掌小説語り~自作つぃのべる集~80

自作ついのべるのまとめです。 2019年12月分。
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リュカ @ryuka511

姫様はとても強欲で、姫様が望めば何でも手に入りました。でもたった一つだけ、手に入らないものがありました。母親である女王様に忠誠を誓う騎士です。それでも自分が女王になれば、騎士は自分のものだと思っていました。不審な死を遂げた女王様の後を追って、騎士が自害してしまうまでは。 #twnovel

2019-12-26 02:33:47
リュカ @ryuka511

あの時、差し出されたこの手を掴んでいなければ、今頃は闇の底で朽ちていただろう。宿敵と戦い敗れ、死ぬはずだった。奴は留めを刺すかと思えば「俺と行こう」などと言い出した。妙な奴だと思ったが、その手を掴んだ俺も大概だ。闇を生きるのに変わりはないが、闇の中で充足を得られるとは。 #twnovel

2019-12-27 01:29:04
リュカ @ryuka511

黒く光る冷たい金属に契約のキスを落とす。銃の手入れを終えた後の儀式だ。己の相棒は己の手で世話をする。そうして相棒の全てを理解する事で、相棒は応えてくれる、身を委ねてくれる。世界中で信じられるのは、己の腕と相棒だけ。 「今日も頼むぞ」銃口に囁けば、相棒は月明かりに冷たく光る #twnovel

2019-12-27 23:55:55
リュカ @ryuka511

血に汚れたこの手では、誰かを幸せにするなど不可能だと思っていた。お前が現れるまでは。何故か俺を慕い付き纏うお前は、俺よりずっと深い闇の中にいた。お前の俺への想いが何なのかは知らない。だが俺が傍にいる事でお前が心から笑えるなら、血と罪に塗れた俺にも、存在価値はあると思えた #twnovel

2019-12-29 00:07:19
リュカ @ryuka511

希望などだからいらないと言ったのに。私が歩むのは闇の底。いつ死んでも構わないと思っていた。だが君は私の生命を肯定し光へ導こうとした。生きる事を許されると思ってしまった。血溜まりに倒れていた君。これは、罪と血に染まりきっているくせに、生きたいなどと願ってしまった、私への罰 #twnovel

2019-12-30 00:00:28
リュカ @ryuka511

昼間に鳴る電話はロクな内容じゃない。無視を決め込もうとしたが、あまりにもしつこく鳴るそれが悲鳴のように聞こえてくる。案の定、しくじったという相棒からのSOSだった。だから止めておけと言ったのに。溜息を吐き立ち上がる。夜間営業の俺を昼間に働かせるとは。この貸しは高くつくからな #twnovel

2019-12-31 01:33:29