King-biscuit先生による、西田稔『基地の女』講義

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｢だがこの刺青を仲間同士で実行する度胸はなかった。それで彫る役目は街の不良たちが引き受けたが、痛さに耐えかねて「御意」とか「関東一｣とか下手くそな字で彫っただけでやめてしまった女が多かった。この頃刺青した女は街の特殊女性2,000名の約一割だが完全に彫り上げたのは8、9名だったという」

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｢この中途半端な刺青が流行していた頃が、特に暴力的「リンチ」の行われていた時代である。23年から25年の上半期にかけてはそうだったが、25年の末になり混乱した世相がやや落ち着きを取り戻してくると残酷なリンチは陰をひそめて「証文リンチ」に変わってきた。リンチの合理化である。」

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｢他地区の女が立川で稼いで居るのを見つけると、稼いだ金額の2倍から2倍半を借金証書にして書かせる。女たちの仲間や不良が監視して食費を差し引いた金額で証文に書かれた金額を稼がせてから、新宿方面へ連れてゆき無一文のまま放り出す。女たちの知恵でなく黒幕の知恵で考え出されたものと思われる」