パイデでオメガの話

アルファでパイロンの龍馬さんとオメガでデッドローンの話だよ
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かむい @sunyaxxx

りょーまの激昂が屋敷中に木霊した。

2021-09-06 15:38:21
かむい @sunyaxxx

「りょーま、終わったか」

2021-09-07 14:19:27
かむい @sunyaxxx

川に身を投じた二人、だが、りょーまの方がなんとか早い流れの川から這い上がりいぞーを引き上げることができた。 いぞーの方はりょーまを庇い背中に弾丸を受け、さらに川の水を多量に飲み息を止めていた、だがそんなことさせない、また自分をおいて逝かせない。

2021-09-07 14:19:27
かむい @sunyaxxx

必死で蘇生させるために呼びかけながら胸骨圧迫を何度も行えば、少しの水を口から吐き出したと思えば首を横に向け多量の水を吐き出したのだ呼吸が戻ったことに安堵するよりも先にひどい出血を止める方が先で手持ちにあった服で体を巻いてやり震える足を叱咤しながら駆けた呼吸は戻ったが

2021-09-07 14:19:28
かむい @sunyaxxx

意識のない成人男性を抱えて走るのは全体重を乗せられているのだ単純な重さではなかった。 自分の足が折れてもいいなくなってもいい、裸足のままで舗装もろくろくされてない地面を傷つけながら走ったのだ。 その綺麗に手入れされていた足は血みどろになりながら助けてほしいと必死で駆けた。

2021-09-07 14:19:28
かむい @sunyaxxx

『っ…りょ、…ま、』 りょーまの背中に揺られながら僅かに意識が戻ったのか薄っすらと目を開け息をつく。『わしにゃ、ぁ、ずっと…ず…ぅ…っと、にゃあ…』 ふひっと力なく笑う声。 止血をしても血が止まらない、背中に感じる体温が…次第に…。 『喋んな!!今は聞きとうなかぞ!!』

2021-09-07 14:19:29
かむい @sunyaxxx

『や…って、ぃ、ま…しか…』 『それ言うたなら、もう撤回なんぞさせんぜよ離さんぜよ!!もう二度とわしをおいて逝かさんぜよ!!いっつもいっつもわしを先において逝くんはいぞーさんの方じゃき!!』 くふっと笑う声がする。 『そ、ぃたら、言えん、にゃあ…おとろ…し……』

2021-09-07 14:19:29
かむい @sunyaxxx

りょーまの体温を感じられるままに目を閉じていく。 なんとう幸福なことか…、昔は空を仰ぎ見ながら死んだ、英霊としてサーヴァントとして出逢った時は敵として味方として繰り返し出逢い離れを繰り返し、気の遠くなるほどに巡り合いを繰り返してはいぞーの方が必ず先にりょーまをおいて逝った。

2021-09-07 14:19:29
かむい @sunyaxxx

罪を償えと呪詛をかけられていたようだ、幸せになる権利などないと…だけども今生は種を残せた。 りょーまとの一子だ、不自由な世界で初めて想いを残せた…だから幸せだ、たまらないほどの幸福を感じながら…。

2021-09-07 14:19:30
かむい @sunyaxxx

「終わったよ、全部」 「そうか」 いぞーが来ていた上着を羽織りなおしておりょーと共に歩く。 もう二度とりょーまの事を邪魔する人間はいない、これからは好きに生きていくことができる。 この街でりょーまを見た者はいなくなった。

2021-09-07 14:19:30
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