「COVID-19に対する『古典的集団免疫』達成は不可能だろう」

@influenzer3 先生の2022年4月3日のツイートより。 NIAID所長のアンソニー・ファウチ博士がラストオーサーの論説 ”The Concept of Classical Herd Immunity May Not Apply to COVID-19” (https://t.co/kOSZK9wXO1)の和訳と解説です。
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influenzer @influenzer3

例えば、1960年代から1970年代にかけて、米国では麻疹やポリオが集団ワクチン接種と登校禁止などにより制圧されたように見えたが、海外からの輸入例を原因とする局所的なアウトブレイクは発生し続けた。

2022-04-03 20:36:24
influenzer @influenzer3

これらのアウトブレイクは国レベルでは集団免疫閾値を超えている場合でも起こり、それはワクチン未接種の人々が病原体のターゲットになりやすいためであった。人の移動と行動により、感染者と感受性者が接触する事で、これがこれまでに何度も繰り返されてきたのだ。

2022-04-03 20:36:24
influenzer @influenzer3

天然痘の根絶も、1978年の最後の自然感染者に至るまでの10年間において、ワクチン未接種者間でおこるアウトブレイクに繰り返し対処する必要があった。

2022-04-03 20:36:24
influenzer @influenzer3

・インフルエンザやRSVといった多くの一般的呼吸器系ウイルスでは、集団免疫達成への障壁は麻疹やポリオ、天然痘よりも高い。無症候性感染者からの伝播、感染後の防御免疫が短期間かつ弱い事、そしてウイルスの免疫逃避能がその理由である。

2022-04-03 20:36:25
influenzer @influenzer3

実際に、SARS-CoV-2を含む多くの呼吸器系ウイルスの場合には、防御免疫自体が流動的な概念でしかなく、感染を完全に防御する長期免疫レベルから、再感染や他者への伝播を阻止する事はできないが重症化予防効果をもつレベルまでの幅を持っている。

2022-04-03 20:36:25
influenzer @influenzer3

・COVID-19に対する完全な集団免疫の達成は非常に難しい(significant obstacles)。疾患の根絶を目指す「古典的」集団免疫は、ほとんど達成不可能な目標と言えるだろう。

2022-04-03 20:36:26
influenzer @influenzer3

前述のように、集団ワクチン接種と積極的な公衆衛生的アプローチは、抗原性変異がほとんどなく、より達成が容易なはずの天然痘や風疹、麻疹などの呼吸器系疾患の制御にすら苦戦してきたのだ。

2022-04-03 20:36:26
influenzer @influenzer3

SARS-CoV-2と周期的に発生する新規変異株の制御は、これらよりもはるかに困難な挑戦である(much more formidable challenge)。

2022-04-03 20:36:26
influenzer @influenzer3

・SARS-CoV-2は、インフルエンザと同様に、既感染やワクチン接種による免疫から逃避するように持続的に変異する。無症候感染者からも感染伝播するため、公衆衛生学的アプローチも難しい。

2022-04-03 20:36:27
influenzer @influenzer3

SARS-CoV-2は、著明なウイルス血症期をもつ天然痘、麻疹、風疹のように、全身性に免疫(systemic immune system)を強く刺激する事がない。さらに既感染もワクチンも多くの人にとっては長期の抵抗性免疫を誘導しない。

2022-04-03 20:36:27
influenzer @influenzer3

ワクチンやマスク着用などの介入によるSARS-CoV-2拡散抑制の公衆衛生的な取り組みに対しても、強い抵抗性を示してきた。

2022-04-03 20:36:27
influenzer @influenzer3

もしも、ワクチンや既感染による誘導免疫の持続性が短期だった場合、あるいは免疫逃避変異株が出現しつづける場合には、ウイルス拡散は永久に続く事になるのだろう。できれば低レベルのエンデミックであることを祈るが。

2022-04-03 20:36:28
influenzer @influenzer3

・1918年のパンデミックインフルエンザでも同様の事が起こっている。そのウイルスの子孫は104年経過した現在でも季節性の流行を起こしており、間欠的にパンデミックを引き起こしてきた(1957年のH2N2、1968年のH3N2、2009年のH1N1)。

2022-04-03 20:36:28
influenzer @influenzer3

ワクチンを用いた80年以上にわたる努力にもかかわらず、完全制御はまだできていないのだ。このような要因がSARS-CoV-2の根絶を不可能にしており、広い地域で長期間排除する事が難しく、優れたワクチンがあったとしても十分にコントロールする事は難しいのだ。

2022-04-03 20:36:29
influenzer @influenzer3

COVID-19は、たとえ地域での流行レベルが極めて低くなり、重症度が低くなったとしても、今後も当面は根絶されることはなく我々につきまとう事になるのだろう。

2022-04-03 20:36:29
influenzer @influenzer3

・インフルエンザと同様、SARS-CoV-2に対する集団免疫のレベルがどの程度になろうとも、無数の個々の小集団の絶え間なく変化する免疫レベル、人流、人込み、社会的あるいは予防行動の変化、人口統計学的特徴、

2022-04-03 20:36:29
influenzer @influenzer3

ワクチン接種状況、ワクチンや既感染による免疫の持続性の変化、変異株の出現などの多くの変数によって、いずれ(ウイルスに)克服されてしまう可能性がある。

2022-04-03 20:36:30
influenzer @influenzer3

しかし、勇気づけられるのは、2年以上にわたるウイルスの流行と1年以上のワクチン接種により、現時点で我々は高いレベルの集団免疫を保有しており、加えて抗ウイルス薬やモノクローナル抗体などの疾患進行を阻止する医学的対抗策と、広く利用可能な診断検査も持っている事だ。

2022-04-03 20:36:30
influenzer @influenzer3

これらを活用することで、過去2年でCOVID-19が引き起こした社会的混乱を起こすことなく、ウイルス拡散をコントロールを目指すことは可能である。成功率は恐らく高いはずだ(very likely will succeed in achieving)。

2022-04-03 20:36:31
influenzer @influenzer3

・我々には「集団免疫」という捉えどころのない概念はもう必要ないのだ。COVID-19の制御はすでに手の届くところにある。将来的には、いずれ出現するであろう変異株に対抗するために、さらに広範囲の防御能を持つワクチンが必要かもしれない。

2022-04-03 20:36:31
influenzer @influenzer3

ユニバーサルワクチン(あるいは広範囲の変異株に対して長期的免疫を賦与するワクチン)の開発は、当面の重要な目標となってくる。それまでは古典的な公衆衛生学的アプローチとともに、現行ワクチンを世界の多くの人々に接種して、必要に応じてbooster接種やワクチンの変更を行っていく事が必要である。

2022-04-03 20:36:31
influenzer @influenzer3

・Living with COVIDとは集団免疫閾値に到達する事ではなく、日常生活に制限を加える事なく集団防御を最適化する事であると考えるのが適切であろう。

2022-04-03 20:36:32
influenzer @influenzer3

COVID-19を予防し制御する効果的なツール(ワクチン、予防対策)はすでに手中にある。これを利用すれば、古典的集団免疫に到達せずとも、正常な生活へ戻ることは可能である。 -----

2022-04-03 20:36:32