「犬が6本足ならば、犬の足は5本以上」は論理的に正しい

僕の個人的な論理感覚についてまとめたものです。 ツイッター上での議論の参考材料としてお役に立てたら嬉しいです。 本まとめの第二弾として、下記のまとめも作成しました。 続きを読む
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本件についてrakue_katsuhiroさんから指摘されたことが重要そうなので最初にまとめておきます。

論理には「形式論理」と「意味論理」の2種類があり、それぞれ下記のような特徴がある。

【形式論理(記号論理)】
・推論方法 - 演繹、論理演算
・目的 - 前提から結論を導く手続きが正しいかどうかを問う
・正しい場合の表現 - 妥当である
・高校までの学校で学習するか - する(高校数学A 集合と論理 http://goo.gl/wTYu
・単に「論理」と言った時 - 必ず含まれる。狭義の「論理」。

【意味論理】
・推論方法 - 帰納、意味解釈
・目的 - 前提が正しいかどうかを問う
・正しい場合の表現 - 健全である
・高校までの学校で学習するか - しない(ですよね?間違ってたらご指摘ください。)
・単に「論理」と言った時 - 含まれないことがある。形式論理と合わせて広義の「論理」。

※rakue_katsuhiroさんから「正しい場合の表現」が不正確であるという指摘を受けました。箇条書きにはしにくかったので、まとめ後半のrakue_katsuhiroさんの指摘ツイートを参照ください。
また、この点に関してのコメント欄でのsennkyoushiさんの指摘も興味深いです。ご参照ください。

形式論理/意味論理という用語の対比はまだ日本でメジャーではないようです。
したがって将来、一般的に広まる時には訳語が違っているかもしれませんね。
しかし、妥当/健全という対比はwikipediaにもあるので、こちらは一般的に使用しても良さそうな用語だと思います。(aki7itoさんに教えていただきました)

【wikipediaリンク】
・妥当性
http://ja.wikipedia.org/wiki/妥当性
・健全性
http://ja.wikipedia.org/wiki/健全性
・論証(「妥当性」「妥当性、健全性、効果」項目参照)
http://ja.wikipedia.org/wiki/論証

僕は本まとめの連続ツイート文章は狭義の論理(=形式論理)という意味で「論理」という言葉を使用しています。
まだ読んでいない方はその点ご注意してお読みください。

ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

今から【「犬が6本足ならば、犬の足は5本以上」は論理的に正しい】という内容で連続ツイートします。合計26ツイートあります。後でtogetterにまとめるので、ご意見ご感想はコメント欄にお寄せ下さい。

2011-08-14 17:10:57
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

1)ツィッター上での議論で「その主張は論理的でない」という批判がなされる事がある。これは「主張が正当かどうかは論理的かどうかで決まる」という思いから生まれているのだろうが、僕はこれに同意できない。

2011-08-14 17:11:10
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

2)論理的には正しいが現実的には間違っていることはある。「犬が6本足であるならば、犬の足は5本以上である」は論理的には正しいが、現実的には間違っている。

2011-08-14 17:11:21
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

3)論理的(演繹的、記号論理的)考察を行う際は、全ての前提知識や主観を忘れるべきだと思う。なぜなら、論理は人の意識や前提知識とは関係なく、文と文の間に生まれるものだからだ。

2011-08-14 17:11:31
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

4)論理的考察をするために、まず犬が動物である事を忘れよう。「犬」という単語はただの記号である、として、何を指す言葉なのか忘れよう。「足」もただの記号だ。身体の一部であるという事を忘れよう。

2011-08-14 17:11:43
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

5)全て忘れた上で「犬の足は6本である」という文を見てみる。この文から分かる事は何だろうか。まず、「犬の足」というものがこの世にあるらしい事が分かる。それは動物の身体の部位かもしれないし、家具の一種かもしれないし、惑星の名前かもしれない。

2011-08-14 17:11:54
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

6)そして、正体不明の「犬の足」は「1本、2本、・・」と数えられるものらしい事が分かる。さらに、その本数は「6」である事が分かる。ここまでの分析を総合して考えると、犬の足は5本以上と言えて当然だ。「犬の足」が動物の身体の部位でも、絵画の名前でも、哲学の概念の名前でも。

2011-08-14 17:12:25
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

7)「犬の足が6本であるならば、犬の足は5本以上である」は論理的には正しいが、現実的には正しくない。なぜなら、犬の足は現実的には4本だからだ。前提が現実世界と合っていないので、この世界では上記主張は間違っている。でも、別の惑星の犬が6本足ならば、そこでは現実的にも正しい。

2011-08-14 17:12:54
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

8)「犬の足が6本であるならば、犬の足は5本以上である」が間違っている事を認めてくれない論理学者がいたと仮定して、僕たちはどうやって彼を説得すればいいだろうか。上記主張は論理的には合っているので、論理の前提となっている「犬の足は6本」を否定するしかない。

2011-08-14 17:13:10
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

9)一つ目の否定方法は、犬を100匹程度論理学者の前に持って行って、「ほらね、全ての犬は4本足でしょ」と言うこと。しかし「世界にはもっと多くの犬がいる!100匹では足りない!」と反論されるかもしれない。その場合は千匹でも1億匹でも彼が納得するまで犬を持っていく必要がある。

2011-08-14 17:13:42
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

10)こういう無限に近い事象を証明しろと求めるのは「悪魔の証明」として嫌われている。人間には有限の時間と有限の資金しかないからだ。しかし、純粋に論理だけの話をするならば、こういう無限事象の証明を思考実験する事はできる。

2011-08-14 17:13:53
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

11)前述したことはWikipedia「ヘンペルのカラス」項目が詳しい。論理学は人間の寿命など関係ないので、純粋に論理学だけの話をするなら「無限事象を調べる」が正解となる。しかし現実世界を分析する時には役に立たない。

2011-08-14 17:14:01
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

12)もう一つの否定方法は生物学者を呼んで「そもそも4本足でないものは犬と呼ばないんです」と言ってもらう方法。「犬」という言葉の定義の中に「4本足の動物」という条件が含まれている事を示す方法。

2011-08-14 17:14:12
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

13)前述した否定方法の前者であれ後者であれ、「犬が6本足ならば、犬の足は5本以上」が論理的に正しい事には変化がない。「論理的に正しい」という事は「前提が正しければ結論も正しい」という事だ。要するに「前提が正しければ」という条件が崩れさえすれば、結論も何の意味もないものとなる。

2011-08-14 17:15:11
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

14)時事問題を論理的に考える上での前提とは何だろうか。世論のアンケート調査、明文化された法律、報道された事実、常識、などがあるだろう。そういうものが信頼できるものであれば、それを元に論理的考察をした結論は正しいだろう。信頼できないものであれば、結論も信頼できないだろう。

2011-08-14 17:15:57
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

15)前提の中で一番扱いにくく、議論の炎上を生みやすいのが「常識」だ。これはその人の環境や主観などで変化するので、常識と常識がぶつかった時にどちらが正当かが判断しにくい。「エスカレータで歩く人のために右を開けておく関東人と左を開けておく関西人どちらが正しいか」に決着は付けにくい。

2011-08-14 17:16:51
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

16)ツィッター上では「主張が論理的かどうか」をよく議論されているが、それだけでは主張の正当性の半分しか語っていない。というか、ツィッター上の皆さんはほとんどもう論理的な考察は会得しているように見える。「論理的考察」の部分に問題がある方をあまり見かけない。

2011-08-14 17:17:01
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

17)そこで提案。ツィッター上で議論する際には「私は・・を常識として話しています」という、論理的考察の前提としてどんな常識を採用していのかを皆さん明記してはどうだろう。双方の論理的考察は正しいのに、前提にズレがあって議論が荒れてしまうケースが多いように思う。それを避けれるのでは。

2011-08-14 17:18:15

↑17)訂正:【誤】どんな常識を採用していのか【正】どんな常識を採用しているのか

ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

18)「何の前提もなく論理的考察だけをして主張しています」という方もいるかもしれない。しかし僕はそれは勘違いだと思う。何の前提もなければ、1+1+1が3である事も確かな事ではない。詳しくは過去にブログ記事に書いた。 http://t.co/qiFO602

2011-08-14 17:18:34
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

19)これはあくまで僕の「論理」感覚を元に、皆さんの議論が円滑に進むための提案をする目的で書いた文章だ。個人的見解なので「一般的には成り立たない!」という反論はやめて頂きたい。一般的に成り立つかどうかは重要ではなく、そういう見方をすると便利っぽいですよと提案しているだけ。

2011-08-14 17:19:19
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

20)さらに予想される反論として、この文章が「詭弁の特徴のガイドライン」 http://t.co/Y2etCsF に適合している詭弁だ、という事がありそう。僕自身は「詭弁の・・」自体を信用できないので良いのだが、検索するとある程度信頼されているドキュメントらしい。

2011-08-14 17:19:49
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

21)「詭弁の・・」の信頼性の検証は後でやってみたいと思うのだが、ぱっと見「この項目に適合しているかどうかは主観で決めつけるしかないじゃん」というのがいくつかある。つまりお互い矛盾してる項目があると思う。僕はWikipedia「詭弁」項目の方が信頼できると思っている。

2011-08-14 17:19:58
ソモソモロン(短歌×論理) @daikeiAZP

22)実はこの文章は「詭弁の特徴のガイドライン」の検証の前段階として用意しているものだ。「論理的に正しいかどうか」と「前提が現実世界と合っているかどうか」を別問題として明確にわけておかないと検証ができなさそうなので。詳しくはまた後日。

2011-08-14 17:20:35