ヴェルヴェット・ソニック #4

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウーン、フン、フン、フゥーン……?」サロウはネオン看板「炭酸シャッキリング炭酸」の上で立ち膝姿勢、路地裏を見下ろし、こめかみを掻く。彼の髪はネオン看板よりも激しく色彩遷移。視線の先には、明るいオレンジ髪のオイランドロイドと共に移動するニンジャスレイヤー。「仲間って事……?」 1

2021-09-17 21:41:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『見りゃわかるでしょ、そんなの』右手に掴んだサイバーボーイの生首がカタカタと顎を慣らし、オモイ・ニンジャが話しかけた。『あの獣が通信を試みた相手もいる。辿って焼いてやろうとしたけど、獣が邪魔でさァ』「なんで獣がパーティープレイしてんだよ。卑劣な奴だ」サロウは表情を曇らせる。 2

2021-09-17 21:46:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「しかも、あんなにカワイイな相手とさ……」サロウは左手の爪を噛んで呟き、我に返る。「違う、ダーリンとファックさせてもらった俺のほうが上だって思ってるよ。だから嫉妬しないで?」『スゴイ・バカ』オモイ・ニンジャは罵った。『ヤッちまえばいいよ。まとめてね。アンタは素敵でしょ?』 3

2021-09-17 21:49:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「わかってるさ。俺は、やれる奴」サロウは再びこめかみをノックし、道路を挟んだ廃ビルの中に縛り付けられたモータルの「中継機」に意識を飛ばし、さらに数区画離れた地点の屋上に縛られた「中継機」にジャンプさせた。そう、獣とオイランドロイドはサロウから離れてゆくのだ。サロウは微笑んだ。 4

2021-09-17 21:53:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マルノウチ・スゴイタカイビル屋上。シャチホコ・ガーゴイルの背に佇むアヴァリスは手を庇に見通していたが、「ンン?離れていくぞ?」と呟いた。「今までの獣のやり方と違うな。獣と狩人は互いの位置がわかる筈だが?」彼はブラックティアーズを振り返った。「サロウめ、なにかやっているか?」 5

2021-09-17 21:57:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブラックティアーズは肩の上を浮遊するクリスタルを輝かせた。そしてアヴァリスに答えた。「互いの位置は必ず明らかにされる。それが呪術的な掟」「フン」メイヘムは鼻を鳴らした。「サロウはカラテを持たぬカスだ。回りくどいイカサマをやっても驚きはしない。"親" もその手の企みに長けている」 6

2021-09-17 22:00:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「つまり……」ウーガダルの表情はフードの奥で窺い知れない。低く響く声で確かめる。「……あの者は己の座標をたばかり、ニンジャスレイヤーを……誤った方向へ向かわせていると言う事か」「どうなんだ、ブラックティアーズ=サン。儀式としてそれが咎められる事は?」アヴァリスが尋ねる。 7

2021-09-17 22:06:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「仮定の議論に意味はない」ブラックティアーズは首を振った。「疑わしい状態だが、現時点では禁則破りの確証はない。狩りにおいて敢えて距離を置く戦術を、獣が選択しないとも限らぬ。状況を注視してゆく」「状況を注視?つまり、やりたい放題というわけか。面白い」アヴァリスはせせら笑った。 8

2021-09-17 22:09:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「メイヘム=サンの言葉通り、サロウにはカラテがない。となれば、そのぐらいの工夫の余地を与えてやってもよかろう」「愚かな 。お前は鷹揚に過ぎる」メイヘムは軽蔑的にアヴァリスを見た。「真の力を持たない狩人が不正で儀式を制したところで、私も我が主も認めはしないぞ」 9

2021-09-17 22:15:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「くだらん勝ち負けに拘るのがお前らしい」アヴァリスは光る眼を細めた。「嫌いではないぞ。その必死さは」「貴様……」メイヘムは敵意と共にアヴァリスに向き直った。アヴァリスは挑発的に見下ろした。「来るか?いいぞ。ジツを早く見せてみるといい……」「黙って見届けろ」ウーガダルが言った。 10

2021-09-17 22:20:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブラックティアーズはアグラ姿勢のままであったが、ウーガダルへの同意を無言のうちに語る。アヴァリスとメイヘムは互いを見、それからウーガダルを見た。ウーガダルは低く言った。「死力を尽くし、敵を上回った側が勝つ。それがイクサというものだ」「ほう」アヴァリスは値踏みするように見た。 11

2021-09-17 22:24:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「本質的な話か。思いのほかよく喋る奴だ」「……」「ま、どのみちお前の挑戦権は最後。せいぜい指を咥えて見守るだけがお前の役目だ。……俺は誰が獣を仕留めようと構わん。俺の番が来れば俺が仕留める。それより先にお前らの誰かが勝つなら、その後は」アヴァリスは言った。「本質的な遊びになる」12

2021-09-17 22:31:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」「アババーッ!」閉店タバコ屋のシャッターを突き破り、老夫婦が両手を振り回しながら襲いかかってきた。コトブキは目を見開いた。ニンジャスレイヤーはコトブキの手を掴み、斜めに投げ上げた。「イヤーッ!」そして自らも跳ぶ!「イヤーッ!」路上に倒れ込む老夫婦!ナムサン! 14

2021-09-17 22:35:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アババーッ!」アパートの二階ベランダに着地した二人であったが、ショウジ戸が開け放たれ、部屋住みアンタイブディストが襲いかかってきた!「ハイッ!」コトブキはコンパクトな足払いで転ばせる。「中を通りましょう」ニンジャスレイヤーは頷く。彼らは部屋に突入、前転して玄関から脱出する。 15

2021-09-17 22:39:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「ハイヤーッ!」彼らは裏側の路地へ着地し、周囲を警戒した。「非戦闘員を操作して……なんとむごい事を」コトブキは呟いた。ニンジャスレイヤーは頭を押さえた。視界に焼きつく敵座標の方向を指差す。「行くぞ。向かってくる連中に掴ませるな。組みつかれれば終わりだ」「ハイ!」 16

2021-09-17 22:43:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジグザグの路地を、二人は走り出した。KRAAAASH!「ドッソイ!」「ドッソイオラー!」「ハッキヨッホ!」セントーの壁が吹き飛び、中からスモトリ達が溢れ出した。「キーッ!」「キキーッ!」さらには、電線の上にはコウモリ・ケモノパンクス・クランが立ち、上への退路も塞ぐ!「これは!」 17

2021-09-17 22:50:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドッソイ!ドッソイ!」「ドッソイ!」スモトリ達は涎を吐き散らしながら張り手突進してくる。まさに肉壁……そして頭上、「キキーッ!」電線上でコウモリパンクスにテナガザルパンクスが合流し、威嚇の叫びをあげた。両ケモノクランは本来一触即発の対立関係の筈。正気が奪われているのだ! 18

2021-09-17 22:54:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『全員ブッ殺せばいいじゃない!』後ずさり、退路を探る彼らの後ろからスピーカー音声が聞こえた。振り返ると、道路舗装ブルドーザーの巨大鉄塊が土煙をあげてゆっくり進んでくる!『まあ、それをやらないッて事は、効いてるッて事だよな?俺も嫌だよ、逆の立場だったら心が曇るもんな。わかるよ』 19

2021-09-17 22:56:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上空を飛行するマグロツェッペリンの広告ビジョンにサロウの顔が大写しになった。『皆、何の罪もない奴らさ。ニンジャスレイヤー=サン、こいつらはアンタに何の敵意もないんだ。絶対攻撃しないほうがいいよ。カルマに悪いと思うし、精神が疲弊して、俺のジツがガッツリかかるようになっちゃうね!』20

2021-09-17 23:00:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」KRAAAASH!ニンジャスレイヤーは轢殺ブルドーザーを受け止めた。「ニンジャスレイヤー=サン!」コトブキは背中合わせになり、口火を切ったスモトリの顔面にジャンプ蹴りを食らわせる!「ハイヤーッ!」「グワーッ!」もうひとり!「ハイヤーッ!」「グワーッ!」 21

2021-09-17 23:03:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウーッ!」ニンジャスレイヤーの背中に縄めいた筋肉が盛り上がり、轢殺車両が押し留められた。車体がミシミシと軋み、鉄板がズレて蒸気が噴き出す。コトブキは飛び出すスモトリを必死に退ける!『無茶だね!こっちの兵隊は無限だ。本当に人口密度の高い街!ベルリンも目じゃないね……!』 22

2021-09-17 23:08:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「キキーッ!」「キーッ!」ケモノパンクスが屋根と電線の上で囃し立てる。「ドッソイ!」「ハイヤーッ!」「グワーッ!」モグラ叩きじみて、コトブキは飛び出すスモトリを鋭い飛び蹴りで弾き返す。一方、ニンジャスレイヤーは轢殺車両と拮抗し……徐々にその進路を……横に……「イイヤアアーッ!」23

2021-09-17 23:12:42