茂木健一郎さんの「透明ランナー」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの8月5日の連続ツイート。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、昨日の「男の子パワー」に引き続き、子どもの遊びにかかわるテーマで!

2011-08-05 06:45:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(1)子どもたちは、ごくわずかなものがあれば、遊びを工夫することを知っている。その時、楽しいように、ルールを自分たちで考える。前頭葉のメタ認知のすばらしいはたらき。最初からルールがあるのではなく、楽しくなるように、ルールをみんなで考えるのだ。

2011-08-05 06:47:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(2)子どもの頃の草野球は、自分たちで考えた自主ルールのかたまりだった。三角ベース。一塁は電灯の下、二塁はベンチの横の石、ブランコを超えると、ホームラン。ファウルかどうかも、自分たちで判断した。大人の審判など、いなかったし、いらなかった。

2011-08-05 06:48:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(3)カウントありなし、振り逃げありなし、盗塁ありなし、みんな、自分たちで決めた。そして、その時の基準は、「結果として楽しい遊びになるか」ということだった。無意識のうちに、偶有性を調節していた。弱い者と強い者が、同じくらい勝てるように、という配慮もあった。

2011-08-05 06:50:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(4)幼い子が入っていたら、カウントなしにしてあげる。女の子がいたら、上投げじゃなくて下投げにしてあげる。いつも、勝つ側が決まっているゲームは、面白くない。誰が勝つかわからないから面白い。そのためのハンディ・キャップ。誰に言われるまでもなく、みんなで工夫した。

2011-08-05 06:51:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(5)子どもの頃の草野球の自主ルールのきわめつけは、「透明ランナー」。対戦していて人数が足りなくて、塁上のランナーがバッターに立たなくてはならないとき、たとえば「透明ランナー一塁!」と宣言する。そして、次の打者がヒットを打ったら、透明ランナーも進塁する。

2011-08-05 06:53:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(6)透明ランナーは見えないのに、みんなで見えることにしていた。透明ランナーにタッチするとか、投げて当てるとか、そんなことを言っているやつもいた。透明ランナーは、限られた道具、環境の中で最大限に楽しもうという、子どもたちの創意工夫。透明ランナーばんざい!

2011-08-05 06:54:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(7)与えられたルールの中で得点を競うのではなく、自分たちで工夫し、決めて楽しむ。このような子どもの遊びの中には、後に、社会に入り、力を合わせる時に必要な叡智が隠れている。自分たちの置かれた状況を客観視する、「メタ認知」が機能し、そして「場」を生み出すのだ。

2011-08-05 06:56:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(8)インターネットなどの新しいメディアの最大の特徴は、相互作用のあり方、その時の形式を自分たちで工夫して楽しめること。カリフォルニア発のベンチャー精神の中には、「透明ランナー」と同じものがある。子どもの時のいきいきした気持ちを、忘れないだけでいいのだ。

2011-08-05 06:57:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

とら(9)「楽しさ」を基準にすること。それで、人間は大抵間違うことがない。インターネットが切り開いた新しい文明の中を、たくさんの「透明ランナー」が走っている。私たちは、日々、楽しく出会い、向き合うためのルールを工夫している。仲間たちと、夢中で走り回り続けている。

2011-08-05 06:58:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「透明ランナー」に象徴される、子どもたちの遊びの創意工夫についての連続ツイートでした。

2011-08-05 06:59:30