掌小説語り~自作つぃのべる集~86
スポットライトの真ん中で歌い踊る君はやはり美しい。誰も君を知らない頃からずっと応援してきた。今やグループを先導する君は遠くへ行ってしまったようで淋しい。君は変わった。もちろん良い方へ。僕も変わらなきゃいけないのに、君が眩しくて、君を平然と直視する他の奴が憎くてたまらない #twnovel
2020-06-25 00:11:44町の有力者である青年は、王国軍から逃げのびた反乱軍残党を匿った。農民を装う彼らへ密かに武器を調達し、再度彼らの決起を待つ。暴君を討たんとする彼らは町の人々の希望である。そして国王の庇護下にある青年にとっても同様だった。国王に媚び諂い住民を苦しめた先代の罪を、贖うのだ。 #twnovel
2020-06-26 00:54:21開かずの踏切で立ち往生していた。行き交う電車を見るともなしに見ていると、向こう側に君がいた。思わず物陰に隠れてしまう。君は僕の親友と手を繋ぎ、楽しげに話してる。あいつも君が好きだと知って、僕は友情も恋も失わない方法を考えていた。そんな事考えず、君に告白すれば良かったのに #twnovel
2020-06-26 23:36:11お義母様が私を妬んでいるらしい。私を追い出し生命まで奪おうとしていると。更に、お義母様は継母ではなく実の母だという噂を聞いた。若いのに年頃の娘がいる事実を隠したいのだと。そんなの嘘よ。だから、毒林檎と知っていて齧ったの。実の娘を殺そうとする親なんて、いない。そうでしょう? #twnovel
2020-06-27 23:42:49君はちゃんと乗れただろうか。一足先に人工惑星への避難を終えた青年は、不安な顔で通信機に耳を傾ける。絶え間無いノイズの他は何も聞こえない。最後に聞いたニュースでは、箱舟は出発したという。いつ着くのか箱舟クルーの友に問う。「最終便は物資のみ、クルー以外の乗客はもういないよ」 #twnovel
2020-06-28 22:54:42友人に買い物に付き合ってほしいと言われた。ショーウィンドウに高級なスーツが並ぶ店だ。採寸してもらう友人を眺め、こいつは変わったなと思う。初めてのオーダーメイドに緊張したという彼は、僕に付き合ってもらえて良かったと微笑む。変わったのは、僕の方なのだろうか。よくわからない #twnovel
2020-06-29 23:59:45