【ある冒険者の書物】

小話のまとめ
4
前へ 1 2 ・・ 6 次へ
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物23】『元百科事典』 重く表紙が頑丈な百科事典を手にした者が口々に「武器になりそうだ」と囃し立てた結果、出版元が開き直って巨大化、装丁を金属加工し武器にしたもの。斬撃と打撃を同時に繰り出すことが可能で破壊力は十分だが、一月と経たないうちに見向きもされなくなった。

2020-07-09 21:11:05
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物24】『月刊ゴーレム』 ゴーレムに関する知識や作り方が載っているが、これの目玉は毎月の付録だな。欠かさず集めると最終的に一体のスティールゴーレムが完成する。創刊号は頭が付いて金貨一枚とお得だが、以降はとにかく部品が小出しで、自前で用意したほうが早いし楽だと思うぞ。

2020-07-10 22:19:43
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物25】『彼の血を大事に』 血を流さず無力化するための技術や、それに適した武器について記された解説書。元々は戒律や宗教上の理由により刃物の類を扱えない者に向けた書物だったが、吸血種族の需要のほうが大きくなったため、現在の表題に変更された。稀に拷問にも用いられる。

2020-07-10 22:20:50
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物26】『ストームブリンガー姫の冒険』 お忍びで外出した姫が街中で大小様々な騒動に巻き込まれた出来事を書き記した日記、という体の絵物語。内容を知った街の人々は実話であることを疑うも、国の関係者は口を揃えて「我らが姫がこれほどお転婆な訳はない」と否定している。

2020-07-11 07:00:39
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物27】『極寒の魔術書』 常に凍てつく冷気を放つ魔術書。触れた者に氷の魔術の知識を授けると言われているが、実行した者は例外なく凍結している。魔術書と凍結した持ち主は発見場所の洞窟にそのまま放置され、現在は食品の鮮度を維持するための保存庫として活用されている。

2020-07-11 07:00:39
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物28】『16歳の誕生日を迎えたその日突然王様に呼び出されたかと思ったら実は俺が勇者の末裔と判明した挙げ句に端金とその辺で売ってる武器防具を渡されて魔王を封印して来いと命令されたが冗談じゃないので勇者の肩書を利用してやりたい放題』 表題で中身が理解できる秀逸な物語。

2020-07-11 19:50:56
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物29】『呪いの書』 誰かが誰かへの恨みを延々と書き連ねた結果、呪いが宿ったもの。無防備に中身を読むとたちまち呪われてしまうが、恨みを抱え呪う意思を持つ者に対しては力を貸してくれる。専門家によると、数え切れないほどの恨みを晴らせば、いつか無害化されると見られている。

2020-07-12 08:21:11
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物30】『ある冒険者の月記』 月に一度書かれたと思われる、ある冒険者の日記。名前は書かれておらず持ち主は不明。どこかに置き忘れていたものが、紆余曲折を経て現在はギルドに保管されている。中身を読まれたかもしれないと思った持ち主が引き取りに来る可能性は低い。

2020-07-12 08:21:12

31~40

サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物31】『魔王は世界を滅ぼしたい』 世界の滅亡を目論み、失敗した魔王たちの行動記録。計画だけを見れば実現可能なものも多いが、必ず何らかの理由によって阻止されている。通算100回の失敗に自暴自棄となった魔王が、軍資金の調達と後続への反面教師を兼ねて書いたらしい。

2020-07-12 19:03:35
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物32】『巡礼案内書』 教会が発行している聖地巡礼の手引き。経路の安全性と宿の品質を優先しているため、時間と旅費にゆとりのある者向けの内容となっている。詳細な地図と施設の解説は観光案内としても優れており、信心深い者でなくとも一冊は手元に置いていて損はないだろう。

2020-07-14 00:31:16
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物33】『冒険者格付け表』 その年に活躍した冒険者たちを格付けした一覧表だ。単純な比較は無理だから多方面の部門に分かれているが、こなした依頼数や稼いだ額に倒した魔物の数あたりはともかく、野営食の旨さとか歩いた距離とか警備兵に捕まった回数とかも載せてるのはどうなんだ?

2020-07-14 21:42:12
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物34】『七つ道具』 本書では「選ばれる七つの道具は目的に応じて変わるものである」とした上で、様々な状況を想定した七種類の道具の選び方を解説している。何が起こるか予測できず、万事に備える場合の選び方も記されているが、それも個々人の能力によって複数の分類が存在する。

2020-07-15 22:23:12
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物35】『煮込み料理戦争』 多種類の香辛料と小麦粉に油を加えて炒め、とろみが出るまで煮込む。ここまでは共通しているんだが、いざ具材をどうするかってとこで意見の割れること割れること。世間じゃどうなってるのか気になってこれを読んでみたが、派閥が多すぎて参考にゃならんよ。

2020-07-17 21:52:25
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物36】『邪悪なる信仰の原初』 一般的に邪神と呼ばれている神々を信仰するための準備や儀式の手順が書かれている。入門書であるため、儀式には血に見立てた塗料や果汁、遺骸に見立てた干し魚などを用いる。大人たちはごっこ遊びの類と見ているが、14歳前後の少年少女には人気がある。

2020-07-17 21:52:25
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物37】『日本語辞典』 稀に現れる異世界からの来訪者たちの協力で作られた辞典。異世界人のほとんどは「日本語」と呼ばれる言語を話すことから、今後の対応を円滑にすべく冒険者ギルドが中心となって編纂した。これによりギルド職員の多くは異世界人と意思疎通が可能となっている。

2020-07-17 21:52:26
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物38】『世界地図』 地道な測量によって作られた精度の高い地図。世に出回っている地図のほとんどはこれを基に、あるいは加工して掲載している。なお、一部地域においては低頻度ながら山が消滅したり入り江が作られたりしているため、これに限らずすべての地図は用を成さない。

2020-07-18 09:22:21
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物39】『即席! 武器の作り方』 非常時の折に、身近にあるものを利用して即席の武器を作ろうという趣旨の書物。そのまま武器として使用できるものから、少し加工して武器とするものまで、内容は多岐に渡る。貴方が予備の武器まで失ったとき、ここで得た知識が活躍するかもしれない。

2020-07-18 21:57:36
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物40】『ある冒険者の助言』 ある冒険者が、旅の中で出会った人々から受けた助言について記された書物。これがあれば様々な出来事で役に立つことはあるかもしれないが、経験が乏しいまま知識のみで対処しようとすれば、その先には手痛い失敗が待ち受けているかもしれない。

2020-07-18 21:57:36

41~50

サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物41】『楽しい罠はずし』 危険性のない罠が多数仕掛けられた学習教材。無造作に開けば罠が作動する仕組みとなっており、読み進めると自然に〈罠解除〉の技術が鍛えられる。物語が気になるあまり強引に先へ進もうとしても、罠には例外なく中身が読めなくなる仕掛けが含まれている。

2020-07-19 08:43:13
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物42】『本当にあった宝の地図』 財宝や、それに類する何かを発見できた宝の地図の数々を写したもの。当然ながら現在は宝が運び出された後だが、これを金品の隠し場所や隠し方の参考にしたり、歴史研究家が痕跡を調査したりと、宝が無くとも需要は少なからず存在するようだ。

2020-07-19 08:43:13
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物43】『本当はなかった怖い話』 世界各地に存在する怪談のうち、正体が判明したものが記述されている。自然現象や、意図の有無に関わらず人の手によるものなどが原因であることが多い。悪戯好きの悪霊や邪神が原因と判明している怪談を内容に含めるか否かについては議論が分かれる。

2020-07-19 21:49:56
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物44】『降臨 幸福の大王』 世の中に多く存在する、終末を語る書物の一冊。「知識や技術の向上に伴い、やがて人類は働かずに生きていけるようになる。人類はそれを幸福とするが、いつか堕落し生物として終わりを迎える」と主張している。終末が訪れる具体的な時期は記載されていない。

2020-07-19 21:49:56
サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の書物45】『薄い書物』 記述量の多寡に関わらず、閉じると圧縮され薄くなるという未知の技術が用いられた書物の総称。大規模な古代遺跡より多数発見されており、絵物語から文学小説に個人的な研究成果まで内容に統一性はなく、発見された遺跡は古の書庫だったという見方が強い。

2020-07-20 21:48:01
前へ 1 2 ・・ 6 次へ