読書メモ「フーディー グルメフードスケープにおける民主主義と卓越化」by蟲喰ロトワ

蟲喰ロトワ (むしくろとわ)昆虫食TAKEOのCSO（チーフ・サステナビリティ・オフィサー） @Mushi_Kurotowa

イケてる本が届いた。これは安い。日本語訳に感謝。 文化資本のトロフィーとして使われる「未発見」の食材やグルメが、「フードスケープ」の中でどう機能しているかを社会学者が考察する。 amzn.to/33oVeoj pic.twitter.com/8L4cTt1Lx8

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文化的オムニボア(雑食動物) 音楽の研究から生まれた概念。積極的に意思を持って雑食であろうとする態度。

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「フーディー」という概念が多様な食に対して積極性を持つことのプラスの文脈と、それが逆に格差差別の拡大を助長していないか、という批判的文脈の両輪で話が進むのでわかりやすい。「スシは1980年代的でもう新しくない」という話にも他文化を消費することの無頓着さが端々にある。おもしろいなこれ。

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「文化的オムニボアはなんでも食べる生物学的雑食性を示しているのではなく、高地位の文化集団が俗物的排他性から抜け出して文化的折衷に向かうトレンドを示す」 こわいなこれ。音楽が「雑食」というのはなんでもok、ではなく「本来高地位とされるもの」からの逸脱折衷マウンティング。

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「雑食的包摂は、他者の文化的表現に敬意を示すことが出世の理由になる人々によって管理される」 おぉう。なかなか。

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特権階級的なグルメを開放したかに見えるフーディの雑食主義は中流、労働者階級の利害関心を擁護しないため真の民主主義ではないので、社会経済的不平等を過小評価する。そこに矛盾と緊張関係がある。その緊張関係を分析することが重要。なるほど。。。

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「弁証法的」な食の答えを求める営みそのものが異文化の理解として歯抜けになってしまうのではないか、という疑念とか。おそらく著者もそこに至りそう。読み進めてみる。

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「「フーディー」は民主主義と卓越化との緊張関係を体現するものとして概念化されている。彼らは概して庶民の味を求めるが、経済資本、文化資本の乏しい大多数の人々に近寄りがたい食事やレストランを理想化する。」 日本でいうとなんだろう。

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p121「でたらめな味覚を持っているわけではなく、私は味覚の幅が広いのだ」 今度マウンティングに使おう。

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「真正性とエキゾチシズム」がフーディーの主要な特性。 とのこと。筆者すげえな。 社会学者の事実の描写方法がなかなかエグいことがわかった。

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「本質的に真正なものはなんら存在しない。全てが社会的に構築されている」？？わからん。読み進める。

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p155「シンプルな優雅さと凡庸さとを区別する美的性向が要求される」 これは苦手なやつだ。

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「庶民派オタクによる逆張りマウンティング大会」という理解になりつつあるんだがこれでいいのか？　読み進める。

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「日本においてオタクとして処理されてきたもの」が趣味世界における民主主義と卓越化とのジレンマという世界的な主流であることを見せられているような気がする。「オタクが世界を席巻」ではなくて世界のスタンダードが実装されている市場が日本ではオタクと呼ばれて矮小化されてしまっている。

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インスタグラマーが日本ではオタクと意図的に切断処理されているが実態は同じ。そしてフーディーも。

蟲喰ロトワ (むしくろとわ)昆虫食TAKEOのCSO（チーフ・サステナビリティ・オフィサー） @Mushi_Kurotowa

「不特定多数の他者に自己を語らない」という意味で日本のオタクには特殊性がある。アイデンティティを分割している感じ。「昆虫を食べていることをリアルな友人には言えない」という発想はおそらく欧米昆虫食愛好家にはないのでは。

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リプをいただいたけど「他者に語らないことが美徳」という部分だけは文化輸出の障壁になってしまった。しかし障壁を作ったのはオタク市場のスタンダード性を認めないその他の日本文化ではないかと思う。なので今の若い世代は隠さない。

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ハイカルチャーとローカルチャーの恣意的な区分、俗物性を否定し、新たな「真正性」を追求する行為はその解消ではなくて新たなヒエラルキーを作ることでもある。 いやほんとまじでこれ。自己矛盾の緊張関係を抱えている。

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続いて「エキゾチシズム」 料理上の「他者」を追求し、これを取り入れることはある種の植民地主義ではないか。これも厳しい指摘。これを読んだ「自称フーディー」はすごく居心地の悪い気分になるだろう。しかし重要。

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真正性とエキゾチシズム。「真正なエキゾチックフード」はファストフードの対極にある。そういえばプーケットでバーガーキングが徒歩圏内で5件あったことを思い出した。 pic.twitter.com/wpeZtKL9Ii

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「文化を客体化し、エキゾチックな魅力として評価する食の場において有色人種が疎外される」こわいな。今の昆虫食の日本の現場にとてもラオス人を呼べる状況にないのはこのへんか。

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「アンチ昆虫食パロキアリズム」 昆虫食への嫌悪感が外国人嫌悪を偽装している恐れすらある。 パロキアリズムって初めて聞いた。そうそうこれ、という用語が多いので収穫が多い。

蟲喰ロトワ (むしくろとわ)昆虫食TAKEOのCSO（チーフ・サステナビリティ・オフィサー） @Mushi_Kurotowa

文化的パロキアリズムからの解放と、食の植民地主義を仲裁するにはやっぱり「会食」しかないのではないかという部分になかなか昨今の感染症事情との食い合わせの悪さを感じる。会食の文化的意義とは。

蟲喰ロトワ (むしくろとわ)昆虫食TAKEOのCSO（チーフ・サステナビリティ・オフィサー） @Mushi_Kurotowa

「エキゾチシズム」は社会的距離と規範破りの2種類の特徴によって規定される。あーわかるとしか言いようがない。

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これも大事。昆虫食は「規範破りで社会的に遠い」右上の存在だが、今後スシのように「規範破りでなくなった」時に、何がそれを支えるのか。養殖技術と品質管理であろうと予言しておきたい。 pic.twitter.com/nMTzNyIRhX

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