曇天 -extra round- 【フォア・ザ・ブルースカイ】(再放送)#4

※本放送時はガングートは実装されていません 3:https://togetter.com/li/1791986 5:https://togetter.com/li/1793347
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2021-10-23 21:01:00
劉度 @arther456

曇天 -extra round- 【フォア・ザ・ブルースカイ】(再放送)#4

2021-10-23 21:02:00
劉度 @arther456

――始まりは閃光だった。ホテル『ウースタ・クラリエーバ』のロビーに閃光手榴弾が投げ込まれ、炸裂した。更に武装したロシア人兵士10人がホテルになだれ込んでくる。連邦対外情報作戦課秘匿部隊『ザスローン』だ。彼らは見張りのマフィアを射殺し、進撃する。「エレベーターを抑えろ!」1

2021-10-23 21:03:00
劉度 @arther456

だが、奥からドロフェイ・ファミリーのマフィアたちが出てきた。すぐさま銃撃戦になった。数はドロフェイ・ファミリーが圧倒しているが、装備はザスローンの方が充実している。50人いたマフィアたちは、あっという間に半分になった。「このまま制圧するぞ!」だが、そこで異変が起きる。2

2021-10-23 21:06:00
劉度 @arther456

ザスローンの隊員2人が、突如巻き起こった火柱に飲み込まれた。「ぐあああっ!?」「何だぁ!?」更に、虚空から氷の槍が現れ、ザスローンたちに降り注ぐ。「があっ!?」「くそっ、魔法使いか!?」「そんなものと一緒にするでないわ」ザスローンの頭上から声が降り注いだ。3

2021-10-23 21:09:00
劉度 @arther456

吹き抜けの手すりに女性が腰掛けていた。赤銅色の長髪、同色の細い瞳、羽衣を何層も重ねたような衣装を身に纏いながらも、肩と胸元は淫靡に見せつけている。一見すれば妖艶な女性だが、人間ではないことは一目瞭然だ。頭頂部には獣の耳が立ち、腰の後ろには狐の尻尾が九本生えている。4

2021-10-23 21:12:00
劉度 @arther456

キタキュウビキツネ。ネオホッカイドウに生息する異界種。その中でも上位の力を持つ彼女の名は。「"持徳法師"ロシェ!」「やはり魔法使いか!」「後退だ、後退!」ザスローンは負傷した仲間を引きずって下がる。「逃げられると思うたかよ?」だが、分厚い氷の壁がザスローンの行く手を遮った。5

2021-10-23 21:15:00
劉度 @arther456

追加の氷の槍が降り注ぐ。隊員が1人、氷の壁に貼り付けにされた。「ぐあっ!」「どうした、どうした?頑張れよ、このままでは全滅だぞ?」ロシェは嘲笑いながら氷の槍を放ち続ける。しかし、突然氷の壁にヒビが入った。「むう……?」ロシェは魔法を中断し、氷の壁を注視する。6

2021-10-23 21:18:00
劉度 @arther456

「Ураааа!」氷の壁が蹴破られた。粉々になった氷壁の向こうから現れたのは、重機関銃を片手で担いだ銀髪の女だ。白いコートを羽織り、頭には同色の海軍帽子を乗せている。赤色の瞳がロシェを不敵に見上げていた。「ちぃっ、真打ちかよ」只者でないことは明らかだった。7

2021-10-23 21:21:00
劉度 @arther456

女が重機関銃を片手で連射する。ロシェは魔力障壁を展開し、弾丸を防ぐ。更に数十本の氷の槍を生成し、女へと放つ。「無駄だ!」だが、氷の槍は女の魔力障壁によって全て砕かれてしまった。「この装甲を貫くならば41cm砲を持ってくるがいい!」「……ははあ、貴様、艦娘か」「いかにも!」8

2021-10-23 21:24:00
劉度 @arther456

「戦艦ガングート、それが私の名だ!"持徳法師"ロシェ、覚悟するがいい!」艦娘とはつまるところ、人間サイズの軍艦である。このように、白兵戦に放り込めば無敵に等しい。「キ、ヒヒヒ……!」だが、無敵を前にしてロシェは嗤った。「飛んで火にいる夏の虫とは、このことよのぅ」9

2021-10-23 21:27:00
劉度 @arther456

空間が軋んだ。「ッ!?」ガングートが膝をついた。そこへ氷の槍が襲いかかる。今度は魔力障壁があっさり砕かれた。ガングートは走って氷の槍を避ける。「これは……結界か!?」「いかにも。力の源である艦霊を無力化すれば、貴様らはただの小娘じゃろう?」返事は銃弾だった。10

2021-10-23 21:30:00
劉度 @arther456

「おっと」ロシェは銃弾を防ぐ。そして驚いた。ガングートは未だに数十kgする重機関銃を構えている。「……おい、艦霊は封じたはずじゃぞ」「問題ない。筋力は自前だ」「……キ、ヒヒ」艦霊抜きでも超人なガングートを相手にして、ロシェは牙を剥き出しにして嗤った。「――調子に乗るなよ」11

2021-10-23 21:33:00
劉度 @arther456

「どうなってんの?」扉の陰からロビーの様子を窺いながら提督は呟いた。「わかんない」舞風もその上から状況を確認していた。2人とも状況が全くわからい。レストランで謎の人物から襲撃を受け、一目散に逃げてみれば、1階では特殊部隊と艦娘がキタキュウビキツネと死闘を繰り広げていた。13

2021-10-23 21:36:00
劉度 @arther456

《提督!聞こえますか?熊野ですわ!》提督のインカムに通信が入った。「熊野!状況は!?」《ええ!不知火さんを確保いたしました!》提督は大きく息を呑んだ。「……無事!?」《ええ、代わりますわ!》少し間があって、不知火の声が聞こえた。《提督。申し訳ありません》14

2021-10-23 21:39:00
劉度 @arther456

不知火の声を聞いて、提督はホッと息を吐いた。「いや、無事ならよかった……いきなり逃げろって言うから、どうしたのかと思ったけど。倒せたんだね?」《いえ。倒されました。熊野さんに助けられなければ、今頃は……》思わぬ言葉に提督はしばし言葉を失った。15

2021-10-23 21:42:00
劉度 @arther456

「何者なの、あの人」《ダルス・エンゼルシー。昔、私に戦闘技術を教えた教官です》以前、不知火がそんな話をしていたことを提督は思い出した。《とにかく先に脱出してください。こちらは……追いかけるのに時間がかかりそうです》「何があったの?」《所属不明の武装集団が多数来ています》16

2021-10-23 21:45:00
劉度 @arther456

「あー、うん。こっちにもいる」どうやら屋上と1階の2方面から攻めてきているらしい。「よし、こっちは脱出に集中する。不知火は熊野と一緒に、安全を最優先で行動して!」《了解しました》通信を終えると、提督は舞風に向き直った。「舞風。急いで脱出しないといけないことになったんだけど」17

2021-10-23 21:48:00
劉度 @arther456

「突っ切るしかないよねえ」出口は何箇所かあるが、どこに行くにしてもロビーを通る必要がある。「壁沿いに走って、あっちの出口が一番近いかな。提督、あたしが先行するから、頑張ってついてきて」「体の調子は大丈夫?」結界によって、舞風の身体能力は大きく落ちているはずだ。18

2021-10-23 21:51:00
劉度 @arther456

「大丈夫、大丈夫!あたしのダンスはこれぐらいじゃ止まりませんから!」舞風は屈託なく笑い、両手に拳銃を構えた。提督もリボルバーを構える。ドアの向こうで爆発が起きて、煙が舞い上がった。「今!」「あいよっ!」舞風と提督はドアの影から飛び出した。進路上のマフィアに向け発砲!19

2021-10-23 21:54:00
劉度 @arther456

「ぐおっ!?」「こっちもか!?」マフィアたちが慌てて銃を構える。だが、舞風がマフィアの1人に飛び蹴りを見舞った。同時に両腕を大きく広げ、左右にいたマフィアの頭を撃ち抜く。瞬く間に3人を倒した舞風は、華麗なステップを踏み、銃火を潜りながら先へ進む。提督はその後をついていく。20

2021-10-23 21:57:00
劉度 @arther456

マフィアたちを撃ち倒し、提督たちは出口に辿り着いた。「よしっ!」提督はドアノブに手をかける。動かない。凍りついている。文字通り、突如ドアを覆った氷が、提督の腕を巻き込んでいた。「うわあああっ!?」冷たさと痛みに、提督が悲鳴を上げる。「おい」そこに声がかかった。21

2021-10-23 22:00:00
劉度 @arther456

ロシェが銃弾を防ぎながら振り返り、提督を睨んだ。「主賓が逃げるなよ」「ひっ……!」その時、舞風は動いていた。ロシェへ向かって走る。ロシェは氷の槍を生成し、舞風へ投げつける。舞風はターンして槍を回避。走りながら銃を撃つ。だが、ロシェの魔力障壁が弾丸を弾いてしまう。22

2021-10-23 22:03:00