稲川淳二の『つぶやき怪談』(2021.04.25)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時は、札幌方向に出ないで、 北海道の中央を横切って、目的地に行こうと、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

まだ雪の残る道を、飛ばしていたんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところがね、予定に無理があったんでしょうね、 途中で暗くなってきちゃったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、無いんですよね、 そんな所には、ホテルなんて。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「弱ったなあ」 なんて、話ながら、走ってると、あったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ポツンとホテルがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ビジネスホテルにしては、結構きれいなんで、 「やれやれ、ありがたいなあ」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なんて、ともあれ、チェックインしました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると、そのディレクターが、 「どうする淳ちゃん。飲みに行くかい？」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なんて、言うんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

よく言いますよねえ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

飲みに行くったって、 そんな場所あるわけないんですよ、ここいらには。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

だから、 「見てみなよ。そんな場所、ありそうもないぜ」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、私が言うと、ディレクターも 「そうだなあ。じゃあ、しょうがねえから、寝ようか」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

って、ことになって、 私たちはそれぞれの部屋に入りました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

テレビをつける気にもならず、 （寝よう。朝、早いしな）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

って、ベッドに潜り込みました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

少し、眠った時なんですがね、 大きな声がするんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（なんだあ？どっかの会社の団体かあ？） って、思ったら、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なにか、さかんにしゃべってるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（うるさいなあ、今頃、どっかから帰ってきたか）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

って、思ってると、 なおもワイワイやってるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところが、よく聞いたらね、 それはね、自分のすぐそばで、やってるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（なんだこれ？） って、思いましたよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私ね、ライトを二つ、つけていたんですよ。