イエール大助教授・成田悠輔氏による「お金はなくなる」説は本当? ――仮想通貨、地域通貨、デジタル通貨などの電子マネー化と、社会変革の可能性について
ピクシーのサイトにある、「医者は患者を薬漬けにすると儲かるという問題」というのは、この地域通貨の意義として、私も説得力を感じたので、かんたんに要約しよう。
2021-12-22 22:38:19病院や医者は、薬を多く出した方が儲かるが、患者を健康にするのが、本来の目的のはずだ。だから、薬の副作用で別の病気なったりしたら、本末転倒だろう。
2021-12-22 22:39:50そこで、鈴木氏のピクシーでは、患者の収入を、医者に伝播させるという。「伝播」という言葉がやや分かりにくいが、「配当」みたいなイメージだ。
2021-12-22 22:40:55元気になった患者の収入から、治療した医者へ配当が伝播するようになれば、薬漬けが解消して良いのではないか、というのがピクシーの問題提起だ。
2021-12-22 22:42:13最近のグーグルは、もう以前ほどページランクを重視しなくなったが、初期は検索エンジンの主要なアルゴリズムだった。かんたんに言うと、リンクを投票とみなして、リンク=票を多く集めたページのランクが上がると。
2021-12-22 22:44:50そしてさらに、票を多く集めたページが、別のページにリンクすると、そのページのランクも吊られて上がる。この仕組みをピクシーでは、地域通貨に応用したのだろう。
2021-12-22 22:46:00こうして見ると、なんだかいかにも上手そうな仕組みだが、手放しで称賛する訳ではない。この地域通貨をそのまま実用化するには、重大な欠点があると、私は考える。なぜか?
2021-12-22 22:47:23ピクシーの配当(価値伝播)方式なら、薬漬けは解消されるかもしれない。が、別の問題が生じる。最初から高収入の患者を集めれば、高配当になるので、たとえば「年収一千万円以下は、治療お断り」になりそうだ。
2021-12-22 22:49:11また、投資が健全な方向に進めばいいが、現実は必ずしもそうならず、「会員制クラブ」みたいに、最初から高収入者を囲い込む方向に進みそうだ。現在でもそういう傾向はあるが、配当はそれをさらに加速させる。
2021-12-22 22:55:03togetter.com/li/1428322 「ポスト資本主義」は可能か? 国家通貨 VS 仮想通貨 ――「大西つねき」氏の主張と対比して(以前まとめ)
2021-12-22 22:56:24ピクシーの医者の例では、患者の収入と配当を直結させたのが、まずかった。のでこちらの例では、患者の健康度を評価するシステムを作り、それを病院や医者の収入にフィードバックする。たとえば、補助金などの形で、税金や健康保険料から分配する。
2021-12-22 22:59:47こうして、患者の収入に関係なくすればいい。が、収入以外の評価というのは、貨幣システムとは別の信用評価システムが必要になる。では、どういうものを作ればいいか?
2021-12-22 23:01:12一番、現実的なのは、すでに政府が推進している、「マイナンバー」制度だろう。最近も、予算約2兆円で、マイナポイントを出すくらいだから、そうとう普及推進に本腰が入っている。
2021-12-22 23:02:55そのマイナポイントをもらう条件のひとつに、マイナンバーカードと、健康保険証のひもづけがある。今後、カードを保険証として利用できるようになるらしい。
2021-12-22 23:04:43しかし、今回話した文脈で言うと、電子カルテの履歴をデータベース化すれば、薬漬けの解消につながる。履歴を追跡できれば、患者にどれくらい効果があったか、なかったか、統計的にデータを得られるから。
2021-12-22 23:09:12ここで注意しておけば、もちろん、政府非公式の個人的な考えだし、個人情報の利用には、プライバシーやセキュリティなどの多くの問題もあるだろう。
2021-12-22 23:10:18ただ、最初のひろゆきと成田氏の番組の話に戻れば、彼らの議論に近いもので、現在すでにある仕組みは、「マイナンバー」。そして、その延長線上に、「信用評価システム」を将来的に想定できる。
2021-12-22 23:12:02