twblnovel 9月前期

「twblnovel」タグに書いた短文。+α。
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ハウリル @how_howlite

パワーポイントのスライドに、授業の内容が移しだされ、それを教師が指示棒の先端で指しながら説明をする。つまらない授業風景だ。じっと耐えていると、その退屈をチャイムの音が打ち破った。「では、今日はここまでですね」教師が教室を出ていけば、ようやく休み時間の始まりだ。 #twnovel

2011-09-04 19:41:20
ハウリル @how_howlite

両親が旅行でいないという友人宅に、急遽決めたお泊り会。浮かれて暴走気味な俺を、友人は呆れた目で見ている。「晩飯!出前とろうぜ!特上!」「とらねーよ。とったとしても並だ、並」そう言いつつ友人は、エプロンを着けた。「何食べたい?」お前、という言葉は飲み込んだ。 #twblnovel

2011-09-04 19:46:58
ハウリル @how_howlite

紙に描いたお菓子。ケーキにパフェ、クッキーにプリン、アイスなどが色とりどりに、机の上に並んでいる。「召し上がれ」そういうと、彼は見えないスプーンを使い、見えないお菓子を食べて笑った。「美味しいよ」虚構でしかない甘味を味わい、僕らは現実の甘い時間を過ごした。 #twblnovel

2011-09-04 19:55:54
ハウリル @how_howlite

学校の隅にある朽木。誰も目に掛けないようなその腐った木を、一心不乱にシャープペンシルでデッサンしている男子がいた。「なんでそんなの書いてるの?」聞くと、答えた。「僕に似てるから」だが、何かに夢中になっているお前の姿は、生き生きと葉を繁らせている大樹のようだ。 #twblnovel

2011-09-04 20:04:46
ハウリル @how_howlite

「うわっぷ!」寝耳に水。正確には、寝顔に牛乳。こんな暴力的に起こされたのは初めてだ。「いきなり何すんだっ!」「いつもの腹いせ」「な!なんのことだ…!?」ドキリとした。いやいや、知られてないハズだ。寝顔に欲情して、コッソリと顔射したことが何度かあるなんて! #twblnovel

2011-09-05 17:57:40
ハウリル @how_howlite

雨が降る雨が降るあめがふる。体も心も濡らしていく。泣きながら走る暗い街には、僕の味方は誰もいない。部屋を飛び出る直前の、彼の顔が焼き付いていた。あんな顔をさせてしまった僕に、もう彼の隣にいる資格は無い。振り返ってもそこには暗い闇だけ。僕は、彼から逃げだした。 #twblnovel

2011-09-05 18:45:23
ハウリル @how_howlite

「同じ墓に…、いや、毎朝味噌汁を…」ブツブツと呟きながら会社の廊下を歩く。付き合って3年。男同士の俺達に結婚は出来ないが、こう、心意気というか、ケジメはつけようと。「いや、ストレートだ!“清春、結婚しよう”!コレだ!」「ハイ、いいですよ」後ろから声がした。 #twblnovel

2011-09-05 19:27:39
ハウリル @how_howlite

保育園の時。「ねぇ、ちゅーしよー」「いいよー!ちゅー」「ちゅー!」純粋な子供のコミュニケーション。それ以外に意味は無かった。そして、現在。「なぁ、キス、していいか?」「……あぁ」「……」その行為が別の意味を持った時から、俺達のキスはこんなにもぎこちない。 #twblnovel

2011-09-05 23:10:59
ハウリル @how_howlite

家族旅行に行く男友達からペットを預かることになったが、説明がオカシイ。「こっちの小型犬がチャッピー。舌遣いは抜群だけど、長さや太さは無いから。大型犬の方はバロンね。こっちは大きさと、体力を持て余した持久戦が強み。あと、こっちの大型犬はゼネラル。奥の方を的確な腰遣いで責めてくるよ」

2011-09-06 14:48:19
ハウリル @how_howlite

土台には生クリームを塗る。ムラ無く均一に塗れたら、色んなフルーツをトッピング。そして、クリームを搾ってデコレーション。かわいい苺の尖端も隠しちゃう。これで完成、僕特製の特別なケーキ。「その土台を俺にする意味がわからねぇ」「だって、作るのも食べるのも僕だもん」 #twblnovel

2011-09-06 15:53:48
ハウリル @how_howlite

写真に映った、俺の手を掴む腕。別の写真に映った、俺を見つめる首。また違う写真に映った、俺の股から覗く足。映像を映せば、キッチンに映る影。ベッドの向こうの窓に映る手形。俺の後ろに映る姿。あぁ。頼むから早く成仏してくれよ。いつまでもお前を忘れられないじゃないか。 #twblnovel

2011-09-06 20:58:31
ハウリル @how_howlite

卒業と同時に、色んな友達と会わなくなった。場所の関係や、仕事の関係で会えなくなった友達。様々だ。その中でも、幼なじみだった冴えない地味な充は、俳優になる為に上京した。子供の頃からずっと語っていた夢。俺は、そんな充をずっと応援していた。 #twblnovel

2011-09-06 21:56:17
ハウリル @how_howlite

しばらくすると、エキストラやチョイ役で、充の姿をテレビで見かけるようになった。忙しいだろうと、返信を期待せずにメールを送った。でも、充はちゃんと返してくれた。そのことが嬉しかった。その後、充は段々と有名になり、連ドラの主演にもなった。 #twblnovel

2011-09-06 21:56:27
ハウリル @how_howlite

その頃も充は、俺とメールのやりとりをしてくれてた。その内に、メールの内容に恋愛相談が交じりだした。よくわからないモヤモヤを抱えながらもメールのやりとりを続けていたある日、充の婚約報道を見た。その時、確かな喪失感と共に、俺は自覚した。俺は、充が好きだったんだ。 #twblnovel

2011-09-06 21:56:35
ハウリル @how_howlite

「起きろー」「…」「早く起きろー」「…」「朝メシ抜くぞー」「…」「エッチ禁止するぞー」「…」「別れる」「…ぇ?」「別れる。決めた」「え!ちょ、待っ!」「おはよう。あと3秒起きるのが早かったら別れなかったのにねー」「待った待った!もう一度チャンスを!」 #twblnovel

2011-09-07 00:47:01
ハウリル @how_howlite

電車で、手を繋いでる老夫婦を見た。その光景をとても微笑ましく思ったのと同時に、えもいわれぬ寂しさを覚えた。「どうしたの?」「僕も、僕達も、あんな風になれるなら良かったのにな…」そう言って俯いた僕の手を、彼が握ってくれた。「なれるよ、きっと。なろうよ、一緒に」 #twblnovel

2011-09-07 00:56:09
ハウリル @how_howlite

寮の部屋にある二段ベッドは、既にその意味を無くしていた。奴が寂しくなった時には、奴が俺の布団に潜り込むし、俺が寂しくなった時には、俺が奴の布団に潜り込む。そうでない時でも、いつも二人で、同じベッドで寝るのだから。同室の恋人の体温を感じながら、今日も眠る。 #twblnovel

2011-09-07 23:36:31
ハウリル @how_howlite

毎夜、部屋のドアをノックする。そして、そのまま逃げ出してしまう。夜9時のノック。毎日続く、僕の優柔不断さが起こす迷惑行為。ある日、ついに勇気を奮った。ノックをして、彼を待つ。彼が扉を開けるのを待つ。部屋の中から顔を覗かせた彼が言った。「今夜は逃げねぇんだな」 #twblnovel

2011-09-08 01:50:32
ハウリル @how_howlite

品種改良で、赤色の菊を作った。薔薇のように、あの日の夕焼けのように、鮮やかで濃い赤色。ここまで濃い赤色の菊は、自然界には存在しないだろう。スプレーで染められた菊とも違う、自分の色で咲き誇る赤色。数年前に死んだ君を想う。君の為に、この赤い菊を手向けたかった。 #twblnovel

2011-09-09 10:17:31
ハウリル @how_howlite

「9月10日!お前の日だ!」頭が弱い恋人の、突然の発言。誕生日にはまだ早い。「突然なんだ?意味がわからん」「だから!九と十で、お前の日なんだよ!」確かに俺の苗字は玖塔だ。そういう意味か。「なら、お前が俺と結婚すればお前の日にもなるな」恋人は赤面してしまった。 #twblnovel

2011-09-10 17:15:52
ハウリル @how_howlite

告白をしたら「恋人がいる」と断られました。しかしながら彼の事を諦めきれない私は、あわよくば今カノから略奪できないかと、彼をしばらくストーカーしました。すると、彼と同じ学年の男子が、彼とキスをし、彼の家に入るのを目撃しました。ちょっと意味がわからないですね。 #twblnovel

2011-09-10 20:26:34
ハウリル @how_howlite

BL漫画とやらを学校で読む男子がいる。普通にしていればカワイイ系の男子で、俺の幼なじみだ。男子からは忌避され、一部女子とは仲よさ気に話し、ごく一部の男子には狙われている。だが奴は、自分が男に狙われていることを知らない。こんな近くに狼がいることも知らない。 #twblnovel

2011-09-10 20:38:38
ハウリル @how_howlite

「い、や…、俺、BLは好きだけど、男に興味は無いし…」目を逸らしながら答える聡。だが、その癖を、俺は長年見てきたんだ。「BLを読み出したの、中学頃だったろ?あの頃からお前、俺を見なくなった」「…!」「知ってたぞ。お前が俺を好きなことくらい。ずっと見てたんだ」 #twblnovel

2011-09-10 21:13:00
ハウリル @how_howlite

「俺を見なくなったのは、漫画の方が楽しいからか?漫画の中で、男同士がくっつくのが、羨ましかったんじゃないか?」俺が核心を突くと、聡は俯いて、ぽつぽつと喋りだした。「…だって、無理じゃないか。俺は男だよ?お前だって、男だ。告白なんて、できるわけ無いだろ?」 #twblnovel

2011-09-10 21:13:15
ハウリル @how_howlite

「断られたらどうする?こんなに近くにいるからって、この気持ちが受け入れられるなんて保障がどこにある!?……だから、漫画はいいよな。告白しても、受け入れてもらえる。この中では、幼なじみの男に恋をしても誰にも咎められないし、幼なじみにも拒まれないんだからさ……」 #twblnovel

2011-09-10 21:13:29