【創作企画】第5話 俺の全てへ捧ぐ【UP A Mystery】

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UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

───中庭にいる青年は、いつもと変わらない様子で手を振って笑っていた。

2022-03-20 21:45:53
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その頃、メノンたちが図書室から戻ってきて再び探偵たちを食堂に集めていた。

2022-03-20 21:47:30
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収穫はあったか、という問いかけに対し、あまりいい返答がない中で、ライクムがあのエンブレムのことをその場にいる探偵全員に伝える。 そうして、この館の所有者または建造者がスカーレット社である考察が飛び交うと、メノンが静かに口を開いた。

2022-03-20 21:48:12
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

「ひとつ、収穫がありましてね」 「あら、何かいい情報でもあったの?」 「えぇ。…まぁ、これで被害が抑えられるかは分かりませんが」

2022-03-20 21:49:04
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そう前置きしてから、メノンはメモ帳と、どこから取り出したのか羽根ペンとインクを取り出し、日付を記していく。 横に、少女連続殺人事件、と付け足して。

2022-03-20 21:49:57
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「手に刻まれた日付を調べました。1年ほど前から起こっている少女連続殺人事件。3月7日と6月13日。両者ともに、殺害方法または死因が一致していました。そして、持ち物が引き裂かれて現場に放置されている、という点も一致しています」

2022-03-20 21:50:48
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「じゃあ…それの見立て、ですか?」 「可能性としては大いに有り得るでしょうねぇ」

2022-03-20 21:51:28
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アイザックの問いに、メノンはそう答える。そのままペンを走らせながら、整理するように呟き続けた。

2022-03-20 21:51:49
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「館の主人は情報提供だ、と言いましたね。 しかし、図書室に当時の新聞があるのに、実際にそれをやってみせるという行為に意味があるのか…と疑問に思いました」

2022-03-20 21:52:46
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「楽しいから、じゃないかしら。あの子がそう言ってたんじゃない?」 「それもあるでしょう。…しかし1番は恐らく───復讐、でしょうね」

2022-03-20 21:55:23
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その重たい言葉に、食堂の雰囲気が沈む。どうしてそう思った?という誰かの問いかけにペンを止めて、メノンは顔を上げた。

2022-03-20 21:55:53
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「この館の所有者はスカーレット社です。…しかしスカーレット社の社長は、1年前の11月に船の爆発事故で亡くなっています」 「亡くなってる?…あぁでも、そんな事故確かにあったわね」

2022-03-20 21:56:46
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「そう。そして、その事故では、彼の幼い“一人娘”が行方不明になっている、と新聞記事に記載がありました。 社長は事件発生からその事故に至る日まで、その殺人事件の犯人ではないかと言われていたことを覚えていますか?…あれを突き止めたのは、1人の探偵と、少女だったそうです」

2022-03-20 21:58:54
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まさか、とアイザックが口を開く。 その言葉に、メノンは深く頷いた。 つまり、この館の主人たるあの少女は、その社長の一人娘、ということになるのだ。 「確固たる証拠もないですし、憶測ですけどねぇ」と付け足して、彼は背もたれに寄りかかる。

2022-03-20 21:59:18
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憶測だが辻褄は合う。 この事件を徹底的に洗うか、この事実をあの金髪の少女に伝え記憶を取り戻してもらって依頼を早急に達成するか、それが一番早いだろう。 殺している順番的に、どうやら日付順ではなさそうだし、事件を全て調べあげて殺害方法がわかったとしても防ぎようがない。

2022-03-20 22:00:08
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そうと決まれば、これ以上の話し合いは必要ない。

2022-03-20 22:00:49
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「遊戯場にいるあの子たちを呼んでくるわね。いつまでもあの2人に子守させるのは悪いし」

2022-03-20 22:01:14
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ガブリエルが椅子から立ち上がる。 子供たちと一緒に遊んでいそうなイーライはともかく、子供が苦手そうだったアシュリーの負担は大きいだろう。 2階でまだ眠っているリオやギルのことも気になるし、レイラやユースティアだって相棒の元に付いていたいはずだ。

2022-03-20 22:01:45
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「そうですねぇ。…あぁ!1人では行かないでください」 「わ、分かってるわよ!えーとそれじゃあ…アイザック!行くわよ!」 「えぇっ、なんで俺なんですk」 「いいから行くわよ!!」

2022-03-20 22:02:56
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

そう言って、ガブリエルはずるずるとアイザックを引っ張って食堂から出ていった。そんな2人の後ろ姿を眺めながら、メノンは苦笑いを零す。

2022-03-20 22:03:31
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「…さて、どうしましょうかねぇ…」

2022-03-20 22:03:52
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

……後に、アシュリーが少しぐったりしながら少女と共に食堂に来たり、イーライがナタリアやアシェルと共に遊びに夢中でなかなか食堂に来なかったりしたのは、また別のお話。

2022-03-20 22:04:46
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

🍎【Chapter5 俺の全てへ捧ぐ】 終🍎

2022-03-20 22:06:03
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