映画よもやまばなし  2回目 映画評論のちょっとしたこと。

蓮實重彦に対しては、ある種の畏怖と憎しみと愛情も感じてしまっております。
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榎本憲男★『サイケデリック・マウンテン』絶賛発売中!!! @chimumu

26.その時、蓮實重彦はこう答えた。――「だから本当はそんなことを言っちゃあいけないんですよ」

2010-05-05 00:10:22
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27.つまり蓮實重彦は自分の意見が暴論だと知りつつあえてそのような表現を選んでいるんだ。なぜかくも過激にそのようなスタイルをとるのだろうか、それは蓮實には、見るということが抑圧されているという激しい憤りがあったからだ、と僕は思う。

2010-05-05 00:11:37
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28.「映画の神が降りてきているように見える」ということを、モタモタしないで「映画の神が降りている」とスパーンと言ってのけることが蓮實流なんだ。見るということが映画にとってまずは一番大事なことだと宣言する。つまり、解釈されるものから、見るものへと映画を解放しようとしたんだよ。

2010-05-05 00:12:50
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29.けど、この蓮實の方法論には強い副作用が出た。通常、解釈の中心は物語だ。しかし蓮實重彦は物語をほとんど語らない。物語というものを蓮實重彦は自分の映画の語り口から徹底的に排除することで映画を解釈から守ろうとした。

2010-05-05 00:13:33
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30.けれど、そのことが、日本の映画評論においてストーリーの重要度をかなり低く評価することになってしまった。いや、評論だけじゃなくて、日本の映画界全体の脚本の技術がガクンと落ちてしまったと俺は思う。

2010-05-05 00:14:03
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31.一方で、佐藤忠男的な評論方法が耐用年数を過ぎていたことも確かだ。徐々に佐藤忠男は日本映画を論じることが少なくなり、途上国の映画に評論の対象を移し始める。そもそも、その頃の日本には評論するに足るストーリーが佐藤忠男にとっては希有になってきたんだな。

2010-05-05 00:16:48
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32.では、僕がいま若い人に一番読んでもらいたい映画評論は何かというと、それは山田宏一の筆によるものです。蓮實重彦は絶対にがっぷり四つに組まないが、山田宏一は真っ正面から映画に向かい、全身全霊で映画を語る。

2010-05-05 00:18:51
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33.映画の知識、センス、そしてとにかく文章力がすばらしい。僕はこよなく山田宏一を尊敬しています。若い人には是非「友よ映画よ! 我がヌーベルヴァーグ誌」を読んでもらいたい。 http://twitpic.com/1kvo95

2010-05-05 00:20:24
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35.はーい、今日はここまでだよ。明日はストーリーに戻って、映画のストーリーをメインプロットとサブプロットに分けてとらえる方法を紹介します。じゃあね。

2010-05-05 00:23:24