2021.07.18 青天を衝け(23)「篤太夫と最後の将軍」放送後の桐野作人先生による解説ツイート

最新のツイートを追加し更新しました。
5
桐野作人 @kirinosakujin

ドラマでは草彅氏がこれをわかりやすく演説していた。とくに「公議」(公論も同義)の2文字は松平春嶽、山内容堂など公議政体派諸侯はむろん、薩摩藩も悲願としたもので、これまで慶喜から阻止されてきたルールだったから、ドラマでも松平春嶽が感無量だったのである。同じスタートラインに立てたと。

2021-07-19 09:43:54
桐野作人 @kirinosakujin

ドラマでは描かれなかったが、10月13日、二条城で慶喜に謁見して進言した小松帯刀が下城後、大久保一蔵に宛てた書簡で「王政復古の義は十分立ち、じつに意外だった」と感慨を洩らしている。これ以降、小松は慶喜の政権返上が勅許されるよう働くことになる。なぜかといえば、#青天を衝け

2021-07-19 09:43:54
桐野作人 @kirinosakujin

大政奉還はそれを表明するだけでは完結せず、朝廷の勅許が必要だった。昨夜書いたように、会桑勢力のように勅許を阻止して大政奉還を骨抜きにしようとする動きが強かった。そこで慶喜はかつて手を結んだこともある小松を頼りにした。個人的には、大政奉還は慶喜と小松の密約で実現したと考えている。

2021-07-19 09:43:55
桐野作人 @kirinosakujin

小松は当面の武力行使を回避するうえは、交渉で取れるものはすべて獲得するとして、西郷・大久保の支持を得たうえで、慶喜へ協力する条件5カ条を要求した。①政権返上の勅許、②長州寛典を新政府の立ち上げで実現、③雄藩諸侯の召集、④将軍職の返上、⑤五卿の帰京。慶喜はすべて呑んだ。#青天を衝け

2021-07-19 09:43:55
桐野作人 @kirinosakujin

土佐藩の大政奉還建白には、老公容堂に遠慮して、④将軍辞職の一項がなかったが、小松はこれを慶喜に念押しして認めさせている。慶喜とひそかに合意した小松は禁裏御所に乗り込み、王政復古派の公卿とともに二条関白を動かして勅許を得る。しかもその案文に小松は関与した形跡あり。#青天を衝け

2021-07-19 09:43:56
桐野作人 @kirinosakujin

ドラマでは、そうしたプロセスはストーリーが複雑になるから描かれなかったし、この大河には小松の出番はないので省略されたのは残念だが、致し方ない。 なお、王政復古政変での大久保・西郷の辞官納地による慶喜追及は小松が敷いた路線から逸脱しているといえるだろう。#青天を衝け

2021-07-19 09:43:56
桐野作人 @kirinosakujin

小松帯刀は持病の足痛が重症化して国許で療養中で上京できなかった。一方、大久保・西郷にしてみれば、慶喜を新政府に迎え入れると、その門地家柄と無敵の弁舌により、新政府とはいい条、事実上の幕府復活ではないかという危機感があり、真正の王政復古を悲願とする岩倉具視とそれを共有していた。

2021-07-19 09:43:57
桐野作人 @kirinosakujin

そのため、小御所会議の場で慶喜の欠席裁判で一気に慶喜排除を決しようとした。いったんは成功したものの、慶喜擁護派が巻き返しに出て多数派となり、慶喜の京都復帰が決まった。岩倉さえも動揺して慶喜と協調しようとしたほど。 慶喜の新政府復帰、京都復帰は目前だったのだが……。#青天を衝け

2021-07-19 09:43:57