イーロン・マスクのテスラ砲で、ビットコイン暴落! ノーベル賞・経済学者クルーグマンには、なぜビットコインの世界が「マッドマックスのような終末的世界」に見えるのか?

記事執筆時(2021年5月13日)、テスラCEO・イーロンマスク氏の発言を受けて、ビットコインが暴落しました。 奇しくも、その数日前にクルーグマンがCNNの取材に答えて、「ビットコインはテクノバブル」という発言をしています。 そこで、クルーグマン氏のビットコインに対する思想を読み解き、「中央銀行 VS 仮想通貨」「リフレ派 VS リバタリアン」の対立軸を見出していきます。 ただここでは、なにか難しい経済理論ではなく、ビットコインは「マッドマックス」の世界だという、クルーグマン氏のキャッチーな言葉に沿って、なるべくイメージしやすく語っていきます。 ※なお、直接的に「ビットコインを買え、売れ」などと誘導する意図はありません。また、いかなる損失にも責任を負いません。投資は自己責任でお願いします。
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しろうと @sirouto

さて、ここまで簡単にまとめると、「クルーグマン VS リバタリアン」、「法定通貨 VS 仮想通貨」「王様(中銀総裁)の世界 VS マッドマックスの世界」という見取り図だ。

2021-05-13 22:36:26
しろうと @sirouto

そして、私自身もクルーグマン寄りの立場に立っている。それはなぜか? 後半では、私の意見も少しずつ出していきたい。

2021-05-13 22:41:33
しろうと @sirouto

後半からは、「ビットコイン」という軸にくわえて、「インフレ」という、もうひとつの軸を交差させて論じてみたい。

2021-05-13 22:42:29
しろうと @sirouto

なぜ、CNN(キャスター)は、クルーグマンにビットコインの話を聞いたのか、といえば「インフレ対策」の手段としてだろう。

2021-05-13 22:43:22
しろうと @sirouto

つまり、「インフレ→対策→ビットコイン」というつながりがあって、ビットコインの話が出てきた訳だ。

2021-05-13 22:44:03
しろうと @sirouto

では、「インフレ対策にビットコイン」というのはどうか? 結論から言うと、「不適切」だと私は考えている。

2021-05-13 22:45:39
しろうと @sirouto

それは何よりまず、単純に価格変動が大きすぎるから。冒頭で見たように、イーロンマスクのテスラ砲で、たった二時間で一割という急激な暴落が今朝に起きた。

2021-05-13 22:47:33
しろうと @sirouto

年何%のインフレリスクをヘッジするために、「1時間5%」の暴落が起きるビットコインを保持しておくのでは、リスクヘッジとして、とても釣り合わない。

2021-05-13 22:49:44
しろうと @sirouto

しかし、「リバタリアン」とか「マッドマックス」という言葉がクルーグマンから出てくるのには、もう少し政治的含意があるとも、私は感じている。

2021-05-13 22:52:22
しろうと @sirouto

これは少し分かりにくいので、反実仮想になるが、「もし、日本の通貨が、日本円のかわりにビットコインになったら」という状況を想定してみよう。

2021-05-13 22:57:31
しろうと @sirouto

もし、ビットコインが日本円に取って代わると、それは日銀が通貨発行権を奪われた状態ということでもある。すると、何が起きるか?

2021-05-13 22:59:03
しろうと @sirouto

それは、「リフレ」や「MMT」などの「反緊縮」的な手法が通用しない、ということでもある。

2021-05-13 23:00:01
しろうと @sirouto

「自国通貨建てなら破綻しない」といった、理屈も一切通用しなくなる。ビットコインは「自国通貨」ではないのだから。

2021-05-13 23:01:47
しろうと @sirouto

……ということは、ビットコインが日本円に取って代わると、反緊縮的な政策を無効化するので、普通に均衡財政、緊縮財政の対応しか取れなくなる。

2021-05-13 23:05:03
しろうと @sirouto

すると当然、福祉から切り捨てられる弱者も出てくるだろう。クルーグマンから出てきた「リバタリアン」「マッドマックス」という言葉には、そういう意味も個人的に読み取れた。

2021-05-13 23:06:46
しろうと @sirouto

注意しておきたいが、私が今まで批判してきたのは、「無税国家」とか「フリーランチ」を求めるようなタイプの反緊縮政策だ。

2021-05-13 23:08:26
しろうと @sirouto

「無から有は生まれない」し、「フリーランチはない」から、「無税国家」も「負担なき財政再建」も当然成立しない。

2021-05-13 23:09:22
しろうと @sirouto

が、以前から言っているが、シムズ教授の言うように、「インフレ税」という負担を隠さないのなら、インフレ税で国債を返す手段もアリかもしれない、とは私も思う。

2021-05-13 23:11:06
しろうと @sirouto

どうして、「インフレ税」が有効かというと、経済のグローバル化に伴い、「タックスヘイブン」に逃げたりして、富裕層が課税逃避するからだ。

2021-05-13 23:14:50
しろうと @sirouto

また、政治家へ献金している、大企業への課税も難しい。よく「消費税より法人税を上げろ」というが、現実の政治プロセスからすると、言うほど簡単に実行できない。

2021-05-13 23:16:30
しろうと @sirouto

対して、日本銀行は政府機関ではなく、「日銀の独立性」があるので、インフレにするのは、国会を通さなくても、(理論的には)実現可能だ。税制とは経路が違う。

2021-05-13 23:18:44
しろうと @sirouto

また、通貨を所有しているだけで、インフレ下では自動的に資産が目減りするから、申告するタイプの税金と違って、「課税逃れ」もできない。

2021-05-13 23:20:26
しろうと @sirouto

さらに、ストック資産に課税できるのが、インフレ税の優れている点だ。理論的には、「資産課税」すれば同じだが、やはり政治的に実現が難しい。現にできてない。

2021-05-13 23:22:28
しろうと @sirouto

ストック資産に課税できるのが、なぜ良いかといえば、10万円給付金(が貯金に回ったという麻生大臣の発言)のことを思いだせばいい。日本の長期停滞の一因に、資金の滞留があるからだ。

2021-05-13 23:24:22
しろうと @sirouto

マイルドインフレを支持する経済学者が多いのも、そういう利点がいろいろあるからだ。

2021-05-13 23:26:39