fMRIデータ解析:DCMとGCAの差異の直感的な説明

fMRI effective connectivityの双璧を成すDCM (dynamic causal modeling)とGCA (Granger causality analysis)。この二者はどういうコンセプトから成り、どのように異なるのか。DCMが依拠するバネ・マス・ダンパ力学系を題材に、厳密性を度外視して分かりやすく論じてみた。
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@vikingjpn

バネ・マス・ダンパ系の話をしていたら、昨日やってきたセミナーの内容をさらに洗練させるベストの説明が思い浮かんだ。ということで、慌ててPPTに追記した。秋のセミナーでは良いトークができそう。

2011-08-18 01:53:20
@vikingjpn

今後は、同じ質問をされたらこの説明を使おう。絶対に納得してもらえると思う(数学的な厳密性は欠くけれども)。

2011-08-18 01:56:36
@vikingjpn

直感的な(数学的な厳密性は欠くが)DCMとGCAの差異の説明その1:バネ・マス・ダンパ系を想定する。重りがいくつかあって、それらをバネとダンパが繋ぎ合わせている。重りの位置と速度は直接観測できる。今興味があるのはバネとダンパの状況。

2011-08-18 10:41:11
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その2:DCMではバネとダンパの「数」と「繋ぎ方」は既知として、バネの弾性係数&ダンパの抵抗係数という未知量を求める。重りを強制的に動かしてやれば(=入力)、その後の重りの運動軌道からバネ・ダンパの未知パラメータ群を推定できる。

2011-08-18 10:46:31
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その3:当然ながら、DCMではバネやダンパの数なり繋ぎ方なりが未知という状況では使えない。定式化された入力なしでも機能しない。あくまでも入力に対する応答からバネ・ダンパの弾性&抵抗係数の大小を推定する、というのが本義。

2011-08-18 10:52:08
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その4:一方GCAは同じ系でも、既知なのは重りの数だけ。どの重りの間にどんなパラメータを持つバネorダンパが繋がっているかは未知。その未知量全てを、異なる重り同士の運動軌道の関係性から推定する。互いの関係性のみ分かれば良いので、入力は不要。

2011-08-18 10:59:24
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その5:ただしGCAではバネとダンパが線型に振る舞うという前提が必要。というかさもなくば不定解になって解けない。なので、もしバネ・ダンパ応答が非線型な場合は、「部分的に線型に振る舞う」データだけを選択的に抜き出して推定するしかない。

2011-08-18 11:03:53
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その6:しかしながら、GCAはバネ・ダンパのパラメータ群のみならずその有無まで含めて純粋に重り同士の運動軌道の関係性のみから推定できる。また定式化された入力も必須ではない。バネ・ダンパの有無すら分からない状況では威力を発揮する。

2011-08-18 11:06:38
@vikingjpn

直感的なDCMとGCAの差異の説明その7:以上、バネ・マス・ダンパ系を「重り=ROI」「重りの運動軌道=BOLD信号」「バネ・ダンパ=connectivity」「バネ・ダンパの各種係数=causal index」と置き換えれば、fMRIの話になる。厳密には方向性の話も必要だが。

2011-08-18 11:13:38
@vikingjpn

一連の「直感的なDCMとGCAの差異の説明」ツイート、うっかりすると日本全体で見てもこれを必要としている人は両手両足の指で数えられる程度しかいないかもしれない。笑 でも大事なことなので、文章にしてまとめてみた次第。

2011-08-18 11:21:31