 2018年5月分
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リュカ @ryuka511

くゆる紫煙に君を思い出す。煙草は嫌いといいながら、僕の吐く紫煙を君は綺麗だと言った。僕というフィルターを通せば、何でも綺麗なものになるんだと。僕の好きな音楽や映画を、君は好きになってくれた。共通の趣味が増えて嬉しかった。君が去って気付く。君が好きだったものを僕は知らない #twnovel

2018-05-25 00:59:38
リュカ @ryuka511

私は偽王だ。暴君を演じる私の陰で甘い汁を啜るのは、私を王に据えた兄。民衆の憎悪を受けながらも、王として君臨する。兄とは血の繋がりがない弟の為に。私が王である限り、生まれが卑しくとも王弟である彼は守られる。民衆よ、私を憎め。王政を破壊し、生まれに左右されない世を作ってくれ #twnovel

2018-05-26 01:07:38
リュカ @ryuka511

突然現れたそいつは、前世からの契約だと言って俺に付きまとう。力を与えるとか意味が解らない。他の人にこいつは見えないらしく、妙な独り言が増えたと心配される始末。俺の平穏な生活を返してくれ。力なんかいらないから消えろと怒鳴ったら、心底悲しい顔をされた。待て、何で胸が痛むんだ? #twnovel

2018-05-27 01:14:58
リュカ @ryuka511

私の名を静かに呼び、君は眠るように、微笑みながら逝ってしまった。君は幸せだっただろうか。故郷を遠く離れて私の下へ来た君は、始めは私に怯えていた。私が噂とは違うと知り、少しずつ心を開いてくれた。だが、故郷と違う空気は君の身体を蝕んだ。人間の私の方が先に死ぬと思っていたのに #twnovel

2018-05-28 01:08:09
リュカ @ryuka511

君は厳しい目で僕を見据えた。「私を愛して何を得ました?」答えに詰まる。「貴方は歩き出さなくてはいけません」いいんだ、君がいないなら歩けない。「貴方は私を、いいえ、彼女を忘れるべきです」ガラスの瞳が僕を見据えた。「今の貴方に天国の彼女は泣いている、コピーの私には解ります」 #twnovel

2018-05-29 00:28:06
リュカ @ryuka511

「力が欲しいか愛が欲しいか、選べ」そう言い紅い天使は微笑んだ。誰からも愛されず誰も愛さず生きる私に、愛とは何か分からなかった。力があれば愛だって得られるだろう。「力が欲しい」紅い天使は笑った。「では受け取れ」 #twnovel 今まで得られなかった全てを力づくで得た。満たされないのは何故?

2018-05-30 00:21:41
リュカ @ryuka511

月光を浴びながら、猫は満足げに目を細める。世界から人間だけが滅びた最初の夜。危険な車もうるさい酔っ払いもいない、平穏な夜の街を歩く。ネオンはまだ眩しく光っていたが、その内消えるだろう。見知った顔とすれ違う。夜の散歩を楽しんでいるようだ。軽く挨拶を交わし、静かな夜を行く #twnovel

2018-05-31 00:39:05