『死ぬのがこわくなくなる話』第14話です。人工冬眠サービスのアルコア延命財団に僕が取材に行った時は、全身が12万ドル、頭部が5万ドルだった。サイトで調べると、現在は全身が20万ドル、頭部のみが8万ドルに値上げしていた。今後、市場競争が始まれば価格は下がるかもしれない。
2011-08-26 01:57:30その費用も、別にすぐ用意する必要はない。とりあえず年324ドル払えば、リストに入れる。同時に、アルコアを受取人とした生命保険に加入する。そして、いざ死にそうになった時、あるいは死んだ時、その保険料を代金として払い、めでたく冷凍してもらう、そういう方法もあるのだ。
2011-08-26 01:58:09最初に冷凍された人は、1976年から眠っている。取材時には7名の遺体、いや、冬眠体が並び、300名余りが予約していた。現在、少なくとも98名が冬眠中で、日本人2名を含む900名以上がウェイティング・リストにいる。
2011-08-26 01:58:27アメリカの中央部、フェニックスの郊外。ピラミッドでもありそうな、ほとんど砂漠の乾燥地帯にぽつんとある街の、そのまた外れだ。当時の僕をむかえてくれたのは、会長(当時)のステファン・ブリッジ氏だった。見ず知らずの日本人の来訪に、こころよく対応してくれた。
2011-08-26 01:59:10ブリッジ氏はアルコア創設に関わったメンバーであり、現場から離れた今もなお思想的にも経営的にも大きな影響力をもっているらしい。そういう人物から話を聞くことができたのは、今思えば得がたい幸運だった。
2011-08-26 01:59:28アルコア社がカリフォルニアで設立されたのは1970年代。西海岸ではニューエイジ・ムーブメントがまだ盛んだった。宗教や哲学の領域、つまり未知の不思議世界への到達を、科学技術によって可能にしていこうという考え方が、その中にあった。
2011-08-26 01:59:44例えば化学薬品をつかって「悟り」を実現しようとするなどの実験が、盛んに行われていた。ハーバード大学の心理学者ティモシー・リアリー教授はドラッグによる人体実験に没頭したことが問題とされ、裁判で有罪となり、投獄された。
2011-08-26 02:00:5090年代中盤に、カリフォルニアからアリゾナに移転してきたそうだ。理由は地震などの自然災害が皆無に近いからだという。同じ理由で、宇宙開発の拠点としてかつては有名だったらしい。この土地からロケットの発射が盛んに行われていた時期があったのだ。
2011-08-26 02:01:11ステファン・ブリッジ氏は、派手なブレザーを身につけ、髪はブロンドのアフロで、70年代のロック・ミュージシャンのように見えた。悟り、超自然、不老不死。
2011-08-26 02:01:31そんな話がどれもぶっとんでいて面白い。このフェニックス=不死鳥という名の地域のことも、あたかも不思議なめぐりあわせのように延々と語る。不死鳥の神話的イメージを科学技術によって実証する、というのだ。
2011-08-26 02:04:00一瞬でしたが豪雨すごかったですね。皆さん大丈夫でしたか、都内見渡すかぎり白くて牛乳の中を泳いでいるようでした。そして時折その空間を走る電撃。
2011-08-26 16:27:54すごい分かります! でも社会人になると休みはないのですよね…。 RT @kozysan: というか、大雨が降るといまだに臨時休校の予感がしてわくわくしますよね。
2011-08-26 16:30:06@noisemaze そうです僕が行ったのはここです。僕はアルコアと書いていますが「アルコー」という表記も多いようですね。『人体冷凍/不死販売財団の恐怖(原題:FROZEN)』については改めてレビューしますが、非常に面白く読めますし、密度も濃いです。
2011-08-26 23:59:34アルコアに敵対する立場の人が書いた暴露本だということ、そしてかなりセンセーショナルな売り方を狙った商品だということは前提にして読むべきではありますが。
2011-08-26 23:59:56この本、星海社の太田さんに「面白い本が出ていますよ」と薦めてもらって読んだのですが、読み終わるまで、実際自分が90年代の後半に何度もその現場に行っていたことを、すっかり忘れていたのですね。
2011-08-27 00:01:12というか現実感のない記憶で、なんだか夢みたいでした。それで自宅倉庫を調べてみると、当時の取材テープ、写真、資料などがごっそり出てきました。そうだ写真もここで公開しますね。
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