(おかんまとめ23)朝の三分小説～おかん～(フォッサマグナの同窓会編)

カメックスシ @agodenderu

おかん363 噂が拡がるのは早いもので、長野四天王の木曽なかよしとおかんが互角の戦いを繰り広げ、その衝撃で山が噴火したという噂が拡がっている事を知ったのは塩尻市内のホテルで行われているフォッサマグナの戦士同窓会でだった。 「流石はおかんですな」 「いや、うん、いろいろあったんよ」

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おかん364 訳のわからない噂が勝手に拡がっているのは問題なのだが、まず自分がどうしてフォッサマグナの戦士同窓会に呼ばれているのかがわからない。 定期的に会報とかグッズが送られて来るから、なんか自分がフォッサマグナの戦士だと勝手に思ってたけど別に入った覚えはない。

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おかん365 フォッサマグナの戦士をよくわかっていなかったが、今更なんか聞きづらい空気があった。 それにしても年齢も性別もいろいろいる集まりだ。 「おかんの様な強い戦士がいたら、もしスーパーしがが現れても心強いな」 などと言い出す戦士がいて、スーパーしがが現れないことを願った。

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おかん366 「本日の余興は巨大人食いロブスター対料理長の村上です」 司会のアナウンスとともにステージの下からは巨大人食いロブスターと料理長の村上が出現。 二人は精神世界で語り合い、和解した。 「曲者がァッー」 突然叫び出したフォッサマグナの戦士の一人が司会を刀で斬りつけた。

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おかん367 斬られた司会の姿が変化していき、その姿はまさに 「スーパーしが！？」 「ひどいですねぇ、いきなり斬りつけるなんて」 スーパーしがが突然現れたので場の空気は一気に凍りついてしまった。 「安心してください。今日は殺しにきたのではなく、ホテルでバイトしているだけですよ」

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おかん368 「なにっあのスーパーしががバイトだって」 「実はこのホテルのオーナーと知り合いなのですが、あのフォッサマグナの戦士が団体で来ると聞いて従業員が全員有給を出したそうで。つまり今日は従業員が私一人なんですよ」 「おいおいこれはスーパーしがを討ち取るチャンスだぜ」

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おかん369 発言した戦士は窓を突き破って投げ飛ばされた。それも味方にである。 「無粋な真似はこの千年無職(ミレニアムニート)が許さん」 千年無職はフォッサマグナの戦士達の重鎮。今のフォッサマグナの戦士は彼無くしては成り立たないだろう。 「せいぜい過労死に気を付けるんだな」

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おかん370 千年無職の粋なはからいで同窓会は穏やかに過ぎていった。これにはおかんも感謝している。 さてフォッサマグナの戦士にはならず者も混ざっているらしく、警察の機動隊がホテルを包囲していた。 「誰だよ警察に通報されたやつ」 「お前じゃないのか」 戦士達は互いに疑い合った。

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おかん371 この日、長野県警の大原正信(54)は張り切っていた。 あの厄介なフォッサマグナの戦士達が大集結するという噂を聞き、とりあえず機動隊で包囲した。その数およそ千人。対するフォッサマグナの戦士達は百人。そして、スーパーしがが一人。 「さあ今日はどんな罪状にしてやろうかな」

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おかん372 「じゃああいつらフォッサマグナの戦士は全員振り込め詐欺で無期懲役か死刑って事にしとくか。じゃああれやって」 大原の指示でホテルにアームストロング砲五台の砲門が向けられた。 「おやおや、私は平気ですがホテルがただではすみませんね」 スーパーしがが困ったように言った。

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おかん373 この場合、ホテルを守ろうと巨大バリアを張って無防備なスーパーしがを倒すのが基本戦略。誰もがそう考えるだろう。 しかし、実際はスーパーしががホテルだけを瞬間移動させてしまった。不意を突かれたフォッサマグナの戦士達は自力でガード出来たり出来なかったりする羽目になった。

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おかん374 アームストロング砲で弱りきったフォッサマグナの戦士目掛けて機動隊が突撃。乱闘タイムが始まった。 「やっぱり同窓会と言えば乱闘だなぁ」 おかんも乱闘に参加したのだが 「ちょっと男子やめてよ」 と男子を捻り潰すゴリラみたいな女がいた。 「書記長」 彼女はそう呼ばれた。

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おかん375 書記長の暴走に破壊されていく男子達は逃げ惑うばかり 「誰か書記長を止めてくれ、大原さん～」 「大原さんはさっき捻り潰されてたぞ」 混乱しきった男達はついにおかんに救いを求めた 「なあおかんって長野四天王レベルで強いんだろ。なんとかしてくれよ」 「えぇ……」

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おかん376 「ちょっとおかんさんまで男子とふざけてるんですか。許さん！！」 書記長が地面を踏みつけると大地が割れ溶岩が吹き出した。 「ふざけてないよ。ほら一緒に溶岩でフライドポテト作ろ」 「うん……」 なんとか機嫌を直してくれた。 溶岩で作ったフライドポテトは塩尻名物となった。

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おかん377 千年無職はおかんの対応力に感心していた。武力はなくともこういう人間がフォッサマグナの戦士を率いるべき無職ではないかと思っている。 同窓会はフライドポテトに親しむ会になったが無事に終了した。 それから、後片付けをしているおかんの前にスーパーしがが現れた。

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おかん378 「スーパーしがめ、何しに来やがった」 おかんは小麦粉を撒いて威嚇した。 「実はおかんさんが長野四天王の木曽なかよしを燃えながらうさぎ跳びでタックルして倒したって噂を耳にしましてね」 「どこでそんな話してるんだよ」 「でも相変わらずな様で安心しましたよ」 「はあ……」

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おかん379 「今回は客と従業員ですが、次に合った時は宿敵同士。滅ぼしますよ、ハハハハ」 と笑いながらスーパーしがは姿を消した。おかんはこっそりパトカーを盗んだ。 同じ頃、ビーナスラインに突然現れたホテルが三日ほど放置される事件が起きていた。 「フォッサマグナの同窓会編」完