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必殺の一撃を放たんとするアークの眼前で、リクもまた動いた。 破砕の一撃が迫るなかリクは回避ではなく右拳を構え迎撃の体勢を取っていた。濡らした顔を引きつらせながら迫る拳に対して拳を合わせにいった。それは奇しくも彼女が前回敗れたきっかけとなった状況と一致していた。
2022-01-14 22:27:00懲りずに拳比べを仕掛けて来たリクに対し、アークは勝利を確信し。笑う。 鮫と鰐、本来拳を持たざるもの同士のそれがぶつかり合う。そして 衝撃。
2022-01-14 22:30:00両者の拳の衝突点から爆破現象の如し破壊的な衝撃が発生し、拡散した。それは辺り一面に破砕を起こし、水面は爆ぜ、天井や数十メートル以上離れた距離の壁にまで亀裂を走らせた。 「んだぁ!?」
2022-01-14 22:33:00その破壊の中心でアークは不可解を表す声を上げる。それはそうだろう。見立てではこの衝突で腕をへし折り、遥か前方まで殴り飛ばし終わらせる。そのはずだった。であるにも関わらず返って来た衝撃波予想よりも遥かに強大で、そればかりかリクは己と拳を合わせ平然とたっている。更に不可解なのはその腕
2022-01-14 22:36:00リクの異形の両拳、それを覆うように、鰐の頭部を象った、ボクサーグローブのようなものが装着されていた。 危険を感じたアークは一度後方に飛びのき。 「どーしたんだよそのけったいな手袋はよぉ。イメチェンかあ?」
2022-01-14 22:39:00「Boxdile。これがあなたのハンマーナックルに対抗するために得た私の一つ目の力です。威力は先程見せた通り。よもや卑怯とはいいませんね?」 「とーぜん」 SHs大戦 5-3 終 pic.twitter.com/rHLmIyj6g4
2022-01-14 22:42:004
両者は再び拳を構え、拳戟を再開する。だがその様相は先程とは異なっていた。 強大な攻撃力を有した相手を警戒して動きがどこか堅く慎重になったアークに対しリクはギアを一段上げたように速く苛烈に攻める。
2022-01-15 22:03:00もとより殴打を得意とするリクだ、直撃こそないものの、次々にボクスダイルによって強化された攻撃が掠めていきその度にプロのボクサーに無防備に殴られたかのような衝撃を得る。
2022-01-15 22:06:00アークはリクが攻撃のために身を沈めたタイミングを見計らい、上方から叩きつけるようにハンマーナックルを射出。リクはそれに対応して迎撃の拳を合わせる。 再び破壊的な衝撃が生まれ爆ぜる。だが此度はそこで硬直するようなことはなかった。
2022-01-15 22:09:00リクは空いた左腕を振りかぶりそのまま至近距離のアークに向って振るう。それに対しアークは緊急的に身を捻りバックステップ。直撃は免れた。だがその身には僅かにボクスダイルが触れており、アークはきりもみ回転で吹き飛ばされた。
2022-01-15 22:12:00吹き飛ばされ、亜熱帯プールへと着水したアークは水面へと顔をだしリクを再び視界に捉え。 「おめぇも来いよ気持ちいいぜ。それとも水の中は怖いかリクちゃ~ん?」 「そんな挑発が安いんですよ。Death roll」
2022-01-15 22:15:00言葉とは裏腹に鬼気迫る表情のリクは足元にダイスを転がす。数字は6,6。最大値だ。これまで見たこともない程破壊的なエネルギーに包まれた禍々しい鰐のエネルギー体が発生し。プールへと着弾する。アークは咄嗟に潜行することで攻撃を避けたが無駄なことだった。
2022-01-15 22:18:00着弾した瞬間。空間が爆ぜ、まるで大地震のような揺れが室内を襲った。 当然その衝撃の元となった場所が無事なはずがなく本来流れのないはずのプールは大瀑布と共に激流が発生し中にいたアークの全身を打撃し平衡感覚を失わせていた。
2022-01-15 22:21:00「な……ぁ……?」 やっとのことで水面に顔を出したアークは嗤い、再び賽を振るうリクを認める。 「さて、早く出てこないと何もできずに死んでしまいますよ?アークさぁん?」
2022-01-15 22:24:00二投目の結果も6,6。最大値だ。ディーラーとして最高クラスの腕を持つリクにとって妨げるもののない状況下で狙った出目を出すことはあまりにも容易いことだった。食堂の鰐が再び牙を剥く。 「ヤ……ベェ!」
2022-01-15 22:27:00危機を感じたアークは野生のホホジロザメのように水面から跳躍し危険地帯を脱出。陸へと降り立ちリクへと駆ける。 迎撃の拳を潜って躱しその短躯に濡れた肢体でしがみつく。 「こ……の」
2022-01-15 22:30:00雷撃を纏い重なる獣たちは勢いを落とさず疾走。壁へと勢い良く衝突する。万雷に身を焼かれ身動きが取れぬ鰐を押しつぶす。そして壁からバウンドして返ってきたそのどてっぱらに。 「オラぁ!」
2022-01-15 22:36:00全力のハンマーナックルを叩きこむ。よく鍛えられた腹筋も雷で硬直した状態では何の意味もなかった。槌を素通りさせ内へと打撃を通す。リクの体は再び壁に叩きつけられ壁面には網状の亀裂が走り崩壊し、その口からは小さな器が満たされるほどの血反吐が零れ落ちた。
2022-01-15 22:39:00鮮血を正面から浴びたアークは壁からゆっくりと剥がれ落ちて来たリクの肩を抱き。再び囁く。 「アークショック」 「ギッ、いぃぃぃぃぃぃぃ!?あ、がぁっハ、キッ……!?」
2022-01-15 22:42:00常人ならばとうに炭化しているような電流をその身に受け続け痙攣を繰り返すリク。その目は既に虚ろで、彼女の股下はしとどに濡れている。抵抗を続けていた腕ももはや力なくダランと垂れ下がり最早この戦いの趨勢は決まったように見える。
2022-01-15 22:45:00「ご自慢のパンチももう打てる体力が残ってねえみてぇだなあ。折角新しい武器まで用意したのにもったいねぇこって。代わりにアタシが貰って種銭にしてやるよ」
2022-01-15 22:48:00嗤いながらもアークは電流を緩めない。敵が許しを請い、始めよりもよい条件を提示するまで決して離しはしない。アークショックは威力を上げれば上げるほど持続力が下がる特性を持っている。
2022-01-15 22:51:00