ZZ、もちろんジュドー・アーシタの物語なわけなんだけど、物語上で1番尺取って語られてるのは「ハマーン・カーンってどういう女なのか」なんですね ジュドーという強力な光源を用いてハマーンという影を克明に描いている構造
2021-11-26 20:50:00スラムのガキでしかなかったジュドーが成り行きで宇宙に出て、色々な出来事に触れて、彼が持っていた当たり前の感性をそのまま当たり前に発揮する ジュドーの陽の感性は人々に希望を与える
2021-11-26 20:54:04ハマーンは過去の経験からか本質的に他人を信用する事はできない ハマーンと他人の関わり方は支配する-されるという間でしか表現できない 例え部下からの自発的な忠誠心を示されたとしても、それを上書きして自分の気にいる忠誠心にすげ替えてしまう
2021-11-26 20:56:04ジュドーとハマーン、ネガポジ反転したベクトルを持っているだけで、存在としてのプレッシャーは「否応にも周囲の環境を自分のものへと書き換えていく」レベルなんですね ハマーンは支配を、ジュドーはガキの夢物語をそれぞれ宇宙に地球に振り撒いていると言う観点から見れば、実は全く同じ存在
2021-11-26 20:58:03ではその上で何故ジュドーが正義で、ハマーンが悪であるのか それはハマーンは本当に自分自身のみで完結した生物である一方で、ジュドーは「他人から影響を受けること」を拒否していない、むしろ積極的であるという点で立場が分かれるわけですね
2021-11-26 20:59:29ジュドーもまた「他人を自分の中に取り込める」人であり、先代ガンダムパイロットカミーユとも更に違うポイントとしては「死者ばかりを取り込むわけではない」という点が大きい 要するにジュドーは「きちんと他人とコミュニケーションを取ることができる」という事
2021-11-26 21:02:16ジュドー、あまりにも当たり前に「仲間と共に戦い」、「仲間と時に喧嘩をし」、「仲間と絆を育む」事が出来ている これまでの主人公はそれどころじゃなかったり、あるいは本人がキレたナイフだったりして出来なかった事がジュドーにはできている
2021-11-26 21:05:14人と触れ合う、そんな当たり前のことすらできなくなった古い地球人よ、前期OPでシャアが古い地球人呼ばわりされることも宜なるかな というくらいにガンダムとしてあまりにも「完成された」主人公であったのがジュドーだと言えよう
2021-11-26 21:07:04で、ZZのもう1人の巨大な悪として存在するのがグレミー・トト なんかこう、「都合で」巨悪になってしまった彼だけれど、事情や言動から逆算すれば「まさに今シャア・アズナブルになりつつある男」という描かれ方をしているわけで、逆に言えばシャアという男のダメさをここから逆引きする事もできる
2021-11-26 21:10:15グレミーの作中での「悪」は何かと言えば、「強烈な思い込みで周りを巻き込み戦いの火種を作る」ことに集約出来よう 「自分は正しい事を為すべき立場にある」 「自分は敢えて辛い道を往く」 「為すべき事のために他人はある」 迷惑な自己陶酔と、それをカリスマに昇華できるだけの外面
2021-11-26 21:15:25ダメだった頃のシャアの縮小再生産としてのグレミー・トトは、本題に据えるほどの扱いではないが「シャアという男が若い頃どういう風に育つとあんな感じになるのか」という補助資料として大いに参考になるだろう(青の部隊の辺りとか)
2021-11-26 21:17:47ハマーン・カーン、これは前回行った事の繰り返しになるけど他人を信じられない彼女の真の目的は支配による全宇宙の自身への隷属、ニュータイプである彼女の視点から言い換えれば全ての生きとし生けるものがハマーン・カーンとなる事なんですね
2021-11-26 21:20:12ハマーンは他人を俗物と切り捨て、そんな卑俗な存在が否応がにも自分の中に入ってきてしまうニュータイプ能力すら嫌悪して、全ての他人を自分から見て理解できるものにしてしまいたい ところが決してハマーンとは相容れない、自分と正反対のベクトルの存在であるジュドーと出会ってしまう
2021-11-26 21:22:29ハマーンにとってジュドーはいくら塗り潰しても消えない星の光であり、ハマーンの理想世界に存在する明確な「他者」になる そんな存在をハマーンは好ましいと感じて執着を始めてしまう ハマーン・カーンは実際のところ、他人の存在が欲しかった 目指す方向を最初から間違えていた人というわけだ
2021-11-26 21:24:22後期OPはプルさえ抑えてまるでハマーンがヒロインかのように描かれているわけですが、それは実際正解であり、ハマーンの理想世界と現実の差を考えればサイレント・ヴォイスは最早ハマーンのイメソンそのものなんですね 我々は後半ずーっとハマーンからジュドーへのラブソングを聞かされていたわけです pic.twitter.com/Enx7OYNiWE
2021-11-26 21:26:58なのでZZは、ジュドーは他人とのコミュニケーションを決して疎かにしないがために、最早終わった戦争に近い最終回に「ハマーンとのサシの戦い」を望むわけですね 最終回はずーっとハマーンとジュドーのコミュニケーションの話をしていて、ハマーンは最期に心から他者の存在を認めるに至るわけです
2021-11-26 21:29:04ジュドーにはガンダムチームが、アーガマのみんなが居た ハマーンにはマシュマーもキャラも居た 捨てたのはハマーン自身 勝敗は最初から明確であり、ZZの47話はハマーン・カーンという女の呪いを、人と人が互いに手を取り合える事を人類に思い出させるための戦いだったわけですね
2021-11-26 21:31:09ジュドー、明らかに「答え」を出してしまったが故に木星へ旅立つエンドになったわけだけれども、それだけ明確に前向きなメッセージが込められたZZという物語は素晴らしいものだったと言い切って良いでしょう
2021-11-26 21:33:24ZZの「やたら開きっぱなしのコックピットのハッチ」、もうあれだけ繰り返されれば役割としては明確に「戦う相手にも人格があり、言葉を交わす事ができる」という事をずーっと第一話からやってたわけですね やたら距離が近い敵と味方、一貫性の物語だった
2021-11-26 21:35:02