【ある冒険者の助言】

サザンクロス @Mizuho_K

【ある冒険者の助言22】緑豊かな自然の中に極彩色の斑模様。同行する老練の冒険者が纏う空気が変わった。この異形との邂逅で僕が学んだ教訓は、山に生息する希少な毒蛇への警戒、皮膚に触れるだけで死に至る危険がある猛毒への対処、そして毒蛇と靴下を見間違えても笑って済ませようということだった。

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【ある冒険者の助言23】干していた服を片付ける。この世界に来たときに着ていた服は今も問題なさそうだ。素材の都合で修理が困難なことに加え、いざとなったら高く売れるだろうからと、大事に保管しておくことを勧められたのだ。これがダメージジーンズだったら、果たして同じことを言われただろうか。

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【ある冒険者の助言24】生きている魔物から牙や爪を盗むシーフの技。盗む対象に急襲、目的の部位をピンポイントで破壊して奪取しているのだそうだ。とても僕には真似できない高度な技術、なるほどシーフからアサシンにクラスチェンジする例があるのも理解できる、と一人で納得したのであった。

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【ある冒険者の助言25】スタート直後に最弱の敵と戦い続けてレベル上げ……という遊びは経験がある。この世界でもそんなことができないかと試してみたが、とにかく飽きる上に成長を実感できない。僕の様子を見た通りすがりの旅人が武器の扱いや戦術を教えてくれたので、無駄にならなかったのは幸いだ。

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【ある冒険者の助言26】どこにでも転がっていそうな小石の運搬依頼を受けた。実は荷物の内容自体に意味はなく、誰が、どこで、何を受け取ったか。それが何かの合図だという話だ。誕生日プレゼントとして石ころを受け取った人の渋面を見てもなお、僕はそれを信じるべきなのかどうか不安なのだけども。

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【ある冒険者の助言27】お金を稼ぐ手段の一つは、獲物を仕留め然るべき場所で買い取ってもらうことだ。傷を付けずに売ることが困難なら、綺麗にバラして洗浄しておくと買取価格も上がるそうな。なるほどこんなことを繰り返していたら、冒険者の多くが基礎的な調理スキルを身に着けているのも頷ける。

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【ある冒険者の助言28】デュラハンと同行する機会があった。「珍しいからってジロジロ見ないように」とギルドの人から釘を刺されていたものの、飲み物を口にしようとしたところで思わず凝視してしまった。微笑み返されたので慌てて目を逸らしたものの、もしかしてからかわれていたのだろうか？

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【ある冒険者の助言29】この世界における金を稼ぐ手段の一つは、倒した獲物を売ることだ。傷を付けずに倒すことが困難なら、綺麗にバラして洗浄しておくと買取価格も上がるそうな。なるほど、そんなことを繰り返していたら冒険者の多くが調理スキルを身に着けるのも頷ける。味はさておき。

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【ある冒険者の助言30】死んだらそれまでだから命は大事にしろ、と言う人がいた。死んでも蘇生できるから気楽にやろう、と言う人がいた。どちらが真実なのかわからないし、場合によってはどちらも真実になり得るのかもしれないけれど、それを試そうという気にはならなかった。自分でも、自分以外でも。

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【ある冒険者の助言31】護衛依頼を受けるにあたって、気になっていたことを聞いた。聖水を撒くことで魔物たちを避けることはできないのか。そんな僕の期待は、聖水一瓶の値段を聞いたことであっさりと砕け散った。使えば大赤字、しかも人間には効かないとのこと。なかなか都合良くいかないものである。

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【ある冒険者の助言32】冒険者稼業と言ったら戦いは必須という先入観があったが、自衛以上の戦闘技能を持たない冒険者もそれなりにいることを教えてもらった。薬草や鉱石の採取、荷物運びなど比較的平和な依頼もあることを考えると、行き詰まった人間の受け皿として機能していることがよくわかる。

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【ある冒険者の助言33】遺跡の発掘作業中、僕の世界のものと思われる遺物が見つかった。表面に彫られている文字を見て思わず「読める！」と胸を躍らせたものの、外国語の勉強を怠っていた僕は素直に仲間の解説に耳を傾けた。外国人から自国の文化について説明を受けているような気分だ。

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【ある冒険者の助言34】狙ったところに必ず真っ直ぐ飛んでいく弓。これならエルフにも遅れを取ることはないだろうと、僕は迂闊にも彼らと張り合ってしまったのだ。その後の展開は書くまでもなく、獲物の動きを予測しようとか、狙いが正確でなければ意味がないとか、素敵な笑顔で説教されたのだった。

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【ある冒険者の助言35】噂に聞いたアラクネ謹製の寝袋、その寝心地の良さを耳にした僕は早速レンタルしてみた（買うには貯金が足りなかったのだ）。確かに温かく触り心地もいいのだが、見てくれがまるで捕食される餌のようだ。「間違えて食べられないようにね」なんて言ってたのは冗談であってほしい。

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【ある冒険者の助言36】他種族向けの食べ物を見ると挑戦したくなるのだが、仲間から時折感じる「本当に食べてしまうのか」とでも言いたげな視線。嗜好に口を出される筋合いはないぞと言おうとしたら「体質に合わないこともあるから少しずつにしよう」と真っ当な意見。食い意地が張っていてすまない。

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【ある冒険者の助言37】相手のことが気に入らなくても、時には割り切って手を組んだり力を借りたりすることも必要だ、という話。確かに冒険者としては効率的な考え方だとは思うが、作者が苦手だと漫画まで苦手になる僕にできることだろうか。人の感情というものは、なかなか簡単には切り分けられない。

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【ある冒険者の助言38】貴重品管理は預かり所で、というよくあるアドバイス。その理由は「ギルド登録済み冒険者は手数料不要だから」というものだ。どうやら持ち主が死亡・一定期間以上行方不明となった場合は所有権が預かり所に移る仕組みらしく、それが成立しているのがこの世界の環境を表している。

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【ある冒険者の助言39】ある者は祈りを欠かさず続ければ神の加護が得られるという。ある者は供物を多く捧げるほど神の加護が得られるという。ある者は信者を増やすほど神の加護が得られるという。これが別々の神ならともかく、すべて同じ信仰対象だという。土地柄による違いだろう、と思うことにした。

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【ある冒険者の助言40】生の肉は不浄であることが多いため火で清めよ、というお話。なるほど寄生虫や細菌という概念がなければ、呪いだとかそういう話になるのかもしれない。そういえば魚は生で食べてなかっただろうか？ 危ないのは川魚だったか？ 今度海に行ったら、現地の人に聞いてみるとしよう。

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【ある冒険者の助言41】油売りがいる、と耳にしたので視線を向ければ、比喩でなく文字通りの油売りだった。食用から燃料用まで様々な油を担いで歩く姿は圧巻。彼らのおかげで野宿の最中でも揚げ物が食べられるし、ダンジョンの奥でも灯りに困らないという、冒険者たちの生活には欠かせない存在だった。

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【ある冒険者の助言42】ひとえに騎士と言っても様々らしく、精鋭揃いは前提として、神殿騎士は神に命を捧げ死を恐れない、王国騎士は民のために戦うなどの違いがあるようだ。領主お抱えの騎士は街の行事運営に携わり、人手不足のときは冒険者も一時的に雇ってくれるので重宝しているそうな。騎士？

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【ある冒険者の助言43】『食用野草図鑑』、ある冒険者が書いたこの書物があれば食糧事情も改善されると勧められたが、重い。重すぎる。丈夫で汚れにくく水にも強い加工が施されて、確かに旅のお供に（重さ以外は）適しているのだが。ふと横を見たら地域ごとの別冊図鑑が置いてあった。うまい商売だ。

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【ある冒険者の助言44】近くの湖には人食い魚が住んでいるから、水を調達するときは気をつけろと忠告を受けた。詳しく聞いてみるとサメに近い特徴を持っているようだ。さすがにこの世界では空を飛んだり霊体化したり人型になったりはしないだろうと思ったが、よく考えたら元の世界でもそれはなかった。