稲川淳二の『つぶやき怪談』(2021.03.27)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

時間を持て余すのも、時間に追われるのも 自分の勝手なんですが、 時は全てのものに公平の筈なのに 何でこう時間が無いんでしょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、お変りないですか？　　稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

桜が咲いて、春荒れがはなびらを散らせると、 一気に緑が芽吹いて あっという間に夏のミステリーナイトツアー。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

というのが例年の決りになってます。 気が付けば窓を開け放す時間も長くなりました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今年の心霊探訪は、日本各地を手紙と写真と電話とファックスで繋ぐ 古典的な手法で、歩みを進めています。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、気が早い私には、 もう初夏の足音が聞えていますよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、今回の「つぶやき怪談」 そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ゆったりと、くつろいで、 お付き合いいただければと思います。 そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、 怖・楽しい時間を、共有しましょうね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

随分前の話になりますが･･･。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

小学校3年生の男の子と幼稚園児の男の子を連れて、お父さんが海に行って、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

かわいそうに、下の子が、 溺れて亡くなっちゃったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すごく楽しみにしてましてね。 この下の坊やっていうのは、海に行ったことがなくてね、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

初めての海だったんですよ、お父さんと行くのが、お兄ちゃんと行くのがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで、お兄ちゃんとふたりで、浮き輪を持って、 パタパタパタパタと走って行ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お父さんは浜辺にいたんだ。 浅いんですよ、海はね。遠浅で。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そう思ってたけど、 安心じゃないんだね、海ってのは。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「わぁー」 波で浮き輪が飛んじゃった。ポーンと。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お兄ちゃんが助けようと思ったんだけど、 子供は軽いから、すーっと流されて、 そのまま死んじゃったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もちろん救急車がきて、 病院に運ばれたけど、だめでした。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

このお父さん、 下の坊やのことがかわいそうで、 忘れられなくて、坊やの部屋、 そのまんまにしておいたんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

小学校にあがる前だったんで、 机もあるしね、一応のものはみんな用意してある。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何か、こう、 片付けるのが忍びないんだな、辛いんだな。