- Apple_Mystery11
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館に監禁されてから、今日でちょうど半月を迎えた。15日目の朝が思ったより爽やかなのは、昨日は誰も偽装死体として発見されず平和だったからだろうか。
2021-07-18 21:04:25昨日は少しでも楽しいことを、とアップルパイを焼いた。少女たちも喜んでくれたし、調査に出ていた探偵3人も食堂に戻って来た時は絶賛してくれた。 部屋にこもっているNo.5や医務室にいるNo.14などにもお裾分けをして……何も起きず、昨日は穏やかに眠れたものだ。
2021-07-18 21:05:46最初の頃、あれほどこちらに煽り散らしてきたデアダームも、相変わらずニコニコはしているが、あまり口出しをして来なくなった。
2021-07-18 21:06:55桃色のカーテンを軽く開け、時計を確認すると午前7時45分。軽く着替えコルセットを身につけてから、相棒の少女を起こした。
2021-07-18 21:08:22優しく起こすと、ローズは目を擦りながら起き上がる。そして、しばらくうつらうつらと船をこいだ後に、眠い目をぱちぱちさせながらミシェルの姿をみとめると、ふにゃりと微笑んだ。
2021-07-18 21:10:36仕方ないといった笑顔で優しく促してきたミシェルに、ローズは小さく頷いた。 ミシェルはベッドから起き上がった彼女を見届けて、着替え終わるまで廊下で待つと言い残して部屋を出た。
2021-07-18 21:11:41そして数十分後、「ばっちり!」と元気に顔を出した彼女の手を引いて、穏やかな気持ちのまま、食堂に向かったのであった。
2021-07-18 21:12:23食堂に向かうと、何やら先に着いていた者達で盛り上がっていた。ミシェルが何をしているのかと聞くと、何人かの少女たちが「プールが」「楽しみ」「礼拝堂の横だって!」などと楽しげに口にする。
2021-07-18 21:13:31「なに?どういうこと?」 「温水プールが出来たんだって。礼拝堂の横に。だからプール開きするって張り切ってるよ」 ミシェルの問いかけに朝食を口にしながらアラスターが答えた。なるほど、3日前にエリザベスがデアダームに言っていたあれか。
2021-07-18 21:14:06「実は礼拝堂の横に室内プールがございまして、であれば使用出来るのではと、準備させて頂きました。水着など必要なものは少し前に皆様にご希望を伺いまして、取り寄せてございますよ」
2021-07-18 21:14:56デアダームがにこやかにそう言うと、少女たちは喜んだ。 一方の探偵たちは、何かあるのではと疑いたくなったが、少女たちの満足出来そうな遊戯の少ない館で、この数少ない娯楽を潰すような真似はしたくないと、誰もが口を噤んだ。
2021-07-18 21:15:46それを聞いたローズも、ミシェルの横で彼に向かってプールで何をしようか、などと嬉しそうにしている。
2021-07-18 21:16:24デアダームが手を叩くと同時に、少女たちは素直に朝食を食べ始めた。 …こういうのも悪くは無いだろう。 罠かどうかはさておき、きちんと見張っていれば大丈夫だと、探偵たちも肩を竦めて苦笑いをしながら朝食の席へと着いた。
2021-07-18 21:17:19午前10時。 お腹も落ち着いた頃、少女たちは用意された水着に着替えるべく更衣室へと向かった。 礼拝堂に行く渡り廊下の途中、右手に新しく簡易通路が作られていた。飛び石で作られたような通路を渡って突き当たりの扉を開くと、そこには一般にあるような少し広めのプールがあった。
2021-07-18 21:18:20プールの左手には高めの飛び込み台もあり、右側の方を見ると更衣室であろう扉がいくつかある。 走り込みそうな少女たちを押さえつつ、探偵たちも着替えようと更衣室へ向かった。
2021-07-18 21:19:19中に入ると、扉のすぐ前に仕切りカーテンがかかっていた。扉を開けても、すぐには中が見えないが、向こう側は窓の光で中の影くらいは見えるようだ。 カーテンを開けると複数のロッカーがあった。鍵は各々が持っているバングルで開閉できるようで、場所も決められていた。
2021-07-18 21:20:00そうして更衣室の中や仕様をひと通り見終わった後、男女それぞれの更衣室で着替えをすませた。
2021-07-18 21:20:56プールは天井が高く、窓が多いためか光が入りやすくなっていた。 軽くストレッチを済ませた後に、水着に着替えた少女たちが我先にとプールに飛び込んでいく音が、プールの中に響き渡る。
2021-07-18 21:21:29