kawaitoshio archive 2019

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川井俊夫 @toshiokawai1122

やはり俺にとって日本人というのは、軽薄でバカで直情的で飽きっぽく身軽で凶暴な猿だがどうにも憎めぬ愛嬌があるってイメージなんだが、それがいつからこんな辛気臭いゾンビ集団と墓場みたいな国土になっちまったんだろうな。だが歴史はどうでもいい。俺やお前が今そうじゃないなら、それでいいんだ。

2019-01-03 01:41:12
川井俊夫 @toshiokawai1122

俺にしては珍しく義妹夫婦を駅まで送りに車を出してきたが、意味わからんくらい大量の人間がいて、昼夜のギャップに驚くわ。理屈や数字ではわかってるつもりでも、実際に目にすると自分の想像力の貧しいことに気付かされる。東京なんてこれの数十倍いるんだろ? 生存不可能領域ちゃうか?

2019-01-03 14:23:48
川井俊夫 @toshiokawai1122

そんで正月休みが長いらしい義妹夫婦はこれから新幹線で東京の旦那の実家にということらしいが、全然席がなく取れたのはグリーン席のみでしかも夫婦バラバラ、重度の身体障害を持った赤ん坊を連れて、席の価格は七万円だぞ。この世の終わりみたいな状況になぜ二人とも平然としてんだよ。

2019-01-03 14:30:36
川井俊夫 @toshiokawai1122

そして人と車の群れから逃れてどこかに車を停めコーヒーでも飲もうと思ったが、どこもかしこもクソほど混沌とした状態でコンビニすら車を停めるスペースはなく、結局一番近くて早いのが自分の店、というわけで真っ暗な店でシャッターを閉めたままコーヒーを飲んでいる。正月ずっとこのパターンやんけ。

2019-01-03 14:43:37
川井俊夫 @toshiokawai1122

こっちは一人でやってる自営業だからというよりも、客という相手がそもそも存在しない営業形態だからだと思うが、休日という概念が希薄なので、店は大抵目覚めたときの気分次第の不定休、逆に相談や依頼の電話があれば、いつでもどこでも見に行くよ、という感じだから正月もクソもないのは当たり前だ。

2019-01-03 14:53:39
川井俊夫 @toshiokawai1122

店はシャッターさえ閉めておけば静かなもんだ。チクタクチクタク、精工舎の振り子の音。チクタクチクタク、マウテのテンプの音。今日はBGMもなしだから、他には何も聞こえない。クソ寒いのは問題だが喧騒よりはマシだ。一人暗がりで過ごすこの豊かさよ。

2019-01-03 15:13:16
川井俊夫 @toshiokawai1122

世界が自分にとってどのように見えるのか、それは認知や哲学の問題ではなく、詩の問題だ。今日も人間どもは毎分毎秒、休みなく殺し合っている。消費が新たな死人を生み出し、生産が死を強要し、一人の生が複数人の死を要求する。生き残りたければ殺せ。神の言葉より前に天地がそう定めた。

2019-01-03 15:41:53
川井俊夫 @toshiokawai1122

歴史の教訓などない。時は遡らないのだから。真理、本質、ドグマ、決定的なもの。どれも欺瞞だ。死は人間の内にも外にも充満している。群れを成し他者との協調や協力を呼びかけるのは、弱者から搾取するためだ。一人から唯一の生命を奪うのではなく、大勢から少しずつ生命を奪う。賢いやり方だな。

2019-01-03 15:47:01
川井俊夫 @toshiokawai1122

社会や国家がしてきたことはそれだけだ。文明が目指したものもそこだけだ。俺がコーヒーを一口飲むたびに、エチオピアで貧乏な子供が何人も死ぬんだろう? 俺は人殺しだよ。生命以外にもいろいろと盗む。誰かの未来や可能性、希望なんかをな。露悪なんかじゃない。世界の把握は詩の問題なのだから。

2019-01-03 15:53:50
川井俊夫 @toshiokawai1122

自分が人に優しく思いやりのある人間でなくてよかった。それはこの陰気で憂鬱な世界に残された数少ない可能性であり光だ。もちろんそんなやつは全員殺されるか自殺している。自分の生に悲しみと絶望を感じる。だが俺に殺す力があり、盗む力がある限り、俺は生き続けるのだろう。

2019-01-03 16:04:14
川井俊夫 @toshiokawai1122

善悪や正邪を論じるのはそいつらの勝手だ。どうせ逃げ道などないのだから、滑稽だとは思うけどな。俺には関係ない。好きにしてくれ。

2019-01-03 16:08:43
川井俊夫 @toshiokawai1122

俺みたいな万年引きこもり野郎にとって、休日というのは多い少ないの問題ではなく、休みたいときに休めりゃそれでいいんだよな。毎日なんもせずにボサッとしてるようでもあり、24時間365日ひたすら能力の2%くらいを使ってマイニングし続けてる半導体みたいなもんでもある。

2019-01-04 20:45:25
川井俊夫 @toshiokawai1122

この年末年始で本当に仕事を一切せず、一歩も家から出なかったのは一日だけだ。一日かけてジャックを一本飲み、ドイツの小説を二冊、イギリスの連続ドラマを1シーズン観た。それだけだ。あとはずっと寝ているか、何か考えているか、調べているかしていた。

2019-01-04 21:00:46
川井俊夫 @toshiokawai1122

そして今日からは通常営業だな。といってもひたすらに“漉し取る”作業をするだけだ。何千枚もあった紙屑が数百枚になり、百数十枚になり、最後は数十枚、下手すると数枚になるまで延々と内容を精査し、データベースで照会し、ネット上に散らばる記憶の断片、自分自身の閃きによって選り分けていく。

2019-01-04 21:12:13
川井俊夫 @toshiokawai1122

最後に残った数枚の古ぼけた紙屑の上澄みが数十万や百万で売れてくれたらいいが、そうじゃなかった場合は? やり直すんだよ。また最初からやり直す。濾し器の種類や網の目の細かさを変えてな。正気の沙汰とは思えないだろうが、最悪2、3ヶ月かかってもいいんだ。ちゃんと当たりを見つけられるならな。

2019-01-04 21:18:16
川井俊夫 @toshiokawai1122

一ヶ月かかって、やっと一枚の葉書や観光パンフ、満州や台湾の地図に辿り着くということもある。戦前の印刷物の場合、19世紀以前の古文書なんかとは違い、ある程度価値のあるものがまとまって大量に出るというのは稀だ。上澄み以外は完全にゴミである場合が多い。だから繰り返す。何度も何度も。

2019-01-04 21:23:18
川井俊夫 @toshiokawai1122

いつも言ってるじゃないか。だから道具屋ってのはもの識りなんだ。結論や答えのない、単なる情景の断片を、元の持ち主の意思を器に、大量に保管している。情報には連続性がないから学者みたいなものの憶え方はしない。体系や因果関係の代わりに、過去の人間の人格で情報を分類し、保存する。

2019-01-04 21:32:20
川井俊夫 @toshiokawai1122

俺はこのやり方が好きで古い紙のもの全般を中心に扱う。器物はオマケみたいなものだ。芸術家の作品や古い工芸品に精査や調査は必要ない。見りゃわかる。もちろん工芸品や陶磁器一つにも情報は大量に含まれる。単純に体積あたりの情報量の問題で、紙は異常に時間がかかるってだけだ。

2019-01-04 21:39:08
川井俊夫 @toshiokawai1122

そして実際の買取り依頼は器物の方が圧倒的に多い。だから店や倉庫がすぐにゴミ溜めみたいになる。紙だけ買ってりゃ四畳半で一生商売できるだろう。溜まる一方の器物には心底ウンザリする。道具ってのは使い道が決まっているからな。たとえば楽器は楽器屋で売り買いするのが道理だろう?

2019-01-04 21:51:13
川井俊夫 @toshiokawai1122

古道具屋から楽器を買うやつなんているか? 普通は楽器が欲しけりゃ楽器屋に買いにいく。だがバイオリンやら三線やらギターやら持込みにはキリがない。これはカメラでも茶道具でも刃物でも同じだ。道具の専門性は無視され、全て古道具屋に放り込まれる。俺は商社マンじゃねえんだぞ。

2019-01-04 21:56:51
川井俊夫 @toshiokawai1122

さてと、今夜は大気が濁って夜空も低い。遠出する気にはならんが、近場はどうも人気や車が多い。新月の夜は海がいい。魚釣りには向いていないが、迫り上がる暗い海面とその境界の向こう側、則ち完全な暗闇に支配された海底を想像することに意味がある。

2019-01-04 23:04:43
川井俊夫 @toshiokawai1122

それは儀式のようなものだ。西宮や芦屋のクソみたいに濁った海でも問題ない。自分の役割や目的や明日や十年後に存在するかも知れない可能性を考えることは虚しい。だが、あの暗い海を見ろ。その底の真の暗闇を見ろ。そこで蠢く魚や虫や得体の知れない小さな存在を見てみろよ。時空の境界とはなんだ?

2019-01-04 23:11:02
川井俊夫 @toshiokawai1122

こいつは一大事だ。俺たちはただ飯を食って糞をひねり出している限り、常に空間に境界を見て、時間に連続を見る。だが夜の海は本当の世界はそうじゃないことを教えてくれる。構造は幻想だ。知覚は常に嘘や欺瞞に攻撃されている。クソ野郎のおっ建てたクソ塔やクソ壁のせいでな。

2019-01-04 23:20:54
川井俊夫 @toshiokawai1122

振り返ると埋立地に建てられた集合住宅と建売住宅の群れが光って見える。クソみたいに邪悪な悪意を感じる。あれを作ったのは、お前らの初恋の相手であり、節くれだった優しく力強い手の持ち主だった父や祖父であり、生き残るために垂れ流されたお前自身の意思だ。気が遠くなるほど厄介なやつだ。

2019-01-04 23:33:19
川井俊夫 @toshiokawai1122

そうだな…殺しきれなかった自分や誰かの自己顕示欲が、ぞろぞろと、忌まわしく奇怪で怖気のするような音を立てながら這い回り、飛び回り、いつか誰のものともわからぬ塔になる。遠目にもぬるぬると不愉快な質感がわかる。だが誰も正視できない。その邪悪な砦の中でなにが起きているんだ?

2019-01-04 23:42:59
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