7日前

「人件費を抑える」のがよいこととされたのはいつから?

人件費を抑えることは経営の基本とされているが、それはいつからのことだろうか。
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shinshinohara @ShinShinohara

社会学か経済学の博士論文にしたら面白そうなテーマを一つ。「人件費を抑える」というフレーズが、経営上のメリットあることとして前向きな意味で使われだしたのはいつ頃?誰かこれ、調べてほしい。

2021-06-10 18:38:07
shinshinohara @ShinShinohara

私の子どもの頃は、「人件費を抑える」なんて言ったら、従業員を苦しめるひどい経営者として世間から叩かれていたと思う。特に昭和が終わるまではどこも社員のクビ切りには非常に慎重というか、ほぼその選択肢はなかった。倒産するまでは、私財をすべてなげうってでも雇用を守るのが当然だった。

2021-06-10 18:41:24
shinshinohara @ShinShinohara

少し空気が変わりだしたのは、ソ連崩壊、ベルリンの壁崩壊などに象徴される共産圏の崩壊。資本主義の勝利なんて言われた。しかもそのとき主流だったのが、サッチャーやレーガンなどが進める新自由主義的な経済学。競争原理をやかましく言うようになり始めた。

2021-06-10 18:44:17
shinshinohara @ShinShinohara

それでも日本は、雇用を徹底して守る姿勢が続けられた。けれど、バブルがはじけた後、日本はなかなか経済的に浮上しない。そんな中で阪神大震災が起こり、沈鬱ムードに。やがて、山一証券が97年に破綻し、ここから金融機関がガタガタになり始めた。いわゆる不良債権問題が顕在化。

2021-06-10 18:47:11
shinshinohara @ShinShinohara

不良債権とBIS規制のせいで、銀行は企業にお金が出せなくなった。戦後日本の強みは、銀行からの大潤沢な融資があったからなのに、前川レポートとかに従って銀行(間接金融)から株式市場(直接金融)にシフトしようとして、その強みが失われた。資金不足に陥った企業は、内部留保するように。

2021-06-10 18:50:18
shinshinohara @ShinShinohara

金融の機能不全が、とうとう、世界最強だったはずの日本のものづくりの体力を奪い始めた。 日産がガタガタになり、ゴーン氏が社長に。大規模なリストラを開始し、これが「人件費を抑える」ことを、経営的に「よいこと」とするきっかけになったように記憶する。どこもかしこもリストラ開始。

2021-06-10 18:53:51
shinshinohara @ShinShinohara

リストラすれば人件費を圧縮できる。人手が足りなくなっても派遣社員や非常勤で埋め合わせ、正規社員をなるべく抱えない経営が「筋肉質の経営」としてたたえられるようになった。この頃から、「人件費を抑える」は、経営として当然目指すべき方向性として日本で根づくことになった。

2021-06-10 18:55:41
shinshinohara @ShinShinohara

けれど、人件費を抑えるということを日本全体で行えば、日本人全体の給料が下がるということ。それは消費全体を小さくすることにつながる。なんとか消費者の財布をこじ開けようと、商品の値下げをする。値下げ分のコスト圧縮は、やはり「人件費を抑える」ことに。デフレ経済の完成。

2021-06-10 18:58:03
shinshinohara @ShinShinohara

私は、直接金融から間接金融にもう一度軸足を戻すのもアリなのではないかと思う。戦後日本の経済がムチャクチャ強かった理由の一つは、当時の大蔵省が、銀行に潤沢な資金が行き渡るようにしていたこと。自己資本比率がそのため、ムチャクチャ低かったけど。そのおかげで、製造業に資金が潤沢に。

2021-06-10 19:00:33
shinshinohara @ShinShinohara

まあ、当時でも、中小企業には、「晴れている時に傘を貸し、雨が降ったら傘を取り上げる」と言われていたので、中小企業への対応は昭和よりも改善して頂きたいが、直接金融は今でも中小企業にはほぼ無関係なので、間接金融の充実は一つの方法だと思う。

2021-06-10 19:02:55
shinshinohara @ShinShinohara

それには、BIS規制を見直すことを国際的に提言するのもアリかもしれない。今の時代、ビットコインやクラウドファンディングなどの新しい金融ツールが出てはきているけれど、会社の目利きをし、お金を貸すという機能は今でも銀行の力が大きい。

2021-06-10 19:05:53
shinshinohara @ShinShinohara

資金面の不安を小さくした上で、企業には、雇用を守る原則を再度強めていってもらう。「人件費を抑える」のは格好悪く、「人件費をなるべく厚めにする」企業こそが格好いい、という空気を社会に広めていく。

2021-06-10 19:07:39
shinshinohara @ShinShinohara

会社の主力を派遣社員など、「人件費を抑える」形に置き換えながら、経営者が莫大な資産を築くというのは、要するに多くの人々を搾取して自分が肥え太っているのであり、そんな生き方は格好悪い、という社会的空気を醸成することも大切だろう。

2021-06-10 19:10:00
shinshinohara @ShinShinohara

今のところ、経営者の集まりでは、いかに「人件費を抑える」か、が、当然のテーマとして話し合われる状況が続いている。恐らくこれは、日産にゴーン氏が社長に就き、日本中でリストラの嵐が吹き荒れるようになったから後のことのように思う。

2021-06-10 19:11:40
shinshinohara @ShinShinohara

しかし、「人件費を抑える」という経営指向そのものが、日本をデフレスパイラルに落としている元凶だとすれば、この思考の枠組み(思枠)こそをもう一度ズラす必要があるように思う。 というわけで、誰かこのテーマで博士論文書いて。それで発表して。

2021-06-10 19:13:47

コメント

ちょちょまる @sakuya_little 7日前
人間はコストをかけるほどパフォーマンスが比例して上がっていく生き物ではない。 必ず費用対効果の上限値が存在するんだから、そこに賃金を設定するのが「格好良い経営者」だと思う。 それ以上でもそれ以下でも無いでしょ、継続して利益を出し続けることが仕事なんだから。
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Ukat.U @t_UJ 7日前
面白くもないことにずっとむかしからそう。はるか昔から世界のあらゆるところといって良いくらい幅広くずっと低賃金労働者がいて、むしろ近代以降労働運動とか労働者の権利が出てきました。そんなこと広く知られてるよね。
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Ukat.U @t_UJ 7日前
昭和の終わり頃云々と言っているので40〜50代以上のお年かなと思いますがその頃だって低賃金労働者が苦労してて「自動車絶望工場」とかルポが書かれてる。今までそれが目に入らなかったのは中流以上でかつ社会に関心がなかったってだけですね。
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Hacchi @2mocccck 7日前
不思議なことに、パフォーマンスだけじゃなく賃金が多くても別に満足度上がらないらしいんだよね。少ないとそこで不満につながるらしい。賃金高く設定しても人がなかなか集まらないって話もよく聞くし、人を満足させる待遇を用意するのは言うほど簡単じゃないんだよな。
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個人の感想です @Charlie3_y 7日前
t_UJ ああ、なるほど。蟹工船、女工哀史、野麦峠、とかからですかな。結局バブルの頃が例外的に労働者不足・売り手市場だったんですかねえ。
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蒼ウミガメ @aouiae_mgm 7日前
とりあえず粗探しをひとつ。サッチャーやレーガンの改革期は1970年代から80年代。ソ連崩壊は1990年初頭。一口に「新自由主義」といっても時代によってのニュアンスの差を無視するべきではない。
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優しミウム酸 @SYATOLAVE 7日前
富を得ること自体が奴隷ありきだからしょうがないっちゃあしょうがない。 もう経済学視点で社会を語る時点で全員ゴミ。
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ハンミョウ獣人 @OrmFkkQMQISzCIz 7日前
Charlie3_y バブル時期でも取り残された低所得者層が少なからずいて、そういう人を取り込んで新宗教が拡大していったわけです。
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レイジー先生 @layzy_glp 7日前
ITバブル黎明期の経営者連中が良く言ってた気がする
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ニートその3 @apribi 7日前
今はIT化ってよく言うけど90年代だとまだOA化って言ってたんだよね。オフィスオートメーションだったかな?手作業でやってた仕事がワープロになりワードになり、ノールックで猛烈な速度で電卓叩いてたのがエクセルになりどんどん人が要らなくなっていった。その流れに抵抗しまくってたのが厚労省の年金の連中で問題になったの数年前だよねたしか
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haduki @hadukikai 7日前
「賃金が多くしても満足度上がらない」は良く経営の話で出てくるけど、正確には「賃金の上昇による従業員の満足度はあるところで頭打ちになる」が正しい。従業員のパフォーマンスを上げたかったら、先ずある程度のところまで賃金を出した上で、成長とか社会貢献、やりがいといった精神面のケアが必要。しかし、未だに勘違いした経営者が経営コンサル()が極限まで賃金を削ってやりがいなどを精神論で唱えて奴隷奉公させようとする愚行が繰り返される。
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haduki @hadukikai 7日前
人件費抑制=経営改善/高収益化が金科玉条となったのは、恐らくリストラと成果報酬が流行語になった2000年の手前あたり。この頃の経済関係の雑誌はそのテーマの記事だらけ。さらに2005年頃から「人件費を抑えて利益率をアップします」しか能が無い経営コンサル()がやたら増えてそれに飛びつく経営者が相次いだ印象。
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もんべなー @mombenar 7日前
戦後から高度成長期は、焼け跡からの復興という経済の指数関数的な拡大が大前提だったから、「年功序列」「終身雇用」が成り立ったけれど、安定成長に切り替わった時点でそんなの夢物語、そこで給料青天井のスーパービジネスマンと一生初任給の働かないおじさん社会に切り替えるべきだったが、「出る杭は打たれる」思想で前者が出なかったため、皆で不幸になる道しかなくなった。
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さどはらめぐる @M__Sadohara 7日前
人件費を抑える=リストラする、ではないんだけどね。バカの一つ覚えでそう思い込んでる奴が多い。人件費を抑える=従業員稼働率を100%に近づける、が正しい。残業させても、遊ばせても人件費はかさむ。
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中村ヘボピー @hebop_ 7日前
aouiae_mgm サッチャーは90年、レーガンは89年までやってて、ソ連の崩壊が91年ですから、感覚的には地続きなイメージがあるんでしょうね。
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さどはらめぐる @M__Sadohara 7日前
仕事をコストをかけずに回すには3つの"ならす"を意識すること。新人の間は"アラートを鳴らす"。仕事の容量も要領もわからない、誰に聞けばいいのかわからない。そういう時でも"今自分の仕事が滞っている"というアラートなら誰でも出せる
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さどはらめぐる @M__Sadohara 7日前
仕事に慣れたら"相手を成功体験に慣らす"。こうすれば上手くいきますよ、と繰り返し相手に成功体験を刷り込んでしまえば、交渉コストは劇的にさがる。交渉コストがかさむときは、決まって相手が失敗したくないと頑なになっている時だから
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さどはらめぐる @M__Sadohara 7日前
最後に、部門1つ任されるようになったら、"仕事を均す"。仕事の要領も容量も理解したら、後は自分だけでなく、後工程の、人のことも意識して、滞りなく仕事が、進むように納期や仕事の順番の入れ替えを絶えず行う。ここまでやって初めて一人前の仕事になる
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hizen31415 @hizen31415 7日前
大航海時代の奴隷貿易とかを考えると、ここ数十年の話じゃないな。 なにせ行きは速く行くために奴隷の漕ぎてをたくさん積んで、帰りは荷物を多く積むために奴隷を捨てて()帰ってたぐらいだから。
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UKB0927 @ukb0927 7日前
①バブル崩壊等の不景気が起こる ②企業が窮余の策として給料引き下げや希望退職を実施する ③世論は「(こんな状況だから緊急避難策としては)仕方ない」と好意的に受け止める ④企業側は世論からの批判が少なかったことを「こういったやり方も(恒久的に)正当な手法として受け入れられた」と勘違いした という流れだと思う。
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nishi811 @nishi811 7日前
のっけから、 『私の子どもの頃は、「人件費を抑える」なんて言ったら、従業員を苦しめるひどい経営者として世間から叩かれていたと思う。』 ということは、当時から、『人件費を抑える』事を是とする発想を持っていた経営者が沢山居たという事よね。 読書感想文みたいなまとめやな。
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みま @mimarisu 7日前
今はむしろ外資系のほうが生涯雇用してる気がする。大金だして求人活動して数ヶ月研修したのに入って数年で大半が辞めてたらその分人件費が嵩むだけから一度入ったらよほど使えない奴でない限り育てて昇給や福利厚生を出して離職を防ぎつつ求人活動や研修にかかる費用を減らしたほうが人件費を抑えられる。
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四式戦闘機 @ki84type4 7日前
この人の言ってる事には疑問点が多すぎるけど、人件費抑制を「リストラ」「合理化」と言い換えて手を着けない企業は時代遅れで滅びるべきみたいな風潮になった時期と理由ははっきりしてると思う。1990年代初頭からのことで、旗振り役は日経だ。
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