#今日の構造式 1(1-100)

佐藤健太郎先生による #今日の構造式 をまとめましたが、たくさんあるので100ずつに分けることにしました。 こちらでは1-100までをまとめました。
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佐藤健太郎 @KentaroSato

水素、炭素、窒素というありふれた3元素が結びつくと猛毒になるわけですから、実に不思議なことではありますね。 twitter.com/okachan_farm/s…

2021-02-16 00:26:47
依水 @sea85419

@KentaroSato そう考えるとちょっとしたきっかけで猛毒ができてしまい、猛毒がそこら中にあることになってしまう気がしてしまいますが、そうなっていないのがこの見た目がシンプルな構造にもかかわらず、自然には生成されない理由があるのでしょうか

2021-02-16 13:27:13
佐藤健太郎 @KentaroSato

@sea85419 シアン化物が生成しても、金属イオンに結合したり他の物質と反応したりで、長期間存在できず環境に蓄積しないことがありそうです。

2021-02-16 14:51:24
佐藤健太郎 @KentaroSato

シアン化物イオン(CN⁻)は、金属元素と結びついて錯体を作りやすい性質を持ちます。例えば化学反応しにくい金も、CN⁻とは結びついて錯体を作り、溶けやすくなります。この性質は精錬やメッキに利用されるなど、金属工業において重要です。しかし一方で、人体に入ると毒性のもとにもなります。

2021-02-15 23:23:58
佐藤健太郎 @KentaroSato

体内では鉄や銅などのイオンが存在し、物質の代謝や呼吸に関わっています。CN⁻は体内のこれら金属イオンに結びつき、正常な働きを妨げてしまうのです。前述のように工業的に広く使われるので比較的入手しやすく、国内外で多くの事件に関わってきました。「歴史を変えた毒」の一つといえるでしょう。

2021-02-15 23:24:14
塩タタキ @SaltySeared

@KentaroSato FF外失礼します。毒性はCN⁻イオンによるということですが、一方でHCNにならないと毒性が出ない(ラスプーチンが無酸症だったので青酸カリが効かなかったとか、「ミステリーを科学したら」(由良三郎)にも同様の記述があります)という話もあるようでどちらが正しいんでしょうか?

2021-02-17 06:40:44
佐藤健太郎 @KentaroSato

@SaltySeared 青酸カリなどは、胃の酸性条件下でいったん青酸ガスになり、肺から吸収されて初めて効果を表すということのようです。吸収後、再度水素イオンが外れてシアン化物イオンが再生し、シトクロムの鉄原子に結合するということでしょう。

2021-02-17 10:27:26
塩タタキ @SaltySeared

@KentaroSato なるほど。ありがとうございました。

2021-02-17 12:11:50
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 98 一酸化炭素(CO)。腕が4本の炭素と2本の酸素が結びつくので、腕は余るはずです。正確には共鳴構造というもので表すべきなのですが、図で示した三重結合の構造が一番近い形と考えられます。酸素不足状態で炭素化合物が燃えた際に発生し、しばしば中毒事故の原因となります。 pic.twitter.com/EdlNAd6TSD

2021-02-16 23:36:13
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佐藤健太郎 @KentaroSato

昨日のシアン化物イオン同様、一酸化炭素も金属元素に強く結びつき、錯体を作ります(図はニッケルに4分子のCOが結びついた錯体)。人間がCOを吸い込むと、血液中のヘモグロビンの鉄原子に対してCOが酸素の数百倍も強く結合するため、酸素運搬を妨害してしまいます。これがCOの毒性の原因です。 pic.twitter.com/XfAKNo7Htu

2021-02-16 23:36:56
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佐藤健太郎 @KentaroSato

かつてCOは都市ガスの成分として使われていましたが、死亡事故が起きたこともあり、現在は使用されません。練炭の不完全燃焼による中毒事故もかつては多く発生していましたが、これも現在は少なくなっています。ただし火災による発生は今も多く、最も身近かつ注意すべき毒物には違いありません。

2021-02-16 23:37:14
佐藤健太郎 @KentaroSato

ちなみにこのニッケルカルボニル錯体というやつは「死の液体」とも呼ばれる恐ろしい毒で、筆者が昔持っていた本には「この化合物のにおいを知っている者はいない。嗅いだものは全員死んでいるからである」という怪談めいた脚注がついておりました。 twitter.com/KentaroSato/st…

2021-02-16 23:51:55
佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 99 以前も紹介した通り、六員環に3本の二重結合が入った分子ベンゼンは、結合を作る電子が均等に行き渡って安定な構造になります。じゃあ四員環に2本の二重結合が入った化合物も同じように安定になるんじゃないか――と思うところですが、そうは問屋が卸さないのが奥の深いところ。 pic.twitter.com/losU2zE7GL

2021-02-17 23:28:35
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佐藤健太郎 @KentaroSato

実際にその分子シクロブタジエンを作ろうと多くの化学者が努力しましたが、試みは全て失敗に終わりました。実は四員環の場合、ベンゼンとは逆に不安定化が起きてしまうことが理論的に確かめられています。ベンゼンを電子のハーモニーに例えるなら、こちらは4つの電子の不協和音でしょうか。 pic.twitter.com/vALOlvAPRl

2021-02-17 23:29:03
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佐藤健太郎 @KentaroSato

シクロブタジエンを何とか作り出しても、すぐに反応して別の分子に変わってしまいます。そこで、反応を防ぐために大きな原子団を取り付けたものの合成は達成されました。しかし、シクロブタジエンそのものの合成は未だ成っていません。単純に見えて難しい、有機化学の聖杯というべき化合物です。 pic.twitter.com/aiZDb78cDz

2021-02-17 23:29:33
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佐藤健太郎 @KentaroSato

#今日の構造式 100 最近は「アズレン」で検索するとゲームの名前ばかり引っかかってくるのですが、こちらは化合物の名前。スペイン語でazul、フランス語でazurは「青」を意味しますが、その名の通りアズレンは濃い青色をしています。これだけ鮮やかな色をした炭化水素は、非常に珍しい存在です。 pic.twitter.com/4j8nRmwxY5

2021-02-18 20:55:09
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佐藤健太郎 @KentaroSato

昨日、4電子を含んだ環は不安定といいましたが、正確には4n個の電子を含んだ環は不安定な反芳香族、4n+2個だと安定な芳香族になります。アズレンは全体が10電子を持つため、安定な化合物です。7員環から5員環へ電子が流れ込み、それぞれ6つずつの電子を持とうとするため、独特の性質を示します。 pic.twitter.com/4DDYa79eKn

2021-02-18 20:55:34
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佐藤健太郎 @KentaroSato

アズレン骨格は天然にも存在し、例えばルリハツタケという青いキノコの色はアズレンに由来します。他、7員環と5員環を持った化合物を加熱すると生成するため、ある種の植物精油にも含まれます。これらは抗炎症作用を持ち、古くから民間薬として利用された他、今も胃薬などに使われています。 pic.twitter.com/bzlBuaESqo

2021-02-18 20:56:01
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佐藤健太郎 @KentaroSato

あまり関係ありませんが、ルリハツタケというキノコは食用になるそうです。どう見ても食ったらいかん色に見えますが、最初に食べた人は勇気ありますね……。

2021-02-18 20:57:17

アズレンの構造式時計

櫻田 @V_parantica

下の弟の就職祝いを特にあげていなかったので、お祝いに壁掛け時計を作ってプレゼントしました💪 弟は化学系の大学出身で、卒論で扱っていた化合物の構造式をモチーフにしてほしいとリクエストを受けて、そんな多角形の木枠は市販されているわけ無いので図面引いて木材切るところからやりました🕑 pic.twitter.com/kAWMrZ1Sgz

2021-09-12 16:45:30
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櫻田 @V_parantica

ただ回るだけで機能的には特に意味のない五角形の秒針がチャームポイントです。 pic.twitter.com/BC6gk9NH6E

2021-09-12 16:47:30
佐藤健太郎 @KentaroSato

青系で作ったところがオシャレである。拍手。 twitter.com/V_parantica/st…

2021-09-12 21:54:52
まとめ 就職祝いに、大学で専攻していた化合物の構造式の形の時計をリクエストした弟さんと、完成してアップされた画像に群がる化学.. まとめがあったような気がするのですが、見つけられなかったのでまとめました。 アズレンは青い物質なので、青を基調に作られているのもポイントです。 27731 pv 25 1
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